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今回紹介いたしますのはこちら。

「かぐや様は告らせたい ~天才たちの恋愛頭脳戦~」第2巻 赤坂アカ先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。

さて、有力者の御曹司や大企業のお嬢様と言った生まれながらに選ばれし者と、ごくごく一部の成績超優秀な一般生徒と言うエリートの集う秀知院学園。
その一般側ながら生徒会長になった男・白銀と、超お嬢様である副会長・かぐやは、なんだかんだとお互いのことが好きなのですが……エリートゆえのプライドが、告白するという行動を許さないのです。
そこで二人がとった行動は、自分の思惑に気が付かせないまま相手を誘導して「告白させる」というもの!!
なかなかままならない二人の恋愛頭脳戦、果たして今回の展開は!?


白銀とかぐやは、生徒会室でたくさんの荷物を広げていました。
時は年度末、各部が部費を余らせないようにと、たくさんの備品を購入する時期でして。
生徒会はその購入した物品が、適正に選ばれ購入されたものであるかを確認しなければならないのです。
こうも専門的なものが多いと品名と照らし合わせるだけでも大変だとぼやきながら仕事にいそしんでいたのですが……
どこから紛れ込んだのでしょうか。
段ボールの陰から、彼が顔を出したのです。

じょうじ、とつぶやいた(かのように見えた)黒く輝く彼。
その融資を視界の中にいれた瞬間、白銀の脳裏には過去体験したある出来事が脳裏をよぎっていました。
小学校高学年のころに参加した、林間学校。
夜中急にのどの渇きを覚え、自動販売機へと向かったのです。
何気なく自動販売機の前に立ち、硬貨を投入しようとしたその時、初めて自動販売機をまじまじと見たわけですが……その自動販売機は、虫たちの楽園となっていました。
目の前を跋扈する虫たち、彼らは容赦なく白銀の体にもとびかかってきて……
それ以来、白銀は虫を見るたびに失神するようになってしまったのです!!
カブトムシですらも見ただけで失神してしまう白銀ですから、黒光りする彼なんか見てしまえばそれはもう……!!
失神不可避なところなのですが、ここは生徒会室!!
家具屋の前で決定的な弱みは決して見せられない!!
その思いが、白銀の意識が闇に沈む直前に、自らの舌を噛むという決死の防御を許したのでした!!
意識をつないだ白銀、家具屋の前で無様な姿を見せたらどんなことを言われるか、と想像して背筋に怖気を走らせます。
虫が苦手なんですか、男らしさのかけらもない、まるで乙女じゃないですか。
お可愛いこと……
冷たい視線を浴びせかけられながら、そう告げられるシーンがありありと思い浮かべる白銀。
俺のイメージが崩壊する、虫嫌いだと知られてはいけない!!
そうと決まれば、この褐色の弾丸を同じ場に居続けることだけは何とか打破しなければならないところ。
怪しまれず、どうにか自然にこの場を逃げ出さねば……!

そんな白銀の思いを知らないかぐやはと言いますと。
虫が苦手というわけではないようで、あくまで冷静に現状を分析していました。
あれはあしの長さから見てクロゴキブリではなくウルシゴキブリ。
関東圏にはいない種のはずだから、荷物に紛れ込んだとみるべきだ。
屋外種だし、害虫ではないから怖がる必要はない……
などと考えたところで、かぐやは思いつきました。
ここで自分がとるべきリアクションは一つ!
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かぐやは、怖いです!と叫び、白銀に飛びついたのです!!
虫に怖がる女子が男子に飛びつくのは自然な現象、そして流られるようにボディタッチもできる。
知能指数の低い行動ながら、これこそが「女子力」だろう!とかぐやはほくそえむのです!!
今頃会長はほほを赤らめて挙動不審になっていることだろう、とその顔をうかがうのですが……正直白銀はそれどころじゃありませんでした。
どういうこと!?とうろたえていたかぐやですが、うろたえ度に関しては白銀のほうがはるかに上を行っています。
もはや白銀は遠くを見つめながら、神様に助けを求めている状態……
しかしそれを、白銀の精神力のたまもので生まれたポーカーフェイスだと勘違いしたかぐやは、もっと恥もプライドも捨ててかからなければだめか!と完全に間違った方向へ直進!
プライドも恥もない(当人の感想です)書記の千花ならどうするか、と考えた結果、かぐやはより一層強く抱きつきながら、退治して、かぐや怖い!と甘えるようなそぶりをすることを選ぶのです!!
本来ならものすごくドキドキドギマギするであろう白銀ですが、もはや彼の中にあるのは家具屋の前で無様なことだけはできないという、今にも消え入りそうな意地だけ……!!
やるしかない、虫が怖いという感情など脳が生み出した戯言、恐れる必要などない!!
そう自分を奮い立てて……念仏を唱え、仏にまで祈って何とか意識をつなぎ、手近にあった顔も知らぬ剣道部の小島くんの「垂れ」を手にして叩き潰そうと振りかぶるのですが……そこで、かぐやがまさかの言葉を発するのです!!
会長、このゴキブリは屋外種です、室内で増えたりはしないので殺す必要はありません。
外に出してあげましょう。
一寸の虫にも五分の魂と言います、殺しちゃかわいそうですよ。
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……かぐやからすれば、会心の一言だったでしょう。
この慈愛に溢れた発言、総統好感度が上がったに違いない!相当女子力高いだろう!!
確かに相手次第では総統好感度が上がった発言と言えるでしょう。
ですが、殺すなんかよりも難易度高い要求をしやがって!!と白銀のかぐやに対する好感度は急降下待ったなしです!!
どこからともなく取り出した割りばしでつまみ出すよう笑顔を向けてくるかぐや。
白銀は、意を決して奴に挑みかかるのですが……
逃げ出した彼が着地した場所は、よりによって白銀の顔面だったのです。
これは二度目のチャンス、と先ほどよりもさらに密着する面積を上げて、怖いと抱き着く家具屋ですが……
白銀の意識はもう……ありませんでした……
全身の筋肉を硬直させることで体勢の維持にだけは成功していたのですが……その筋肉の硬直により、かぐやを抱き寄せる形になっていた左腕にも力がどんどんこもっていってしまいます。
そしてその腕はやがて、かぐやの胸の……
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かすかなふくらみにかかっていって!?


というわけで、まだまだ続く二人の駆け引きを描いていく本作。
二人の思惑が交錯……はあまりせず、あっちに行ったりこっちに行ったりしながらお互いから回っていく展開は今巻も絶好調。
ギャグを読んでのにやにやと、二人の様々な反応に対してのにやにやが止まらないこと必至です!!
二人がくっついてしまえば終わってしまう本作だけに、その距離は一向に縮まらない……と思いきや、牛歩のようなゆっくりさながらその関係は前進!
今巻では今まで携帯電話を持っていなかった白銀がスマホを買ったことにより、一つの大きな駆け引きが始まることになるのです!!
それは……電話番号やメールアドレス、メッセージをやり取りするアプリの交換、と言ったぐっと距離を縮める連絡手段の入手!!
当然携帯電話を持っているかぐやとの間には必然的にそれを「相手から教えさせる」駆け引きが生まれることになり、その結果……!!
手に汗握ったり握らなかったりする二人の攻防、そんな彼らの気持ちも知らずマイペースに場をひっかきまわす千花。
三人の動向から目が離せませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!