sk0
今回紹介いたしますのはこちら。

「双亡亭壊すべし」第1巻 藤田和日郎先生 

小学館さんの少年サンデーコミックスより刊行です。

さて、藤田先生2年ぶりのサンデー連載作品となる本作。
今までは少年主人公を中心に、妖怪やらからくり人形やら月の住人やらと言った人間ではない相手とバトルしていくアクションマンガを描いてきた藤田先生ですが、果たして本作ではどのようなった買いが繰り広げられていくのでしょうか!?


ただその場にいるだけで、全身に怖気が走る。
そんな恐ろしい何かが漂う屋敷、双亡亭。
そこに、三人の男女が忍び込んでいました。
ですがアツシとシンちゃんの二人はすでに腰が引けまくり。
この屋敷に入った直後姿を消した同行者のナナちゃんをようやく探し当て、二人で彼女の手を引いて早くこの屋敷から立ち去ろうとしたのですが……
妙な気配を感じ、ナナちゃんのほうを振り返ると……ナナちゃんは二人が手を引き始めた場所から全く動いておらず……長く長く伸びた腕だけを二人は引いていたのです!!
信じられない光景に驚き、その手を放してしまった二人。
するとナナちゃんは、つぶやきました。
わたしのて、はなしたの?
アツシくん、シンちゃん、わたしを、オイテ、イクノ?
sk1
オイテイカナイデ。
そう言った彼女の開かれた目と口はまるで漆黒の闇のように真っ黒で、どす黒い液体がしたたり落ちていました。
さらにその目からは「何か」が手を出して、そこからはい出ようとしているように見えて……!!

あれから何十年がたったでしょうか。
すっかり成長した今になっても、熱司はその時の夢を見てうなされています。
……が、そんな悪夢もここで終わらせる、とアツシは決意していました。
今のアツシ……斯波は、政界を上り詰めとうとう総理に着任。
そしてあの日ともに恐怖したシンちゃん、桐生は防衛大臣になっていました。
二人は、この時を待っていたのです。
二人は怒号を上げる政治家たちを無視して、ある決定をしたのです。
強い意志を秘めた視線をかわし、うなずき……
あの家は、壊さないとならん。
そう強く言ったのでした。


絵本作家を目指す凧葉務は、会心の作品を作り上げ、意気揚々と出版社への持ち込みに向かっていました。
今までさんざん暗いだの好きじゃないだのと、持ち込み作品すべてを突っ返されてきた務ですが、今回は自信があるようで。
そんな浮かれ気分がよくなかったのでしょう、務は引っ越し中の少年が落とした段ボール箱を受け止めようとして、顔面を強かに打ってしまいました。
これも縁ですから、その少年、録朗と少しお話をしてみることに。
録朗がお父さんと二人で引っ越してきたのは、お化け屋敷とうわさされる、務の住むアパートの隣に建ったお屋敷……の、お手伝いさんが住んでいた別宅を改装した家でした。
本宅の方は別の人の土地なのだそうですが……務は録朗に笑ってこう持ち掛けました。
でも俺なら、屋敷の奥も探検してみたいな、と。
すると録朗も、そうだね、と笑い返してくれるのでした。

また今度、自分の描いた絵本を見せると約束し、録朗と別れた務。
こんな原画じゃなく、絵本になった後見せてやろう!と意気揚々と持ち込みしたものの……結果は全然でした。
色が暗い、観念的で独りよがり……
一つとして褒められることなく、うなだれて家路につく務ですが、その最中にまた務と出会うことになりました。
ですが務は、新しいクラスメイトにお化け屋敷に住んでいるお化けだとか、絵を描くのが好きだとかオタクかよ、だとかといじめられていました。
務がそれを追い払ったのですが……その後、逆に慰められてしまうこととなりました。
持ち込みで扱き下ろされた絵本を、あれこれ質問しながら食い入るように読んでくれ、そして笑顔を見せて……
務はその笑顔を見て思い知らされるのです。
子供に絵を見せたことがなかった、絵を見せた俺のほうが元気になった、うれしかった……

