gg0
今回紹介いたしますのはこちら。

「ゴールデンゴールド」第2巻 堀尾省太先生 

講談社さんのモーニングKCより刊行です。


さて、パッとしない離島・寧島で暮らす少女、早川琉花が、浜辺で不気味な人形を拾ってから様々な異変が起きていく本作。
その人型は小さな地蔵のような形に変化して歩き回り、琉花のばーちゃん、町子をはじめとした島民たちに、何らかの形で働きかけ始めました。
働きかけられたものは、その地蔵のようなモノを「客」として見えているようで、まるで存在しているのが当たり前化のようにふるまいます。
そしてそのモノに魅入られたばーちゃんは別人のように金稼ぎに精を出すようになって……
実際金はもうかり始めています。
その謎の存在、見た目も相まって「フクノカミ」ととりあえず呼ばれるのですが……


反対するものもいないではない状況の中、旅館の傍らで営業していた雑貨店をコンビニへと新装開店させたばーちゃん。
商売としても十二分に成功と言える成果を上げ、ばーちゃんはもちろんの事、フクノカミもおそらくご満悦でしょう。
新装開店のイベントを終えた後、ばーちゃんは島の人たちを集めてささやかな宴会を行いました。
ある程度宴会が盛り上がった後、ばーちゃんは立ち上がって何やら話し始めました。
ここでいったんお開きにして、2次会はこのまま始めたいと思う。
そこで、ここに「会」を立ち上げようと思う。
商工会の前ではあるが、それとは別の、もっと積極的発展を主義とした、「寧島を強化する会」を。
……いきなり持ち掛けられた、胡散臭いと言わざるを得ない言葉。
積極的発展と言うのは何なんだ、と言う問いかけにばーちゃんが返した答えは、より胡散臭いものでして。
なんでも、会費をプール金としてばーちゃんが預かり、事業を広げたいとか新しいことを始めたいという人がいれば一緒に使い方を考えてそこに使う、というもの。
それを聞けば、さすがに苦言を呈せざるを得ない、と考える人がいるのが自然。
穏やかな話じゃない、何をそんなにのぼせているんだ、言いたくはないが、頭を冷やさなければコンビニもこけるぞ、と言う声がばーちゃんに投げかけられるのです。
と、その時です。
小さな床のきしむ音とともに、フクノカミが現れたのは!
フクノカミは悠々と歩を進めていくのですが……どうしたことか、
gg1
会に参加していた大人たちのほとんどが、自然と手と手を合わせて拝み始めるではありませんか!
フクノカミは舌を伸ばし、グラスに入っていた酒を飲み干していきます。
その間、じっと手を合わせるものたち……でしたが、この会に参加しているなかで、二人だけ今の状況がおかしいことに気づいているものがいるのです。
その二人、あれは一体何なんだ、と首をかしげ、隣に座っている男性にあれは何だと尋ねてみます。
が、帰ってきたのはばーちゃんの宿に泊まっているお客さんじゃないか、というとんでもないもので。
二人からすればフクノカミの姿は人間にすら見えないのですが、他の人からすればごく当たり前の人間の姿に見えているようなのです。
つい先ほどまで、「拝む」という、普通の人間相手には到底しないような行動をとっておきながら!

フクノカミ登場から、場の空気は変わり始めてしまいます。
なぜか先ほどのケンカ腰のような興奮が収まり、聞く態勢になっていたのです。
が、その態勢もばーちゃんから発せられた言葉を聞くと、また怪しい感じになってしまいました。
皆さん、人生楽しんでますか。
楽しさとは何か、それは成長の実感やと思います。
私は体の成長も止まり、体力や記憶力は衰えるばかりですが、幸い人間と言う生き物に生まれたおかげで経済力を伸ばすという手段があるわけです。
力をつけて変化していくことは、生き物の本能に根差した快楽なんだと思います。
まあ大仰なことを言ってしまいましたが、要は定期的に集まって面白そうなことを考えませんか、とそう言う話です。
プール金の目標は、ひとまず1億……いや、3億!!
……小さな島の商店の会費としては、あまりにも途方もない金額じゃありませんか!
何十年かける気だとあっけにとられる一同ですが、その後のばーちゃんの言葉にはさらにあっけにとられてしまいます。
私のほうからは、毎週売り上げの1割を会費として計上します。
……毎週、それも利益ではなく売り上げの1割を会費に……!?
おおよそ正気とは思えないその言葉。
ばーちゃんの本気度だけは伝わってきますが、それではあまりに敷居が高くなってより一層参加が大変になってしまうでしょう。
ですがばーちゃんは、にこにこしながらこう言うのです。
他の人の会費は当面お気持ち任せ、1円から受けさせていただきますので、お気軽にご参加ください。

この寧島を強化する会、寧強会に参加するのは、むしろフクノカミをフクノカミとして見ているもののほうが積極的でした。
それはそうでしょう、不思議な力を持つ福の神のようなものがいて、実際それが居を構えているばーちゃんの店が繁盛しているのですから。
その参加者をきっかけとして、徐々にフクノカミの力は拡がっていくこととなります。
徐々に、徐々に拡がっていくその力と、その力に感謝して合唱する者たち。
フクノカミは、その貼り突いたような笑顔をより一層にやつかせるのでした。
gg2
そんな時、取材とかこつけてフクノカミを調査していた小説家、黒蓮は同じ作家である茶虎と言う人物からこの島の謎につながりそうな話を聞くことができていました。
江戸時代はずっとじみな漁村であったとされていた寧島が、ほんのわずかな期間、ものすごく景気が良くなった時期があった、と言うその話。
gg3
まだはっきりとは言えませんが、やはりこの島の今の状況を彷彿させるような……!?
江戸時代の謎の好景気と、フクノカミ。
そこにつながりはあるのでしょうか……?


というわけで、さらにその力をひろげていくフクノカミ。
その力は、もはやばーちゃんだけではなく、島の全土に広がろうとしています。
前巻の最後で、ショッキングな顔を見せたばーちゃんですが、ばーちゃんをそう変えているフクノカミの力はさらに侵食を続けているようで……
フクノカミの力が今のところ及んでいない琉花は、どのように動くのでしょうか。
フクノカミの力が経済関係以外にも作用するのならば、彼女の求めているものも手に入るかもしれません。
ですがだからと言って、人を変えてしまうこの力を受け入れていいものなのか?
どちらにしても、この島の未来を左右するのはフクノカミと……琉花であるのはおそらく間違いなさそうです……!

そしてもう一人のキーマンである黒蓮もこれからどう動いていくのか気になるところ。
調べていくにつれ、フクノカミが飛んでもなく厄介なものであるということがわかります。
それを知ったうえで彼女がどうするのか、と言うのもこの物語の商店となっていくでしょう。
そんな二人の女性の心境など知らないといわんばかりに、フクノカミは新たな力を見せつけ始め、物語はさらに恐ろしい方向へと進んでいきます!
怖気の走る奇怪なモノも蠢き始め、一層うすら寒く物語がねじ曲がっていく本作……
おそらく今後も堀尾先生らしい静かに、不気味に物語が動いていくのは間違いなさそう!
ますます本作から目が離せませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!