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今回紹介いたしますのはこちら。

「いぬやしき」第8巻 奥浩哉先生 

講談社さんのイブニングKCより刊行です。



さて、晧の巻き起こす復讐の惨劇を、必死に食い止めようとしていた壱郎ですが、その復讐劇に娘である麻理が巻き込まれてしまっていることを知ります。
何が何でも助けようとする壱郎なのですが、そこでとうとう晧と対面してしまうのです。
人々を救おうとする壱郎、人々を粛正しようとする晧。
二人が出会えば、衝突するのは必然で……


二人の戦いは、殴り合いから始まりました。
お互い機械の体となり、人間の範疇を完全に超えたもの同士。
晧のアッパーカットを喰らうと、壱郎の顔は結合部分が外れ、内部が露出するほどの衝撃を受けてしまいました。
更なる攻撃を繰り返す晧、やがて一郎はその衝撃に耐えられず地面に倒れ込みます。
晧はここぞとばかりに指をピストルの形にして見えない弾を放つ攻撃で追い打ちを仕掛けるのです。
ですが壱郎の体の頑丈さの前には、この程度のダメージは対して堪えません。
痛みに顔をゆがめながらも、自らも同じように見えない弾で反撃を試みました!
両手で弾丸を放つ壱郎に、晧の苛立ちは募ります。
じじい、と叫びながら、怒りをあらわに右腕をつきだしました。
すると右腕の外皮が外れ、中からいかにも強力そうな武器が露出。
バリバリと電気を帯びたそれからは、相当な威力なものが射出されることでしょう。
すかさず壱郎は上空へと飛び、その場を離脱。
晧もそれを追いかけて飛行し、二人の戦いは空中戦へと変わっていくのです。
高速飛行を続ける壱郎に、晧は先ほどの武器だけでなく、全身から光弾のようなものを発射しました。
それはさながらミサイルのようで、壱郎に当たらずとも空中で爆発し、大都会の夜空にすさまじい爆炎をひろげます。
そのすさまじい光を見上げる町の人々。
その光を見るものの中には、しおんや直行もいます。
二人は、その光を見て晧と壱郎の身を案じるのですが……

晧と壱郎は、高速道路上空を飛んでいました。
壱郎は晧から逃げている、というわけではありません。
彼はいま麻理と電話で繋がっており、その窮状を知って焦りを感じていたのです。
おとうさん、と呼ぶ声もか細く、時折聞こえるゴホゴホと言うせき込みの音。
やがて電話は切れ、それっきり電話が通じることはなくなってしまいました!
するとそこに、直行からの通信が届きます。
今、どこですか!?
そう言ってたずねて来る直行に、壱郎は必死に答えます。
今、高速道路、麻理が火事で、都庁に飛行機が落ちて、電話が切れちゃって、麻理がもう、電話に出ないんだ!!
言っていることはつながっていませんが、それだけに壱郎の焦りは伝わります。
直行はすぐに消防に連絡をしようとするのですが、この緊急事態、回線がパンクしているのか一向につながりません。
災害用伝言ダイヤルにつなげることはできても、それでは今まさに危機を迎えている麻理を助けることなどできないではないですか!
悲観に暮れる壱郎と直行……
そこに、麻理から電話がかかってきました!!
笑顔になる壱郎ですが、そこから聞こえてくる声は一郎をさらなる絶望へといざなうこととなってしまうのです。
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お父さん、お母さんに伝えて。
愛してるって。
みんな、愛してる、今までありがとう。
お父さんも、すごい愛してるよ。
とぎれとぎれにそう告げる麻理。
その声からは、もう自分は助からないという覚悟のようなものを感じさせる、悲痛なもので。
壱郎は必死に、しっかりして、お願い、麻理、と何度も何度も呼びかけるのですが、もうその電話からは何も返ってくることはありません。
いやだ、いやだ、いやだ。
何度も何度もそう繰り返すうち、壱郎の中では絶望の代わりに、あるも想いがふつふつと沸き上がってきたのです。
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絶対、助ける!!
しかしその決意故に、背後の警戒は薄れてしまっていたようです。
晧の攻撃が壱郎に直撃してしまいました!!
ざまぁ!!と喜ぶ晧でしたが、その直後でした。
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爆炎の中から壱郎が現れ、晧に組み付いてきたのは!!



というわけで、二人の機械科人間が出会い、そして激突した今巻。
この後も二人の戦いはますます激しいものに!!
大都会の中空で繰り広げられるすさまじい戦いは、二人の思想のぶつかり合いと言う以上に、この国の命運を握るものと言っても過言ではないもの。
果たして勝つのは復讐に燃える晧なのか、新たな命を救済にそそぐ壱郎なのか。
見た目も考え方もまるで違う二人に共通するのは、ただ守りたいという存在がある、と言うこと。
どちらが勝っても、残されたものの心には大きな傷が残されることでしょう。
だからと言ってこの戦いに決着がつかないということもないわけで……
二人の戦いはクライマックスへ一直線!!
非常な運命が待つその戦いの決着は一体!?
そして、命の危険にさらされている麻理はどうなってしまうのか。
物語は一つの山場を越えようとしているようで……
もしかしたら次巻あたりで完結となるのか、それとも新たな展開を迎えるのか?
そのあたりも今後の楽しみとなりそうですね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!