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今回紹介いたしますのはこちら。

「火ノ丸相撲」第10巻 川田先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。

さて、見事県予選を勝ち上がった潮とダチ高相撲部。
礼奈がマネージャーとして正式に加入し、新たに千鶴子と言う新入マネージャーが加入、より勢いづいていく中、潮は柴木山部屋で稽古をつけてもらえることになりました。
名古屋に向かった潮たちですが、そこで待っていたのは……?


必殺のはずだった、百千夜叉墜。
その技に自信を失いかけてしまっていた潮は、練習に身が入らなくなってしまっていました。
それを見かねた柴木山部屋の部屋頭、前頭九枚目の冴ノ山は、潮をある場所へと連れ出します。
柴木山部屋を含めた8部屋で構成される、鈴ヶ嶽一門の合同稽古。
その中でも十両以上……関取のみが入ることを許される、いわば上級訓練所。
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潮が求めてやまなかった、「強くなる地獄」に!!

求めていたもの、それ以上の環境へ導かれた潮は、冴ノ山の期待と厚意に答えるためにもさらに決意を硬くし、「お疲れさんでございます!」と力強い言葉とともにその敷居をまたぐのですが……
帰ってきたのは、関取たちからの冷たい視線でした。
関取たちは、潮のことを知っていて、さらに柴木山親方から稽古に混ぜてやってくれと話を通されてはいるようです。
が、だからと言ってにこやかに迎えてくれるようなことはありません。
何しに来たの?
名古屋場所を控えたこの時期、質の高い稽古をしに来たのに、素人(よかた)を混ぜちゃったら来た意味がないじゃん。
大相撲では番付がすべて、年上だろうが期待の高校生だろうが、番付に名前も乗らない君はここでは虫けら同然なんだ。
隅っこで大人しく見学してな、ぼうや。
……そんな、あまりにも冷たい言葉を投げかけられてしまう潮。
ですがそんな姿を見ても、冴ノ山はその光景をただ見ているだけ。
冴ノ山は、潮のことをきちんとわかっているからです。
私は一人の力士をここに連れてきたんです、と冴ノ山が潮のほうに視線をやると……
潮は浴衣を脱ぎ、土俵に上がっていました。
ワシが目障りじゃと思うなら、力ずくで追いだせばいい。
皆さんの稽古相手が務まるだけの実力があればいいんでしょう。
なら決めてくださいよ、今ここで。
わしの番付を!
そう言って闘志をみなぎらせる潮。
無礼にも見えるこの行動ですが、潮がこの場にふさわしい実力を持っていれば問題はないはずです。
今までさんざん潮に冷たい言葉を投げかけていた関取……三尾錦がうしおの挑戦を受けてたちました。
三尾錦は前頭八枚目。
番付上は冴ノ山よりも上……
冴ノ山に勝ったことはない、と言う潮にとってはかなりリスキーな勝負と言えます。
ですがここまでくれば、とにかくすべてをぶつけるだけ!
潮は得意の平蜘蛛からのぶちかましで立ち合いに挑みます!!
が、相手はさすが大相撲のトップクラスにいる関取。
渾身のぶちかましも難なく受け止め、押し込んでくるのです!!
が、今の潮のぶちかましが通じないのは潮自身も想定済み。
あたり負けはしたものの、前まわしをしっかりをつかんでいました!!
とはいえ関取も慌てることはありません。
ここまでだ、と反撃をしようとしたものの……
潮は、自信を失いかけていたあの技を繰り出すことを選んでいました。
この技は、命を乗せて放つ技。
仮に破られて技が死んでしまったとしても……それを恐れ、技を出さない時点で死んでしまったも同じ。
死を恐れるな、踏み込め!!
潮の浮かべる、鬼の形相。
三尾錦は一瞬その気迫に怯みました。
その隙を逃さず、潮は繰り出すのです!
全身全霊、必殺の
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百千夜叉墜を!
潮は冴ノ山に全く勝てなかったというのは、あくまでこの技を生み出すまでのこと。
この百千夜叉墜、完全に決まりさえすれば関取だろうとも投げ飛ばすことができるのです!!

三尾錦関を投げ飛ばしてみせると、関取たちの対応はがらりと変わりました。
冷たいだけだった視線は、ねめつける様な視線へと変わり……そして、次々に次は俺とやってくれないか、と取り組みの希望が殺到したのです!!
潮はここで稽古する権利を得たということなのでしょう。
が、あくまでこれはスタートラインに立っただけ。
「地獄」のスタートラインに……!!

三尾錦に鮮やかに決まった百千夜叉墜。
ですがその後、誰を相手にしても二度とそれが決まることはありませんでした。
一度は決めた三尾錦に対してもそれは同じ……
三尾錦は言いました。
確かに初見は面食らったよ。
でも特殊ゆえにもろさも十二分、日々研究誌研究され、を繰り返す関取には二度は通用しないよ。
そう言うと、関取たちはもはや潮に見向きもせず、稽古を再開してしまうのでした。
……その現実を突きつけられ、潮は打ちひしがれます。
これ以上強い技を作れというのか?
でも、これ以上の技はもう自分からは生まれない、と言う予感が、そしてそれだけの手ごたえがあった。
心も体も上限いっぱい、残された技も打ち止め……?
これ以上強くなることはできない……?
ですが、そんな重苦しい空気を振り払うように、潮は顔をぬぐって前を向きます。
くじけるな、考えろ!
これから来る大関の強さに学べるところがあるはず……
そんなことを考えていると、突然和服の老人がその場に現れました。
そして潮の顔を見て、虫の息だが、死んじゃいねえから良しとしよう、と言いだし……
潮を連れていく、と急に言い出すのです!!
全く意味がわからない潮なのですが、周りの関取衆はざわつき、その老人にお疲れさんでございます、と一斉にこうべを垂れ始めるではありませんか!!
……冴ノ山に行くべきだと促され、意味もわからぬまま老人についていくことになった潮……
ですが、老人の招き入れた部屋に入って、潮はその言葉の意味を知ることになるのです。
この老人は……
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元横綱、駿海だったのですから!!
まさかの元横綱の指導を受けることになった潮。
潮はこの素晴らしいチャンスをものにすることができるのでしょうか!?


というわけで、なんと元横綱の指導を受けることになった潮。
関取衆との稽古も確実にうしおをればるアップさせてくれるものではあるのですが、それよりもはるかに稀有な経験を積むことができそうです!
ですが、今は隠居状態の駿海ですから、その家に常駐する力士と言うのは存在しません。
関取衆の稽古に参加するのとは比べるべくもない稽古量になることは間違いないでしょう。
強くなれる地獄、とはまた違う経験ができるとはいえ、果たしてこの元横綱との訓練はその地獄以上の成果を売ることができるのでしょうか。
それはおそらく、潮次第なのでしょう!
潮は何かをつかむことができるのでしょうか?
名古屋で新たに出会った「国宝・大典田光世」、日景に対抗する手ごたえを売ることはできるのか?
試練続きの潮が、この訓練で得るものとは!?
目の離せない展開が続きます!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!