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今回紹介いたしますのはこちら。

「蛍火の灯る頃に」第1巻 原作・竜騎士07先生 作画・小池ノクト先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。




さて、様々な舞台で精力的にホラー漫画を描いている小池先生が、「ひぐらしのなく頃に」で一世を風靡した隆起し先生とタッグを組んで生み出されることとなった本作。

ホラー・サスペンス界の個性派同士が組んだ本作の内容はと言いますと……?



2016年、7月。

正志、幸人、月の三人が乗った車が、山奥の村に向かって車を走らせていました。

3人の目的は、急に亡くなってしまったおばあさんのお通夜に出席することです。

車の中は、あまり楽しげなムードではありません。

そりゃあおばあさんが死んだんだから……と言いたいところですが、原因はそうではなさそう。

月は喉が渇いたかなどと父の正志や兄の幸人の世話を焼こうと話しかけるのですが、正志は会話を弾ませようという気がないようで、そっけない返事を返すばかり。

幸人に至っては、ソーシャルゲームに夢中で一切話を聞いていない様子……

そんなムードの中で、月はさらに言いづらそうに正志にこう言うのです。

おじさんたちもお通夜に来るんだよね。

お父さん、つらいの、親戚の人に会うの我慢してるんだ葉ね?

私とお母さんのせいで……!

月が何かを言おうとしているのを、正志は遮ります。

そんなにおどおどすることはないんだ、と正志は月を気遣う言葉を投げ返すのですが、月はうつむき加減に謝るばかり……

幸人もゲームで気に入らない展開を迎えたようで、罵倒の言葉をスマホへと浴びせかけます。

暗いムードはさらに加速してしまうのでした。


おばあさんの家につくと、すでに親戚一同が集結しているようです。

三人を最初に出迎えたのが、チャラい感じの印象を受ける叔父、信輝でした。

気安く幸人の肩に手をやり、相変わらずだな、免許くらいとってたまには運転変わってやれよ、などとめんどくさい感じで絡んできやがります。

さらにそこに、雪野と苦手な人物が現れました。

まだ無職なの?クズまっしぐら?

そう言って完全にバカにした視線を投げかけてくる、輝美です。

彼女はバイトをしながら劇団員をして、女優を目指しているという、夢追い人。

ですが実際に女優への目があるのかと言えばそうでもなく、幸人からすればサークルみたいなものにしか見えないらしいです。

が、ことあるごとに自分がいま輝いていて、努力しないで人間的魅力がゼロになったら困る、などと暗に幸人を下げる言動を繰り返し……要するに、自分以下の存在である幸人を見下して自尊心を満たしているのです。

家に入ると、輝美の弟である輝也が幸人と同じソーシャルゲームで遊んでいました。

そんな彼らが通夜の準備でいなくなりますと、今度は別の伯父が姿を現しました。

思ったより元気そうで安心した、急に仕事をやめたって聞いて心配したんだよ。

そう言って幸人の肩に手を置く彼は、常雅。

そのまま、終身雇用って時代でもないし、今は力を蓄えて30にでもなったら本気出せばいいさ、今度海連れてってやるよ!と、幸人がどう思ったかはおいておいて、はげましの声をかけてくれるのでした。

幸人、月、正志、信輝、輝美、輝也、常雅。

これで親族7人がそろいました。

その後一同は永遠の眠りについたおばあさんに別れを告げるのです。


おばあさんは、優しい人でした。

優しい人でしたが、なぜかこの村のしきたりについてだけは非常に厳しく、正志たちをしかりつけたといいます。

そのしきたりが厳しすぎたのが、兄弟三人全員がこの村に残らなかった一因でもあるでしょう。

道の真ん中は歩くな、山は禁則地だ、そこらじゅうでお辞儀をさせたり手を洗わせたり。

一体あれは何だったのか、今となっては知る由もありません。

そうやっておばあさんの話で盛り上がった後は……親戚で集まった時には必ずと言っていいほどたどる、お決まりのルートをたどり始めました。

酒に酔った信輝が、正志のことを扱き下ろすのです。

正志が信輝に嫌味を言われる出来事の発端は、5年前に起きました。

なんとおばあさんが、1億円の宝くじに当選したのです。

おばあさんは欲のない人で、一億円を使う予定もなく、そのまま三人の息子たちが相続する……はずでした。

が、ちょうどそのころ正志は夢子と言う子連れの女性と再婚したのです。

夢子は精力的な実業家でしたが、その事業は全く成功せず。

そのサポートをするために、正志はおばあさんからお金を借り始めたのです。

一向に軌道に乗る兆しのない事業の補てんに、どんどんと使われていくお金……

やがて、一億円すべてを溶かしきったとき、夢子は突如失踪してしまったのです。

夢子とその連れ子である月は、一億円をだまし取るために正志に近づいたんだろう!


