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今回紹介いたしますのはこちら。

「続ハーメルンのバイオリン弾き」第9巻 渡辺道明先生 

林檎プロモーションさんのココカラコミックスより刊行です。


さて、バラライカの娘、フリーズの登場により事態は一層混沌の様相を呈してきた本作。
壮絶な最期を遂げたギータ、紡がれる生と死……どんどんと状況が変化していく中、とうとうハーメルとフルートに変身したクラーリィが対面!!
そしてハーメルはその心の闇をさらけ出し、フルートに縋りついたのでした……


リュートとベースJrは激しい戦いを繰り広げています。
両者の実力は拮抗。
どちらがいつ倒れてもおかしくない激闘が続いているその中……ハーメルはフルートを抱きしめ、泣いていました。
そして、その涙とともに今までため込んでいたものを吐き出すのです。
居たかったんだ、皆が投げた、石。
冷たかった、みんなの言葉が、化け物って、魔族って……
母さん、泣いていた、僕の見てない所で。
十字架にかけられた、何も悪いことしてないのに……
ハーメルの心の中に秘められていた、満たされなかった心。
その感情が、咳を切ったようにあふれだし……ハーメルは、無垢な少年のように口からあふれ出るその言葉を押しとどめることができなくなってしまっていました。
僕にかかわると、皆傷つく。
僕を愛しちゃだめだ……
そう言って涙を流し続けるハーメル……
現実世界の記憶が、戻りつつあるのでしょうか。
クラーリィは、うずくまるハーメルの肩に手をやり、優しく語りかけるのです。
人は不幸にも血統は選べない。
それを努力して、時には戦い、血を流して傷を埋めていくんだ。
お前は深く大きな傷を持つ血統のものだが、母親はしっかりとお前の傷を埋めてくれていたぞ。
……そして、フルートも……
最後の言葉を口に出すわけにはいかず、ぐっとかみ殺すクラーリィ。
ですがその口を……
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ハーメルの口が塞いだのです……!!
フルート、僕を愛して。
これが、ハーメルが伝えきれなかった思い。
現実世界でのケストラーとの戦いの旅の道中、フルートの優しさに包まれながら、言葉にして伝えることができなかった心の底の想い……
ハーメルがそのひた隠しにしてきた想いを告げた、心動かされる場面のはずですが……
問題は、実際のシチュエーションが
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クラーリィとハーメルの男同士のキッスだということです!!
しかも悪いことに、ここで変身魔法の限界が来てしまいました。
ボン、と言う漫画のような煙がたったかと思いますと……クラーリィの姿は、なぜか
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F1マシンにフルートの顔がくっついているという謎の状態になってしまっていました。
その摩訶不思議な状況を目の当たりにしたハーメルは、心の底からがっかりして体育座りでむせび泣くというどうしようもない状態に。
おまけにベースJrによって、クラーリィが偽物のフルートであるということが見破られてしまうのです。
いろいろな意味で絶体絶命の状況、そこへパーカス達スフォルツェンド兵がなだれ込んできてさらに状況はすごいことになってまいりました!
パーカスは、魔法兵団とともにハーメルに精神攻撃を仕掛け始めたのです!
ハーメルは足が臭い、一緒にふろに入ると水虫がうつる、あそこもかゆくなる!
根も葉もない噂を投げかけまくるパーカス達ですが、その「心ない言葉を浴びせる」と言う行動自体がハーメルのトラウマを刺激するもので、存外効果を発揮するのです!!
おまけについ先ほど生まれたフルートのF1マシン化のトラウマも合わさり、「フルートがF1マシンで、俺のこと足が臭いって、あそこがかゆくなるって言った」となんかものすごく嫌な感じに改変されてしまい……!
心を開きかけていたハーメルは、今まで以上に心を閉ざす結果に!!
現実世界に戻るカギであるハーメルとフルートの絆は、再び遠いものになってしまうのでしょうか!?



というわけで、新たな展開を迎える本作。
ギータを倒し、ハーメルが戦意を失ったことでコンアモーレの戦いは終結することとなります。
これによって、とうとうバラライカの作り上げた夢の世界の一角を崩すことができたのですが……
まだまだ、現実世界に戻るまでの道のりは遠く長いもの。
「10人の夜会」と称される、夢世界を作っているバラライカの部下たちを何とかして、そして「深い闇を逝く者」と称される、その部下たちに利用されている人物の闇を晴らしていかなければなりません。
ただでさえ困難極まりないこの道、深い闇を逝く者を探すだけでなく、それを阻止しようとするものの相手もしなければならないわけで。
フリーズと言ったバラライカの手の者の他、ベースJrのような魔族、そして初代ハーメルンでハーメルたちを苦しめたあの魔族も登場し……!?

ますます混迷の一途をたどる本作。
仲間であるはずの人物にも注意を払う必要も示唆され、今後の展開からますます目が離せませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!