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今回紹介いたしますのはこちら。

「ソフトメタルヴァンパイア」第1巻 遠藤浩輝先生 

講談社さんのアフタヌーンKCより刊行です。



さて、16年に「オールラウンダー廻」を見事に完結させた遠藤先生。
早くも新作となる本作の連載を開始し、単行本刊行となりました。
「廻」はリアル路線の総合格闘技漫画でしたが、今回はSF要素を盛り込んだバトルものとなっていまして……!?


斎美井香(イツキ ミイカ)は子供のころ、母の形見だと思っていた吟のアクセサリーでよく遊んでいました。
ふわふわとお手球のように「浮かべ」て。
ですがあるとき、父からそれが母のものではないと知らされると、落胆し、それを「捻じ曲げて」しまいました。
父からは、その力は家の外では誰にも見せるな、と厳しく言われたのですが……10歳になる頃には、その力は消えていったのです。
ちょうどそのころのことでした。
世界中で法律が変わり。。
銀の所有はもとより、採掘、加工、流通、販売のすべてが禁じられ。
そして国家が所有していたプルトニウム、ガリウム合金のすべてが消え去り……ジルコニウムとガラスとともに、バラの花を形作り、空の上を回るようになったのは……

それは、ミイカが16歳になった朝のことでした。
新しい世界の治安を守る「ポッド」の声で、ミイカは目を覚まします。
16歳になると、投票の権利、婚姻の自由、そして「納血」の義務が与えられるとのことで。
早速ポッドから管が伸びてきまして、ミイカの腕から血を抜き取り……次の納血は10日後だ、と言い残して去っていくのでした。

起き崖にいきなり血を抜き取られるというのはやはり気分がいいものではありません。
ちょっぴりご機嫌ななめなまま、父親の作ってくれた鉄分のたっぷりの朝食を食べ、学校へと向かって言ったミイカ。
彼女が家を出ていったのを見計らい……どこかに電話をかけ始める父。
その電話口で、父はこんなことを言っていたのです。
そう、今家を出た。
娘を頼む。

時間は遅刻ギリギリ。
パンを加えながら走っていますと、何となくこのシチュエーションにぴったりな「アレ」をやってみたくなりました。
ちこくちこくー!と言いながら、住宅街の道を走っていく!
そんなひと昔もふた昔もまえの少女漫画のお約束をやってしまったせいなのでしょうか。
まるで狙ったかのように、曲がり角から男性がかけだしてきて……二人はぶつかってしまったのです!!
しかもお相手はなかなかのハンサムさん。
おやイケメン、などとミイカが考えておりますと……そのイケメン、少女漫画のセオリーをちゃぶ台が壊死するとんでもない行動をとったのです!!
彼女の下半身をじっくりと見つめ、太ももを撫でながら、とっても豊かな腰つきだね、僕の子供をたくさん産んでくれるかい?と言いながら……
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股間に巨大なテントを張る、と言う!!
ミイカはドン引きした直後、今度は怒りを爆発!
何をしやがるこのド変態が!!
と叫びつつ、男を蹴り飛ばして間合いを離し、流れるように立ち上がってハイキック!!
男をノックアウトして警察を呼ぼうとしたのですが、もう本当に遅刻ギリギリだったのでそれだけは勘弁してやり、次にあったら絶対諸ぴいてやる、と怒鳴りつけて学校へと急いだのです!
……ちなみにこの彼こそ、父がミイカを頼んだ「フォー・ハンズ」の異名を持つ男だったりするのですが……

最近今の学校に転校してきたミイカは、今一つクラスになじみ切れていません。
クラスの女子はよそよそしく、彼女を遠巻きに見てくすくす笑うなど嫌な感じも見せてきます。
その憂さを晴らすべく、近くの字向か同情を探さ中キャ、と考えていたのですが、そこにクラスで唯一と言っていい友人のトキが話しかけてきてくれました。
彼女もまたクラスの女子には好かれていないようなのですが、陰口を聞こえるような場所で言われてもスルーできる大人な性格でして、キレかかるミイカをなだめてもくれるのです。
そんなことをしていますと、担任の先生がやってきました。
転校生が来ているから、と一人の男子を招き入れるのですが……

