nh0
今回紹介いたしますのはこちら。

「奈落の羊」第3巻 きづきあきら先生+サトウナンキ先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。


さて、ワケあり少女のメイを囲い、動画配信業を軌道に乗せようと企んでいた修二。
ですが彼の周りには嘉門やギバといった、きな臭い香りを漂わすものが多く存在し、それぞれが修二の食い物にしようと狙っているのです。
そんな時、メイが別の動画配信グループに拉致されてしまうという事件が起きてしまいました。
修二は嘉門とともに助けに向かうものの、その連れ去られた先に死体が遺棄されていて、その様子が配信に映ってしまい……!!


あんな目に会ったあとも、メイは修二の配信を手伝うと言います。
彼女の中ではきっと、修二は特別な存在になっているのでしょう。
そんな彼女の気持ちも知らず、かといって心の底から金蔓だとも思うことができない修二は、心の中に何とも言えない気持ちをため込んでしまっていました。
彼女の行動や気持ちが理解しきれない修二はイライラを募らせ、メイなんてリスナのおもちゃなんだから、ひどい目に会ってしまえばいいなどと思ってしまいます。
そんなときに、メイの「商売」のリーダーのようなことをやっていた女性、ユウキが修二に接近。
彼女は、いい企画がある、と修二に配信のアイディアを耳打ちしてきたのです。

無職限定合コン。
それがユウキの提案してきた企画でした。
配信されるというある程度のリスクはありますが、メイが参加する、となれば、例の事件で一気に知名度を上げた彼女目当ての男の参加者は問題なく集まるでしょう。
女性の参加者はいるのかと言うのが不安ではありましたが、ユウキも参加するということを前もって宣伝していたおかげもあり、予想外に女性参加者もそろいます。
……が、やはり配信される無職限定合コン、と言う企画に、それも事件きっかけで注目を集めている配信者のそれに参加しようと考えるものは曲者ぞろい。
合コン開始前から、修二はドン引きしてしまっていました。
なにせいの一番に、目の色を変えながら、本物のしゅーじ君だ!合コンなんて言ったことないし怖かったけど、しゅーじ君来る倣って頑張りました!と修二に語りかけてきた参加者の女性の左腕には、リストカットの後と思われる傷跡がびっしりついていたのですから……!!
男のほうもなかなかの人材がそろっています。
超ブラック企業から脱出して、今は充電中だというルーデル元帥。
無職って言うか、二年後には世に出るからおぼえておいてくれ、と謎の自信をみなぎらせているあんきも二郎。
このままじゃダメだから、運命の人を見つけて変わりたいと漏らす石狩ライナー……
そんな様々な無職が集い、合コンは始まりました。
自己紹介と完敗が終わり、ある程度会話をした後、修二はさっそく配信を盛り上げるための王様ゲームを行います。
最初に仕込みで男同士がキスすれば成功しやすい、とどこからか情報を仕入れてきた嘉門がアドバイス。
まず修二と嘉門が男同士でキスすることで、少しエロスな命令でも断れないムードを作ります。
その後もゲームは続き、狙い通り少しエロスな命令を実行させることで、配信もそこそこの成果を上げていきます。
修二はこの盛り上がりをこう分析していました。
「自分以下」のメイみたいな女ならいけると思ってきたクズ、それを見て楽しむクズ。
「オレはこいつらよりまし」と思って気分を良くしてもらえるのなら、お互い負けなしじゃないか、と。
その言葉を聞いた嘉門は、自分もクズの癖に、と修二が聞き取れないくらいの小さな声でつぶやきました。
修二は何か言ったかと聞き返すのですが、嘉門はいつもの笑顔を浮かべ、何でもない、と首を振るのです。
そんな時、王様ゲームでは石狩ライナーとメイがポッキーゲームをすることになっていました。
キモい、カネ取れよ、やめろ、などと言うコメントが怒涛の勢いで流れる配信の動画を通して、それを見つめる修二……
nh1
その顔は、到底ひどい目に会ってしまえと彼女をオモチャ扱いした男のものには見えず。
やはり修二の心の中には、割り切れない思いが渦巻いているようです。

