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今回紹介いたしますのはこちら。

「【悲報】魔法少女のその後の日常。」第1・2巻 原作・横山了一先生 漫画・上月まんまる先生 

一迅社さんのREXコミックスより刊行です。

横山先生は02年にヤングマガジンで連載デビューした漫画家さんで、濃い男性キャラをメインにしたギャグマンガを得意とされています。
が、12年ごろから漫画原作者としての活動を開始し、ご自身の手で描く作品では自分の家族の日常を切り取る日記マンガ的な作品をメインにされているようです。

上月先生は江川達也先生のアシスタントを経て、98年にデビュー。
成人向け漫画をメインに活動されておりましたが、07年より一般向けの作品も手掛けられています。

ちなみに本作、連載開始時からしばらくは「しぇあにま!」というタイトルで連載されていたのですが、単行本発売を機に一見萌え4コマ的なタイトルから、内容を連想しやすい今のタイトルに改題したようです!

その内容はと言いますと、やはりタイトル通り魔法少女アニメの主人公のその後を描いた作品です。
とはいっても、その最終話の数年後……と言った感じの攻勢ではなく、ちょっぴり変わった設定となっていまして……?


女子大生、棚橋マユリ。
彼女は羽野の女子大生と言う身の上ながら、友達もおらず、お昼にぼーっと空を見上げながらパンをもぐもぐするような冴ない毎日を送っていました。
子供のころからそうだったかと言えばそう言うわけでもありませんで……今になって考えてみると、彼女の追いたちに問題があるような気もします。
彼女の2年前に他界した父親は、アニメ監督でした。
有名と言えば有名な監督だったのですが、その有名な理由は「ビミョー」な作品を乱発するから、というもので。
発表した作品の数々はほとんどが時代の流れとともに忘れ去られていくような、なんといいますか毒にも薬にもならない作品だったようなのですが、その中で唯一ある程度知られている作品がありまして。
その名も「美少女天使ニルヴァーナ」。
といっても、小さな女の子向けアニメらしからぬ過激な変身シーンと、唱えられる謎の念仏で一部のマニアの脳裏にわずかにこびりついているだけなのですが。
そんな「ニルヴァーナ」に、子供のころのマユリはものすごくはまっていました。
父親のおかげでグッズを大量にもらえたため、友達にも渡して遊ぼうとしたものの、友達は当時大人気だったおしゃれな魔女のアニメに夢中で全然仲間に入れてもらえず……
それ以来、マユリはどうしても人づきあいが苦手になってしまったのです。
そんな自分の人生を歪ませたといっても過言ではないニルヴァーナなのですが、やはり好きなものは好き。
今でも非売品のキーホルダーだけは捨てられず、携帯のストラップにして大切に身につけているのです。

そんな彼女、休みの日は暇でしょうがありません。
撮りためたアニメでも見るかと寝そべっていると、そこに大きな荷物が届きました。
母からの荷物だったそれは、型の古いパソコンでした。
なんでも父の部屋を掃除していたら出てきたとのことで、処分するにも今はいろいろめんどくさいし、まだ動きそうだから使ったらいいじゃないか、とマユリに送り付けてきたようです。
……型の古い(しかも中途半端に)パソコンほど扱いに困るものはありませんが……とりあえずセッティングし、電源を入れてみるマユリ。
幼女の画像とか出てきたら引くなぁ、とドキドキしながら立ち上げてみますと、以外にも中身はマユリの喜ぶものでいっぱいでした!!
ニルヴァーナ関係の作業フォルダが並んだデスクトップ画面、そしてその中には見たことのないカットが大量に……!!
動画のデータも入っていて、マユリは思わず感動してしまいます。
主人公のニルブレイヴが魅力的で、憧れの存在だったんだよね。
こんな子はあたしのそばにいてくれたらな……
そんなことを考えていると、自然とマユリの目から涙がこぼれてしまいました。
その雫がパソコンに滴ったかと思うと、突然バチバチと放電し出し、ものすごい光が放たれます!!
そしてまばゆい光とともに
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美少女天使・ニルブレイヴが現れたではありませんか!!!

