ka0
今回紹介いたしますのはこちら。

「累」第10巻 松浦だるま先生 

講談社さんのイブニングKCより刊行です。

さて、野菊のたくらみを看破し、それを逆手に取って完全に野菊を掌握した累と羽生田。
野菊の裏切りを受けて心がずたずたになった累でしたが、それは逆に彼女の心を冷たく踏み固めるものになりました。
野菊に対しての思いもすべて完全に封印したかに見えた累。
そんな累に、羽生田はとうとう累の母である透世……誘の過去について語り始めるのでした!


誘と与の間にできた娘、累。
その顔は、誘が取り換えた顔の持ち主である透世とは似ても似つかない醜いものでした。
そのことから与は不信感を持ち、透世と累の関係を知ってしまいます。
誘が自分をだましていたことを知った与は激怒し、累ともども誘を家からたたきだし……そして、以前よりひそかに与に思いを寄せていた、透世を囲い込んだのでした。
が、愛した女が作り上げられた幻想の存在だったという事実にさらされた与の心は、壊れ始めていました。
透世が誘と並んでいるのは容姿だけ。
女優としての才能も、知性も、気高さも到底及ばない、容姿が同じだけよりむなしさが募る。
そう言って透世を冷たくあしらうのです。
そしてついに決定的に崩壊してしまった与は、材料はここにあるんだから再び透世を作ればいい、と決意。
ほどなくして寄る辺ない誘と累が路頭に迷った末に戻ってくると、与は誘を家に招き入れ……
ka1
さっさとその醜い顔をあの女と交換して来い、「元の」美しいお前に戻るんだ、とささやくのでした!

身ごもった透世の姿を見て、誘はすべてを察知しました。
透世が与への恋をかなえるため誘を裏切り、真実が暴かれるように工作をしていたことを。
与の誘への態度、そして透世の裏切りは、誘の心を深く傷つけるとともに、ひとつの真実を思い知らせます。
醜いおのれとこの生きる価値は、美しさを奪わずしてあり得ない……

そうして一時は姿を消していた女優、「淵透世」は再び表舞台に立ち始めます。
自らの生きるべき虚構の世界へと。
そして、本物の透世にはさらに過酷な仕打ちが与えられることになります。
顔を奪われるためだけに拘束され、窓もない部屋に閉じ込められるばかりか……
ka2
彼女が欲してやまなかった、与との娘……野菊も奪われてしまったのです。
野菊は、誘の娘、のように育てられることになります。
美しい母の美しい娘。
それこそが与の求めていた光景だったのですから。
醜い子などよそにやって、私と野菊とお前とで暮らさないかと持ち掛ける与。
ですがそんな与とは裏腹に、誘の心は冷え切っています。
そのどす黒い本性を知った今、与に対しての愛情など欠片も残されていなかったのです。
が、だからと言って与と縁を切ることはできません。
透世の顔を得るため……と言うのもあるのかもしれませんが、何よりも与の演出家としての才能は、彼が狂い始めて一層輝きを増していたのですから!!
しかし、その才能に縋ったがゆえに累の運命は再び狂い始めてきます。
そのきっかけは、「マクベス」でした。
マクベス夫人を演じ、マクベス夫人の心を持つことにより……今まで自分が顔を奪い、人生をかき乱してきた人物の幻影を見るようになってしまったのです。
累が依然、ニナの幻影を見たように……
それが、透世の最後の舞台となります。
とはいえ、マクベスの呪いによって誘が潰れてしまったわけではありません。
マクベスの呪い自体は克服することができたらしいのですが……それならばいったい何があったというのでしょうか?
羽生田も彼女の真意を測れずにいたと言います。
ある作品に出演する意向を示した方と思えば急に降りてしまうなど、迷っている様にも見えたというのですが……
そんなある日、羽生田は突然誘に呼び出されました。
誘は、素顔のままで羽生田を待っています。
なぜこんな人気のない場所に、それも素顔で呼び出したのか?
羽生田がそうたずねますと、誘はこんなことを言いだすのです!
この顔で会うのは最後かもしれないからな。
12時間と言う制約を振り切り、相手の顔を永久に奪い取る。
ka3
それによって私は、いざなを殺し、本物の淵透世になるつもりだ。



というわけで、過去の真相が明かされる今巻。
誘と透世の壮絶な過去と、与の非道さが浮き彫りになったわけですが……その物語以上に気になってしまうのが、誘が死の前に語っていたというこの永久に顔を奪い取るという言葉ではないでしょうか。
一体彼女はどのようにして、顔を永久に交換しようというのでしょうか。
その方法がわかれば、累の今後に大きな影響を与えることは間違いありません。
ですが、その方法にリスクがないはずがありません。
リスクがなければ、誘がその時まで永久の交換をためらうこともありませんし、累によりあっさりと教えていてもおかしくはないのですから。
その後も次々と明らかになっていく、運命の時にあった出来事……
この時に起きたすべてが明かされるとき、おそらく本作はクライマックスを迎えることとなるのでしょう。
時間は再び現在に戻り……そして、累の前に、再び運命の出会いがやってくるのです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!