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今回紹介いたしますのはこちら。

「ポッピンQ」 小森チヒロ先生 

小学館さんのちゃおコミックスより刊行です。



小森先生は15年にデビューした新人の漫画家さんです。
そんな新人の漫画家さんが描くのは、東映動画60周年記念プロジェクトで作成され、16年12月に公開された同名の劇場作品のコミック版です。
本作は原作となる劇場版のストーリーを辿りつつ、掲載誌「ちゃお」の色に合わせた、少女向けによりわかりやすく描かれている作品となっています!


伊純の心の中には、ずっと引っかかっていることがあります。
それは、陸上の県大会での出来事でした。
緊張感の漂うスタート前、伊純は自分自身を落ち着かせるために、大丈夫、あんなに練習したし、気持ちの準備もできた、とひたすら頭の中で自分を励ます言葉を反芻しています。
だからこの大会、絶対私が勝つ!
その意気込みと同時に、鳴り響いたスタートの銃声。
スタートから手ごたえを感じた伊純は、行けると勝利を確信し、走り続けました。
応援していた後輩たちも、伊純をすごいとほめたたえるのですが……その後輩たちの視線は、すげ別の人物へと移っていったのです。
猛然と追い上げ、ゴール直前に伊純をかわしてトップでゴールに飛び込んだ、三橋に!!
その差、わずか0.02秒。
11秒89と言う素晴らしいタイムで走り切った三橋は、瞬く間に会場じゅうのヒーローになりました。
伊純も、惜しかったですね、と後輩に慰めの言葉をかけられるのですが……
伊純は悔しさから負け惜しみの言葉を吐いてしまったのです。
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負けてない!
パーソナルベストだったら私のほうが上だし……
あ、足が万全だったら絶対私が勝ってた!!
その言葉に、今まで沸き立っていた会場が静まり返ってしまいます。
伊純は、様々な感情がないまぜになった瞳で、ずっと三橋をにらみつけて……

その後、何度走っても伊純の自己ベストが更新されることはありませんでした。
卒業前日まで毎日のように走り続けるその姿は、称賛と言うよりもむしろ軽蔑の目で見られていました。
大会で吐き捨てた三橋への言葉が決定的に効いていまして、毎日走っているのも三ツ橋への当てつけだろう、とみられていたのです。
ただ一人自分を応援してくれている後輩は、足のけがさえ治れば無敵、絶対ベストが出る、と励まし続けてくれているのですが、その足の怪我も口からつい出てしまったでまかせで……
このままじゃ、卒業なんてできないよ。
心なしか自分を見つめる三橋の視線も突き刺さるように冷たく感じ……
伊純は心の中のもやもやを晴らすことができないのでした。

そしてやってきた卒業式の日。
伊純はとうとう我慢ができなくなり、卒業式をサボタージュしようと学校の反対方向に向かう電車に乗り込んでしまいました。
どこまで行こうかと考えているうちに、今まで見たことのない綺麗な風景に惹かれ、降りたことのない海辺の駅で降りてしまいます。
その夢のように美しい砂浜に立った伊純、砂野の中で煌く美しい意志のかけらを見つけます。
思わずそれを手に取り、持ち帰ろうとする伊純。
ところが、電車に乗り込もうと改札の機会にカードをかざした瞬間、雷のようなものがほとばしり……
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見たことがないどころか、明らかに現実離れした世界に移動してしまったのでした!!

そこで伊純は、ポコンと名乗るぬいぐるみのような生き物に出会います。
彼は自分を、伊純と心のつながった「同位体」だといい、そんな同位体である伊純に頼みごとをしてくるのです。
この世界を救ってほしい。
いきなり迷い込んだ右も左もわからない世界で、初めて会った生き物に、世界を救ってほしいというわけのわからないお願いをされた伊純。
正直何も理解できず、とりあえずポコンについていくのです。

ポコンに導かれるままたどり着いた建物の中には、伊純と同じ中学3年生の女子3人とその同位体が待っていました。
あさひ、小夏、蒼と名乗った三人は、それぞれ性格も容姿もばらばらな、それでも普通の中学生の様子。
そんな4人が集まって、どうやってこの世界を救えと言うのでしょうか?
ポコンはそれについて、早速話をすすめるのです。
この世界、時の谷は、すべての世界につながっている。
時の谷はあらゆる世界の時間を正しく進めるのが役割なんだ。
つまり時の谷が崩壊すると、お前たちの世界も崩壊してしまうんだ!
……と、言われましても実感なんて湧くはずもありません。
が、その時突然先ほど拾った綺麗な石が光を放ったではありませんか!
その石は、時のカケラと呼ばれるもの。
それに導かれて、伊純たちはここにやってきたのだと言います。
時のカケラはもともと時の種というものだったのですが、何者かが盗もうとしたとき6つに割れて今の形になってしまったのだとか。
それを再び一つにして、儀式を行うことにより時の種に戻さなければならないというのです。
今ここにあるカケラは4つ。
あと2つのカケラを、時の種を狙う敵よりも先に見つけ、儀式……5人でのダンスをささげなければいけない……
いきなり出てきたダンスと言う単語。
ダンスなどこの中の誰もやったことがありませんし、なにより今ここにいるのは4人!
5人目を見つけ出すことから始め、そして全員で一糸乱れぬダンスを作り上げなければいけない……!?
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どうか力を貸してほしい。
そう懇願される伊純たちですが……その時、時の種を狙う敵が早速襲来してきました!!
おまけに、伊純たち4人は別の時空とこの時の谷の間にある時間のズレによってダメージを受け、倒れてしまい……!?
4人はどうなってしまうのでしょうか?
そして、世界の運命は……!?



というわけで、少女たちの出会いと成長を描く本作。
この後、また新たな登場人物が現れ、物語が大きく動いていくこととなります。
世界の命運を握るというもう一人の仲間、そして奇妙な動きを見せる謎の人物……
数々の気持ちが絡み合い、物語は二転三転!
意外な展開も連続する、目の離せない物語が紡がれていくのです!

そして何よりも注目したいのは、各キャラクターが抱えている悩みでしょう。
主人公となっている伊純は、ねたみや悔しさから友人に心ない言葉を投げかけてしまいました。
勝てなかったという悔しさ以上に、彼女の心にはそのことが深く突き刺さっていたのでしょう。
この時の谷での出会いと戦いをへて、彼女はその悩みに向かいあっていくことができるようになっていきます。
時の谷の中で、彼女はどのように過去の自分を見て、どのように見つめなおしていくのか?
それらがしっかりと描かれていくのです!
さらにもう一人、つらい過去を抱えている登場人物がいまして……
伊純とそのキャラクターが本作の軸となり、物語に厚みを加えているのです!!

向かえるラストシーンはまさに読後感さわやかなハッピーエンド。
衝撃の事実が明かされ、盛り上がるラストバトルから怒涛の勢いでエンディングに向かう、一気に読ませる終盤は見逃せません!!

さらに巻末にはちゃおにて連載されたギャグメインの番外編、「ポッピンQ mini」も収録。
最後までたっぷり楽しめる一冊になっております!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!








……実はまだ映画、観に行ってないんですよね……
その観たさ加減を少しでも和らげるために本作を詠むのもありかもしれません!!!