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決まって信輝はその結論に行きつき、月を侮辱。

たまらず月はその場から逃げ出してしまう……

いつものパターンと言っていいそのシーンを見て、幸人はかわいそうだと思うとともに、大人なんだからいい加減この流れになれろ、と思うのでした。


庭に逃げ出した月は、どこにいるとも知れない母に祈ります。

お母さんは返ってこないんじゃなくて、帰ってこられないんだよね。

お金、仕事、すべての責任を背負って、きっと独りで逝ってしまった……

力になれなくてごめんなさい。

手を合わせて祈る月の視線の中に、淡い光が飛び込んできます。

よく見れば、周囲をほのかに光るものが飛びまわっていて……

蛍でしょうか。

月はそれを見て、みんなに教えて明日一緒に見よう、と考えます。


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こんなにきれいなんだから、みんなきっと喜んでくれる、かも……


深夜。

みんなが寝息を立てるなか、月はふと目を覚まします。

すると、家の中にまであの蛍らしき光が入り込んでいるではありませんか。

蛍って家の中にまで入ってくるのか?それとも夢を見ているのか?

疑問は浮かびますが、月はその光の美しさに惹かれ、どこかに去っていこうとするその光の後を思わずおかけてしまいました。

光が向かっているのは、外……ではなく、おばあさんの肢体が安置してあるお部屋です。

中をのぞいてみますと、番をしていたらしい常雅が寝息を立てています。

月はそのままそっと中に入り、蛍を眺めていたのですが……

その時のことです。

ごそごそ、と奇妙な音がしたかと思うと……おばあさんの布団の中からにょっきりと足が顔を見せたのは!!

それは布団に潜り込んでいた別の誰か、などでは断じてありません。

おばあさんは仰向けのまま布団から這いだしました!!

そして


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仰向けのまま足をばたつかせ、這うように玄関から外へ出ていってしまったではありませんか!!

突然の出来事に仰天し、へたり込んでしまう月……

その悪夢のような光景は、夢ではありません。

翌日になると、目を覚ました全員が「おばあさんが消えた」と騒ぎ立てたのですから!!

世にも奇妙な出来事が起きてしまったわけですがありのままを語ったところで誰も信じてはくれないでしょう。

月は言いだせないまま、外におばあさんを探しに出ていった一同の後を追うのですが……

そこで一同は、さらに不可解なものを目の当たりにすることとなるのです!!



というわけで、幕を開けた本作。

この後、こう言った作品でのお約束とばかりに、一同はこの村の中に閉じ込められてしまうこととなります。

そして一同は、目も疑う奇妙で危険で奇怪な出来事に次々と遭遇することに。

巻き起こる事態に困惑するばかりで、とにかく危険から身を守り、生き延びることに終始するほかない。

そんな状況の中、突然この状況に一石を投じる人物が登場するのですが、その人物は……!!

まさかのキャラクターの登場に、竜騎士先生ファンはびっくりするかもしれません!!


竜騎士先生作品といいますと、一見オカルトめいた出来事や、ファンタジー的なバトル描写に見えるものが、厳格であったり物語を盛り上げるための演出であったり、描写が多かったりします。

ですが本作における恐怖の出来事の数々は、正直言って幻覚やら演出やらでした、ではちょっと説明しきれないような、はっきりとした異形が登場!!

もしかしたら竜騎士先生初のはっきりとした「ホラー」作品になるのかもしれません!!

そんな本作を描く小池先生の実力は、様々な作品で実証済み。

しかも近作の「黒街」「マッシュルーム」で見られたようなコミカルな要素はほとんど排除されていまして、恐怖描写、残酷描写、生理的嫌悪巻と言った小池先生のホラー方面のパワーが一層感じられる作品になっています!


竜騎士先生作品だけに、おそらくとんでもないどんでん返しなんかも用意されているであろう本作。

恐怖描写だけでなく、そんな物語の謎や、真相に思いをはせるのもよろしいのではないでしょうか!!



今回はこんなところで!

さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!