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今回紹介いたしますのはこちら。

「あげくの果てのカノン」第2巻 米代恭先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。

さて、8年間ずっと恋い焦がれてきた憧れの先輩、境に思いを伝えてしまったかのん。
ですが彼はすでに結婚相手がいる上、謎の生物「ゼリー」と戦う戦士だという特別すぎる状況の相手なわけで。
ゼリーとの戦いの中で「修繕」されるたび、その体や心が変化していく彼、かのんはそれでも好きすぎて思いを打ち明けてしまうに至ったのですが、その直後境は突然現れたゼリーによって、頭を斜めに輪切りにされてしまい……!!


どうやら境の頭を切断したゼリーは、その時二人があっていた地下の対ゼリー研究施設の内部から逃げ出してしまったもののようです。
すぐに施設の関係者がその場に駆け付け、猛攻撃を浴びせたために事態はすぐに収束。
かのんはその体に一筋の傷すら追うことなく、脱走ゼリーの駆除はなされたのです。
……が、傷が残らなかったのはあくまで体に関してだけ。
かのんの体に降りかかった、境の生暖かい血液の感触。
香ってくるその匂い。
地面に転がり落ちた境の頭部。
そして、それを抱え上げる感触……
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数々の忘れえない出来事が、彼女の心に深い深い傷を残したのです。

意識を失ってしまったかのんは病院で目を覚まします。
かのんは研究施設を見学に行って、その中で貧血で倒れた、と言うことになっていました。
テレビを見ても、あの痛ましい事件は一切報道されていません。
その一連の流れを見て、かのんはそれがあってはならないこと、なかったことにしていることを察知。
弟のヒロが何かあったことを何となく察知して、本当に貧血なのか、何かあったのか、と尋ねてきたのですが、かのんはそれに何も答えることはありませんでした。

それから先は、いつも通りの日常が戻ってきます。
不気味すぎるほどのいつも通りの日常……
変わったのは、あの施設に置いてきてしまったカバンが戻ってこないことと……境がああなってしまったことです。
かのんは、今でもありありとその時の感触を忘れることができずにいました。
食欲もわかず、心配した同僚からちゃんと食べなきゃだめだ、とあまりのケーキを食べるように勧められるのですが……
どうしてもそんな気分にはなれません。
ケーキの表面に塗られたクリームを指でいじると、そのぬめりがあの時の地を思い起こさせます。
そのクリームをなめとったあと、フォークをケーキにつきたて……ぐしゃぐしゃと崩しながら物思いにふけります。
これは、罰だ。
先輩に誘ってもらったからって、浮かれて勢いで告白なんかした、当然の罰。
……学生時代に先輩に告白した時は、こんなことを言いました。
好きです、入学式のあいさつで見たときも、部活でも、コンクールでも、そこだけキラキラしてて。
先輩のことよく知らないけど、でも一生、先輩しか好きにならないって確信してるんです。
それを卒業前に伝えたくて……
そんな告白を聞いた先は、笑ってこう答えました。
一生好きって、そんなのできたらものすごいことだよね。
……かのんはロッカーに頭を持たれかけ、その思い出の映像を振り切りました。
なんでこんな時もカッコいい先輩を思い出しちゃうんだろう。
先輩が死んだら、私はどうすればいいの?
境に出会ってから、かのんのなかにはずっと彼がいました。
結ばれなくても、会うことすらできなくても、心の中に境がいる。
それだけで彼女は幸せを感じることができたのです。
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……だというのに、もう一生境に会えないし、声を聞くこともできない……
いや、そうとは限りません。
ゼリーとの戦いでどんな大けがを負っても、境は「修繕」され、復活してきました。
もしかしたら今回の絶望的なダメージも、奇跡的に回復するかもしれません。
ですが、生きていたとしても……それは、かのんの知っている境では、なくなっているかもしれないのです……
考えてもどうにもならない思考を、ぐるぐると巡らせ続けているかのん。
そんなかのんの耳に、接客している同僚の声が飛び込んできました。
あら境さん、足元の悪い中ありがとうございます!
その言葉を聞いた瞬間、かのんの中から今まで渦を巻いていた不安がどこかに飛んで行ってしまいます!!
かのんは瞳を輝かせ、慌てて2階の休憩室からお店のほうにかけ下りていきました!!
あまりに気持ちがはやりすぎて、階段を踏み外してしまい、ヘッドスライディングの用事な状態でお店に出てしまいました!!
その場にいたのは……境でした。
堺でした、が……
久しぶりじゃないですか?奥様がいらっしゃるなんて。
……そこにいたのは、境先輩の奥さんだったのです!!
かのんのほうを振り向き……
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恐ろしさすら感じさせる、薄笑いを浮かべる彼女……
その表情は、こう言っているように見えました。
全て知っている、と……


というわけで、境の奥さんが登場してしまう今巻。
かのんの恋が決して実ることがないという事実を裏付ける最大の要因である彼女が現れたその理由は何なのでしょうか。
その目的はやはり、夫が近づいている女性がどんな人物なのかを確かめに来た、と言うところ……?
彼女はこのあと、かのんに対してある言葉をつぶやくのです。
その言葉はやはり、かのんを大きく揺さぶることなるのですが……

さらにこの後、物語はどんどんと動いていくことになります。
惨殺されてしまった境があの後どうなっているのか。
おくさんの言葉でさらに落ち込んでしまうかのんはどうなるのか。
その奥さんは、境とどのように出会い、そして今現在どんな感情を抱いているのか?
より複雑化していく三人の関係に加え、さらにそこへヒロまでかかわり始め、一層不穏な状態へと陥っていきます!
ただでさえ目の離せないドラマが展開していく中で、今まで得体が知れないの一言しか言いようのなかったゼリーの関しての情報も徐々に明かされていき、一層先が気になっちゃいますよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!