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今回紹介いたしますのはこちら。

「囚人リク」第28巻 瀬口忍先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。

さて、天野の身代わりに殺し合いショー「キラーズ」に参加することになってしまったレノマ。
レノマは必ず脱出の際には一同と合流することを無言で誓い、大場につき従うのでした。


大場に連れられて、きらーずの会場に通されたレノマ。
そこではまさに今戦いが始められようとしていました。
大場はこんなことを言っていました。
人生2大イベントって知ってる?
それは、この世にあらわれる瞬間とこの世から消える瞬間。
死、これをキラーズはショートして見せてくれるん。
これってすごくない?
その大場の満悦の表情にイラつきながら、繰り広げられる試合を見るレノマ。
そこで行われる試合は、明らかに異様でした。
左腕を腐りつき分銅に改造した隻眼の男と、右腕をフックに改造した義足の鼻のない男。
その二人が、全身から悲壮なまでの決意をみなぎらせて戦いに挑んでいるのです!
隻眼の男が分銅を飛ばすと、鼻なしの男がその分銅をフックで打ち返します。
が、その分銅の一撃はおとり。
隻眼の男がその間に駆け寄ってきていて、顔面に強烈な膝蹴りを叩きこんだのです!!
たまらず倒れる鼻なしの男、そしてすかさずその上に馬乗りになり、鎖を首に巻き付ける隻眼の男……
隻眼の男は鎖を握る手の力を強め、ギリギリと締め上げていくのですが……鼻なしの男は、苦しみのあまり涙をこぼしながら懇願するのです。
死にたくない、助けてくれ……
隻眼の男は、それを聞いて祈るように答えます。
だったらギブアップしろ、俺だって、殺したくなんかない……
その瞬間に一瞬、隻眼の男の力が緩んだのでしょう。
その一瞬の隙をつき、鼻なしの男は義足に仕込んだ刃物を隻眼の男の背中につきたてました。
隻眼の男は大量に吐血をします。
ほどなく隻眼の男は意識を失うのですが……その今際の際に、隻眼の男はこう呟くのです。
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これでやっと、楽になれらぁ……

隻眼の男の壮絶な死で決着となったこの試合。
勝負がついた瞬間、それを見ていた観客たちは完成をあげました。
ある程度の地位のあるものたちなのでしょう、身ぎれいにした観客たちは、いずれもその死にざまに喜びを表すか、あるいはもっと粘って死ねなどといらだってみたり……とにかく、死というものを娯楽としか見ていないようです。
レノマの心の中に渦巻くのは、
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烈火のような怒り……!!
リクによって命の尊さを知らされ、そしてスラムで命をつなぐ困難さも思い知らされていたレノマに取って、ここにいるものたちは一人残らず下衆以下の存在以外の何物でもないのです!!
大場はその悪鬼羅刹のような表情を浮かべたレノマを見て、再び笑います。
そうなるようね最初は、誰でもちょっと怖くなるんだよ。
なるんだけど……歴代一位だよ、その表情は……!
にやにやといやらしい笑いを浮かべる大場ですが、その表情はすぐに崩れました。
彼の行く先に、ある人物の姿が見えたからです。
「ザ・キング」。
そう呼ぶ彼に、レノマを紹介する大場ですが……キングとやらは、レノマのことを知っていました。
どうした?スラムを思い出しでもしたか?
無理もねぇ、ここは確かにスラムの縮図だからな。
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久しぶりだな、佐々木ィ。
そう言って舌なめずりをする「キング」は……
あの、スライスデビル・沢田だったのです!!

沢田は笑いながらレノマに語りかけてきます。
そう言えばあの時の腕の傷は治ったのか?
まんまと俺にぶった切られたあの傷はよぉ。
全く、あの時はざまぁなかったな!!
そんなあからさまな挑発に黙っていられるレノマではありません!!
すぐにハイキックを澤田の顔面に叩き込もうとするのですが、粟田はそれを難なく回避。
見切ってんだよ、と言いながら反撃しようとするものの、レノマは冷静に対処。
すぐに足を戻してくキャッチしようとした沢田の手から逃れ、改めて逆の足でハイキックを放ったのです!!
が、沢田も身を翻し、ジャンプキックで反撃!!
すさまじい攻撃のぶつかり合い……と思いきや、そこに大場が割り込んできて、戦いを止めたではありませんか!
もちろんそれは、こんなところで戦ってもおかねにならないという判断故。
大場はさっそく、レノマのデビュー戦をマッチメイクするのです。
対戦相手は……そう、キング・沢田!!
しかもこの戦いは、武器使用も何でもありの命のやり取りと言うだけでなく、生き残ったまま敗北したものはペナルティとして体の一部を奪われる、というとんでもないペナルティまで用意されているというのです!!
果たしてレノマは、さらなるパワーアップを果たしたという沢田を倒すことができるのでしょうか?
そしてこの得体のしれないキラーズから脱出し、リク達と合流することなどできるのでしょうか……


というわけで、レノマの孤独な戦いが描かれる今巻。
今巻では、このキラーズから脱出するための手段を模索するレノマの頭脳戦と、沢田との決戦、そしてそこに至るまでのドラマが描かれていくことになります。
沢田は昔から、あらゆる手段を使って敵を消してきました。
そしてレノマは、幾度となく苦杯をなめさせられてきた怨敵……!!
レノマからしても、極楽島から脱出する際の最後の最後で手痛い傷を負わされてしまったわけですから、お互いその胸の内には一言では言い表せないほどの感情が渦巻いていることでしょう。
決戦となれば当然沢田はありとあらゆる手を尽くしてくることは間違いありません。
が、決戦の前にも何かを仕掛けてくるはず……!!
そんな危険の中で、脱出の手段を探さなければいけないレノマ、今回はブレーンである田中を頼ることもできないわけで。
この困難すぎる状況を、打破することはできるのでしょうか……?
そしてこの異常な空間の中で、物語の鍵を握りそうな人物の姿もちらほらと見え隠れし……
新たな局面を迎えた地獄島脱出編、またまた目の離せない展開となっていますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!