その後務は、猫が好きだという録朗の好みや、「子供」が好きそうな絵柄やモチーフを描いてみようという心境の変化もあり、新たな作風に挑みました。
出来上がった猫のキャラクターは、こう言った絵柄にチャレンジしたことのない務もいい出来かもしれない、という手ごたえを感じるものでした。
早速録朗に見せてやろう、とアパートを出ますと……
なんと、録朗の引っ越してきたばかりの家が燃えてしまっているではありませんか!
あたりの野次馬に事情を聞いてみますと、なんでも子供の叫び声がした後爆発があったのだとか。
いやな予感が渦巻く中、現場から負傷者が搬出されていくのが見えます。
務が慌てて、その負傷者のほう駆け寄りますと、やはりそれは録朗でした。
が、録朗の体は、なぜか太い、頑丈そうなベルトで固定されていて……
なんで縛られてんだよ、と務がつぶやくと、録朗は意識があるようで、何かつぶやき始めます。
……ちゃった……
sk2
パパが……食べられちゃった……
パパが……あの家に……
両目から血の涙を流しながら、絞り出すようにそう言った録朗。
直後、人が変わったかのようにぎゃらぎゃらと笑いながら、パパが食べられちゃったと繰り返し……
録朗にいったい何があったのか?
いくら考えても、務にはそれを知ることはできず。
そして、じっくりと家でそれを考えることすら許されませんでした。
すぐに警察から、屋敷のある沼半井町の住人は避難しろと命令が出されたのです!
ガス漏れの疑いと言ってはいるものの、全くそんな気配などありませんし、質問なんかも一切許さず半ば強制的に非難させられる務達町の住民。
そして務達は、テレビ中継でとんでもないものを見ることになるのです。
次と飛来する、自衛隊の戦闘機。
そしてその戦闘機は、有無を言わさず……あの屋敷に次々と爆弾を投下していったのです!!
その爆弾で、次々と町は壊れ、火の海に包まれていきます。
そこに住んでいた住民たちは、ただそれを眺めて嘆くほかなかったのです、が……
日本中の人々が、その中でとんでもないものを見ることになりました。
その豪炎の中で……その屋敷、双亡亭だけは傷一つなく、傲然とそびえたち続けている驚愕の光景を!!
……そしてその時のパイロットの交信記録にあったこの言葉は、のちに日本中に広がり、一般の人々まで口にすることになるとは、誰も考えてはいなかったでしょう。
その言葉は……
sk3
〈双亡亭〉壊すべし。

……そしてその爆弾の煙の中から、あるものが姿を現していたことに、まだその時は誰も気が付いていませんでした。
40年前に消息を絶った旅客機が。
そしてその中にいる、一人の少年……凧葉青一が!!


というわけで、幕を開ける藤田先生最新作。
今回は、謎多き双亡亭をめぐるホラーアクションとなっていくようです。
物語は務、録朗、青一、そしてこの後登場する録朗の姉である紅を中心にして物語が進んでいく様子。
そしてその物語の中心にそびえたつのが双亡亭なのです!
かつてナナちゃんを喰らい、そして今録朗の父も呑み込んだ忌むべき建物、双亡亭。
それを、否応なく双亡亭の魔性に巻き込まれた務達、そして斯波総理と霧生防衛大臣という国のトップが打ち壊さんとしていく……
爆弾で全く傷のつかなかった双亡亭ですから、当然どんな物理的な画会手段を用いようとも破壊しきることはできなさそうです。
となれば、普通ではない双亡亭を、普通ではなくしている理由を突き止め、それをどうにかするしかないでしょう。
本作はそんな、双亡亭を壊すための戦いを描いていくことになるのです!!

今までの藤田先生作品では、最初こそ規模の小さい戦いで始まるものの、ラスト近辺では世界中を巻き込むような大規模な戦いになっていく構造が多くみられました。
ですが今回は、まず国が動くという今までとは逆の展開となっています!
この後おそらくこの双亡亭との戦いは日本中に飛び火して、さらに大きな規模になっていくはず!
その中で務達がどのような役割を果たしていくのか?
双亡亭とは何なのか、その異様を打ち壊すことができるのか?
目の前で父を食われた録朗は……?
それらが気になって仕方ない本作の、これから先の展開に期待せざるを得ませんね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!