胸に抱くは勇気の心、美少女天使ニルブレイヴ!!
と、連呼するニルブレイヴ。
出現を見たときは圧倒されるばかりだったマユリですが、徐々に落ち着いてくると……それはわかったから、と突っ込みを入れてしまいました。
するとニルブレイヴ、設定にないことなんて言えないし、と口をとがらせてふてくされてしまったのです。
自分がアニメのキャラだという自覚はあるらしいニルブレイヴさん、マユリが自分に会いたいと強く思った気持ちが監督のパソコンに奇跡を起こし、ここに呼び出したんじゃないか、と一応この現象を説明。
そして、この世界の悪の組織を倒しに行こう!!とマユリを誘うのですが……もちろんこの世界にアニメの中にいるような悪の組織なんてものはいません。
じゃあ私は何をしたらいいんだ!?と血相を変えてマユリに迫ってくるニルブレイヴ……
マユリは、とりあえず家でだらだらしてればいいんじゃない?と答えるのですが、そんなの無理だ、自分の設定にない!!と、パソコン内に記録されている設定を指さしてくるのです。
……2クール目からキャラ設定にブレがあるけど、と注釈付きで……

大事にしていたキーホルダーを媒介にしてこちらの肉体を得たらしいニルブレイヴ。
とりあえずこっちの世界を探検したい、と空を飛ぼうとしました!
そんなことをしたら目立ちまくってしまいます。
マユリはそれを必死で止めるものの、だったら、と走っていくニルヴァーナもそれはそれで悪目立ち……
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なんかめんどくさい、とうんざりし始めたマユリの気持ちも知らず、爆走で町のいろいろなものをふっとばし、それでもなお飽き足らないニルブレイヴ、今度は女性に迫る悪そうな大男、というべたなシチュエーションを発見。
そして、あなたを改心させて見せる!とアクション満載だった「ニルヴァーナ」の中で培われた鋭いパンチで大男を殴りつけた後、人間の悪の心を浄化する必殺技、
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ニルヴァーナ・ブレイヴシャワーをさく裂させちゃったのでした!!!

この後ちょっとしたオチはあったものの、必殺技を目の当たりにしてやはりニルブレイヴはマユリのあこがれの存在であると思い起こしたマユリ。
いろいろ気苦労は絶えなさそうですが……こうしてマユリと美少女天使のルームシェア生活が始まったのでした!!


というわけで、魔法少女……と言うよりも、二人でプリティでキュアキュアな感じの伝説の戦士的なキャラとの日常を描いていくことになる本作。
本作の特徴は、その魔法少女がアニメのキャラ、それもマイナーで不遇な作品の者であると言うところ。
本人もアニメキャラだということをばっちりわかっているため、キャラクターの公式設定や裏設定、そしてそれに存在しないことをするととんでもないことが起きてしまう……と言う、メタネタ的なものががんがんと盛り込まれております!
そしてアニメキャラだということで、アニメキャラらしい張っちゃけた性格を持っていることも災いし、現実世界になじめなずにいろいろと苦労することに。
蒼してそんなニルブレイヴの重りをせざるを得ないマユリの気苦労と、財布のほうも大ピンチになってしまうのです!!
おまけにもう一つ大変なことがありまして……マユリの思いが強かったのか何なのか、ほかの「ニルヴァーナ」のキャラクターもこちらの世界に顕現してしまっています。
美少女天使の仲間だった、クール系ポジションのニルウインド、ボーイッシュ系のニルフレイム、天然系のキューティー……
彼女たちももちろんこの現実世界に完全になじめるはずもなく、いろいろと苦労しているみたいです!!
しかもそれだけではなく、アニメ作品にはつきものの悪の組織の人たちもこちらの世界へ……!?
どんどんと騒がしくなっていく日常に、マユリはいろいろ耐えることができるのか!?
ドタバタすぎる毎日がひたすら描かれていくのです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!