合コンは終わり、それぞれ家路につこうとしている時のこと。
あの石狩ライナーがメイに話しかけ、お金を渡そうとしていることに気が付きます。
あいつ、買うつもりか、と止めに行こうとした修二ですが、話の内容を聞くとそう言うわけでもない様子。
石狩ライナーは、これはただもらってくれるだけで良い、変わる理由が欲しいだけだ、メイを助けるために就職とか頑張ってみたいと勝手に思っているだけ、そう思っているだけで頑張れる気がするだけなんだ、と言っているのです。
が、それでもメイはその金を受けとりません。
その様子を修二は、何とも言えない表情で眺めていたのですが……
そこで、先ほどの修二ファンの女性が声をかけてきました。
よくよく話を聞いてみますと、彼女じゃ「るるたんカッター」と言うハンドルネームで、昔修二の配信のヘビーユーザーをしていた人物で、それなりに知っている人物だったことがわかります。
るるたんカッターは、修二がかつて所属していた、リクオの運営するグループ「らぶクラフト」の配信の大ファンだったとのことで、修二がグループを抜けたのが残念だった、と言います。
らぶクラフトの皆さん騙されて、しゅーじさん、おかしな囲いに目をつけられて、仲たがいさせられたように見えましたから。
……修二がらぶクラフトを抜けたのは、急に修二アンチが増えたことでいづらくなったのが発端でした。
アンチが増えるだけならまだしも、次第にリクオしか知らないような、修二のやったことなどもネットに流れ始め……リクオが自分をはめようとしていると問い詰めてみれば、ほかのグループのメンバーには修二のほうがやばいやつだと糾弾。
その時の大げんかが全部配信されてしまい、修二一人が悪者になってグループを抜けざるを得なくなったのです。
今思えばみんなグルだった、絶対にアイツらは許さない。
修二はリクオたちに、強い憎しみを持っていた、のですが……
おかしな囲いに目をつけられて、仲たがいさせられた、とはどういうことなのでしょうか。
まさか、修二をはめたのはリクオではなく、もっと別の……?
突然降ってわいた、思いもよらない事実。
nh2
混乱する修二を……物陰から、嘉門がすさまじい形相で見つめていたのでした……!

そしてそのころ、もう一つ異常な事態が起ころうとしていました。
先ほどの石狩ライナーを、ユウキがトイレに連れ込んで手や口で「して」いたのです!
ホテル代出してくれたら、もっとすごいことしてあげる。
そう囁くユウキに、石狩ライナーは、でも俺あんまり金が、と口ごもりました。
……ユウキが待っていたのは、その一言でした。
ああ、お金貯めたいんだよね。
nh3
すごーくいいバイト、紹介してあげようか。
そう笑うユウキの瞳には、どす黒くよどんだ闇が渦巻いていたのです……


というわけで、修二とメイがさらなる闇にはまり込んでいってしまう今巻。
前巻でもギバとその右腕らしき女に裏で糸を引かれ、あの事件に遭遇「させられて」しまいました。
今巻で行われた合コンも、配信のため、メイのため、というユウキの言葉によって企画したもの。
ユウキも結局はギバたちの一味なわけで、やはりその裏にはとんでもないたくらみが隠されていたのです。
この後も修二とメイは、何も知らず第2回、第3回と合コンを企画し、そしてユウキのたくらみも進行していきます。
事態は悪化の一途をたどり……この後、修二はとうとうこれ以上ないところまで追い込まれてしまうことに……!!
クズを描くことに関しては定評のある(?)きづき&サトウ先生ですが、本作でもそのクズっぷりは健在。
この第3巻では、クズがそのたくらみを結実させていく、実に胸糞の悪い展開となっているわけです!!
こう言った展開も両先生の得意とするところなわけで……
ますます追い込まれていく修二。
巻き込まれていく周囲の人物。
笑う悪党たち……
読者の皆さんはこの深まっていく地獄のような展開が、いずれ解決していくよう祈りながら読んでしまうことでしょう!
ですがその地獄を招いた悪党の中には、その悪事の大小の違いはあれど、修二も含まれているわけで。
どう転んでもおそらく、明るい未来は見えてこないこの物語。
修二の転がり落ちていくさまと、その転がり落ちた先を見届けるほかないでしょう!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!