ot0
今回紹介いたしますのはこちら。

「温泉卓球☆コンパニオンズ!」第3巻 えむあ先生 

少年画報社さんのYKコミックスより刊行です。

さて、ゆのさき温泉高校廃校を防ぐかすかな希望に縋るため、地区大会に挑んだ一同。
ですが運命はあまりにも残酷なもので、一度は受理された薫子の出場が取り消されて失格になってしまったうえ、肝心の由乃花が発熱してダウンしてしまうという状況に……
さらに町長から下野に、試合前の段階でゆのさき高校の廃校が決まった、と衝撃的な事実が告げられてしまったのでした!!


下野は、もはや立っていることもできない由乃花を背負って会場を後にしようとしていました。
それを見かけた薫子は、自分にはここにいる資格がないから一緒に病院まで付き添う、と声をかけるのですが、下野はそれをきっぱりとダメだと断りました。
それも、薫子にはこっちのことを頼みたいから、です。
薫子と由乃花は出場することができないものの、ふわりとひなのは個人戦に出ているわけです。
応援もしなければなりませんし、勝ち上がっていけばより技術的、戦術的なアドバイスが必要なはず。
それができるのは、一段上の技術と戦術を持つ、薫子だけなのです。
薫子は二人の背中を見送った後……悲痛な面持ちのまま、試合場へ向かうのでした!

ひなのの試合はクライマックスを迎えつつありました。
セットカウントは1-2。
対戦相手にそれほど「強さ」は感じていないものの……ずるずると点を取られてしまっています。
対戦相手は何やら審判をしている女子と仲がいいらしく、ひそひそとゆのさきのユニフォームを「コスプレみたい」とひなのの悪口を囁いている……のもありますし、何より由乃花や薫子のことがいろいろありすぎてまるっきり集中できていないのが原因でしょう。
焦燥感を隠し切れないひなのでしたが、そこに観客席から薫子が顔話出して声をかけてきたのです。
ひなのは、由乃花は大丈夫なのかと尋ねるのですが……なぜか沈黙する薫子。
このタイミングで黙るのは怖い!と思わず突っ込んだところ、薫子は重い口を開き、失格になって、そしてそれを見越していたのに相談もせずにいてごめん、と謝ってきたのです。
……ひなのは、謝られたこと自体にぴんと来ない様子。
許すも何も、大変なのは薫子と由乃花だし……ともごもご言っておりますと、薫子は自らの頬をパンと叩いてセルフで気合注入!!
切り替えて、受け身にならずこちらから仕掛けていけ、とアドバイスを飛ばした後、状況を説明しました。
由乃花は一応病院に向かい、下野は付き添い、自分たちは自分たちで最善を尽くす!
ot1
……由乃花の分まで!!
どんなアドバイスよりも、その言葉のほうがひなのに力を与えたようです!
そして、この戦いでいまいちひなのが乗り切れない理由もわかりました。
相手がそれほど強くないから、だったのです。
由乃花はこの選手のように甘い球を出してこなかったから、タイミングが狂っていたんだ。
甘い球なら、打っちゃえばいいんだよね!
そう気が付いたひなのは、今までが嘘のように攻勢に!!
薫子もその様子を見て、大丈夫だと確信したようです。
そしてふわりの試合の方に目をやりますと……
この地区では比較的強豪と言える高校の三年生との試合をしていました。
が、ふわりはあくまで冷静。
相手の渾身のドライブも涼しい顔で拾い、完全に優勢に試合を運んでいました。
ですが、冷静なだけではありません。
ot2
由乃花の分まで戦う、と言う彼女の熱い気持ちも確かに感じ取れるのでした!!

……大会は終わりました。
由乃花は笑顔で、ふわりとひなのを出迎えます。
ふわりん、ベスト16まで行って県大会出場って、凄い!
ひなっちもベスト32って、すごいじゃーん!
そうほめたたえてくれる由乃花に、ひなのは組み合わせがよかっただけ、結局二人とも夢見ノ丘高校の人には手も足も出なかった、と照れるのでした。
ところで由乃花のほうの体調はどうなのでしょうか。
点滴打ったらすっごいすっきりしちゃって、と元気アピールをする由乃花を見て、ふわりたちも胸をなでおろしたようです。
由乃花は二人に、いいなあ、私も試合したかったなぁ、とあくまで明るく無念の欠席を笑い飛ばそうとしたのですが……そこで、彼女に限界が来てしまったようです。
先ほどまで笑顔だった瞳から、大粒の涙が溢れ……口から出るのは嘆きの声……
……由乃花は、すべてを知らされてしまったのです。
ot3
でもね、もうみんなと試合できなくなるって……
由乃花の体調不良、薫子の失格。
そんな苦い始まりを迎えてしまった卓球大会は、さらに苦い苦い終わりを迎えることになってしまったのでした……


というわけで、クライマックスを迎える本作。
やはり、卓球で活躍して廃校の危機を乗り切る……などと言うのは、夢物語にすぎなかったのでしょうか。
大会の終了すら待たず、廃校は決定。
由乃花達はゆのさき温泉高校卓球部としての活動をあきらめるほかなく、それどころか学校自体が離れ離れになってしまいかねません。
それどころか、ゆのさき町自体もどこかと合併してなくなってしまうことになりそう……
そうなれば、由乃花のお母さんが町長を続けることはできなくなりますし、何よりも……職を失う形になる下野はこの街を離れざるを得なくなるでしょう。
お先真っ暗と言っていい状況に追い込まれてしまったゆのさき温泉卓球部……果たしてこれから、どうなってしまうのでしょうか!?
意外な人物の登場や、人と人とのつながりが絡み合い、物語はクライマックスへ一直線!!
ラスト近辺の盛り上がりは、涙なしで読むことはできませんよ!!!

ものすごくシリアスになってしまった(?)物語の流れ上、この最終巻ではエロス要素はだいぶ控えめ。
掲載誌的に大丈夫なのかと呼んでいるこっちが心配になっちゃいますが、描き下ろしのおまけや巻頭のカラーページなどなど、あるところにはあるのでご安心ください……!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!