アラン・ジョニオール・砂辺と名乗ったその男子……先ほどぶつかったド変態の、あの「フォー・ハンズ」だったのです!!
そして、アランは自己紹介もそこそこに、ミイカを見つけるとずかずかと近づいていき、おびえまくるミイカの手を取りました。
そして、やはり物事には順序があるよね、と前置きをしておいての「結婚しよう」というyド直球な告白をしてきたのです!
ですがその言葉よりももっとド直球なのが、彼の下半身!
再び雄々しく立ち上がる彼の下半身を見るや、ミイカはぶち切れ!!
手を振り払い、アランの顎に強烈な小堤アッパーを叩き込むのです!!
アランはそれを受けても、けろりとして僕の妻にふさわしい、とまたミイカに迫ってきます。
……このまま話が進んでいけば、ちょっと変化球ではあるものの、少女漫画的なお話が展開したのかもしれません。
ですが実際にこの後飛んできたのは……治安を守るはずの、ポッドからの射撃だったのです!!

窓の外に現れた数台のポッド。
それは、何の前触れもなく銃弾を放ってきました。
アランはそれに気付き、全く焦りもせずにミイカをダンスか何かでもするかのように、横倒しにしますと……
直前までミイカの頭のあった場所に移動していた、アランの頭に2個の大穴が開いたではありませんか!!
さらにポッドは攻撃を続けます!!
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マシンガンを乱射し、クラスメイト達は次々に撃ち抜かれ……無慈悲に、物言わぬ肉塊へと変わっていって……
アランによって地面に押し倒されていたミイカは、呆然と教室中を包み込む血の色と匂いを見つめているしかなかったのです……
すぐ横を見れば、頭がバックり問われたアランがいます。
今の今まで、話をしていた人物が、一瞬のうちに無残な姿へと変わっている。
その事実にミイカは大きなショックを受け、完全に腰を抜かし、声を上げることすらできない状態になっていました。
そんな状態でも、ポッドは容赦しません。
三台のポッドの銃口は、まっすぐとミイカに向けられ……一斉に銃弾を放ってきたのです!!
が。
その銃弾、なぜかミイカには当たらず、周囲にそれて着弾……?
気が付けば……
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頭が半分爆ぜてしまっている、アランが立ち上がっています。
そして、彼はその手をまっすぐとポッドのほうに向けていて……
普通の人間ならば、絶対に生きてはいられない傷を負ってなお生きているアラン。
彼はいったい何者なのでしょうか。
そして、銃弾をそらしたのが彼だとすれば、一体どんな力を持っているのでしょうか……?



というわけで、新たな世界でとんでもない出来事に巻き込まれてしまう本作。
このポッドの狙いは、やはりミイカです。
そしてその原因は、幼いころの彼女が持っていたあの能力に由来するようで……
このあと、ミイカは様々な、信じがたい出来事に遭遇し続けていくこととなります。
一体なぜミイカは狙われているのか。
ミイカを救おうとしてくれているらしいアランはいったい何者なのか。
そしてこの事態を予測していたように見える父は……?
しっかりとした全容が明かされていないこの世界のルールや、そのルールを作った存在も気になるところ。
独自の世界観に、数多い謎。
今後の物語が気になって仕方ありませんね!

そしてアランが垣間見せた「能力」も、この後全容を見せていくことになります。
的にも味方にも、能力を使うものが現れ、そして戦いを繰り広げていくのですが……
その能力は、能力バトルものによくある特定のものを操るというもの。
ですがそこはさすがの遠藤先生、「特定のものを操る」と言うことに関しての掘り下げが半端ではなく、ありきたりなはずの能力が本作ならではのものに!
物語だけでなく、バトルのほうも見逃せないというわけです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!