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今回紹介いたしますのはこちら。

「さよならノクターン」第2巻 永瀬ようすけ先生 

KADOKAWAさんの角川コミックス・エースより刊行です。

さて、廃ホテル「ノクターン」に集った5人組は、「レコ」と称した世直しを行うことになりました。
それぞれ境遇は違うながらも、世の中に居場所を見出しきれない彼らは、このノクターンの仲間だけに心を開いていき、その仲間意識とともに日々その活動を拡大化させていきます。
ですがそんな中、レコの活動で銀行強盗を捕まえようということになり、その計画を実行。
その計画は失敗したばかりか、なんと誤って銀行強盗を殺めてしまい……!?


銀行号との肢体を森の中に埋め、一同はノクターンに集まります。
押し黙っていた5人ですが、まずレニが口を開きました。
やはり隠したのはまずかったんじゃないか、ばれてしまったらもっと罪が重くなるんじゃないか、と。
その言葉にまず声を上げたのは、ケンジでした。
銀行強盗は銃を持っていたし、抵抗しなければこちらが殺されていた。
死んで当然、と言うほどのことをしていなかったのかもしれないが、銀行強盗なんてことをしていた犯罪者なんだから、正当防衛だ、と言い訳を並び立てるのです。
確かにそれはその通りですし、なにせノクターンのメンバーは全員未成年ですから、おそらく積み荷と問われることはないでしょう。
ですが、だからと言って何事もなく日常に戻れるか、と言えばそんなことがあるはずがないのです。
逃亡中の強盗犯の死亡、と言うことでまずセンセーショナルな報道が行われます。
そうなれば当然ノクターンのメンバーもマスコミの話題に上りましょう。
マスコミは未成年が相手ですし、身元を隠してくれるかもしれません。
しかし今はネット社会、話題になればどんな些細なことからも情報を集め、そして……メンバーの身元が割れてしまうことは間違いないのです。
現代社会の情報伝播のはやさは、若い世代の彼らはよくわかっています。
きっとすぐに身元がばれ、悪戯電話や、自宅まで直接やってくるものも少なからず訪れるでしょう。
罪に問われなかったとしても、社会的に葬られてしまいかねない……
そう考えると、安易に自首の道を選ぶことも考えものです。
そこでソウイチロウは、犯人を殺めたというジュンに直接詳しい事情を話してくれないかと持ち掛けました。
……実際に手を下したのはサキで、サキはおずおずとそのことを打ち明けようとするのですが、それを遮るようにジュンははっきりとこう言うのです。
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オレは、自首するつもりはないよ。
サキに追いついたとき、彼女は殺されそうになっていた。
だから犯人にとびかかったら崖から落ちてしまったんだ。
様子を見に行ったらまだ生きていて、襲い掛かってきたから近くにあった火かき棒でとどめを刺した。
全部やったのは俺だ、みんなに迷惑をかけたくない。
殺したのも埋めたのも、俺が全部一人でやったことにすれば……
その提案を、ソウイチロウは却下します。
ぬっばで立てた計画なんだから、責任は一人じゃない。
あいつは逃亡犯なんだから、行方がわからなくても不思議じゃない。
……その言葉は、再び一同の間に重苦しい沈黙を招きます。
ここで、これからどうするかをすぐ決めるのは難しい、と言うことだけは、全員が痛いほどわかっていまして……
ケンジは、とりあえずここの犯人の痕跡も消そうと提案し、それで今日はいったん解散と言うことになるのでした。
……が。
問題は、銀行強盗が隠していた体力の金です。
大きめのバッグ二つにこぼれんばかりに詰め込まれた金……
これも処分したいところですが、うかつに捨てて騒ぎになるというのも防ぎたいところ。
とりあえず隠しておくことにして、5人はノクターンを後にします。
今夜のことは忘れよう。
僕たちはこれからも変わらない。
今まで通りの日常が待ってるはずだ。
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そんな、願いにも似たつぶやきを残して。

そのあと、それぞれはそれぞれの日常に戻っていました。
ですがやはり、今まで通りの日常に……とはいきません。
ソウイチロウは、引きこもりになってしまった兄と、ノクターンのメンバーの中のある二人へのもやもやした気持ちを振り払えずにいます。
ジュンはと言うと……あの銀行強盗が持っていた本物の銃をひそかに持ち帰り、その中の情報を調べると言った行動をしていました。
サキは、夜ごと家で繰り返される、悪夢のような光景に悩まされ、精神が限界近くにまですり減っていて……
そんな中で、レニとケンジもしてはならないことをしてしまいます。
隠していた金を、ほかのメンバーには相談せず少し抜いて使う……そんなことを!!
レニは自分のオタク趣味のために金を使おうとしている完全なる私利私欲のためなのですが、ケンジは少し違います。
ケンジは所属している悪の集まるグループのリーダーに、5万円上納するように言われてしまっていました。
根っからの悪党ではないケンジですから、カツアゲなんかは飛んでもありませんし、親の金を抜くというのも気が進みませんし……そもそも貧乏な彼の家にとって、5万円がどんな大金かがよくわかっているのです。
どうするか迷っているうちに思いついたのが、このお金。
少しくらいならばれないか、と思って鳥に来たのだそうですが……
その金をとりに来て、いよいよレニとケンジは事の重大さを再確認することになってしまったわけで。
こんなことをするつもりじゃなかった、どうしてこうなってしまったんだ。
二人はやり場のない怒りをどうにもすることもできず、ただただ悩むほかなかったのです。

……が。
とうとうその時は来てしまうのです。
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手配中の強盗犯が山中で死体で発見された、という報道……!!
もはや後戻りすることはできません、
ノクターンのメンバーの運命は、もう戻らないほどにねじれていってしまうことになります。
そう、今よりも、もっと、もっと、とんでもなくいびつに……


というわけで、悪夢が一層加速してしまう今巻。
人を殺めてしまう、と言う最悪の出来事を起こしてしまうジュン達ですが、彼らを襲う悪夢はこれだけでは終わらないのです。
程度の差はあれど、それぞれが様々な理由で追い詰められてしまうことに……
もともとパッとしない日常から逃避するために集まっていたノクターンのメンバーですから、よりどころと言えばノクターンだけ。
そんなノクターンも、この事件で集まりづらい状態になってしまったわけです。
事件も発覚してしまい、一同は精神的にも、現実の居場所的にもいよいよ切羽詰まってしまいました。
果たしてこの後、一同はどのような運命をたどることになるのか?
頭を抱えたくなるような悪夢の連鎖が、一同に牙をむくことになるのです!!

今巻は永瀬、が先生の持ち味の一つである、どうにもならない追い詰められた状態にキャラクターたちを陥れる、容赦ない展開が楽しめます!
第1巻のラストも十分に容赦ない展開でしたが、この第2巻ではいよいよもって逃げ場がなくなっていくことに!!
これから先の展開は、決して明るいものにはならないでしょうが……それでも、先がどうなるか確認せずにはいられないはずですよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!