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今回紹介いたしますのはこちら。

「囚人リク」第31巻 瀬口忍先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、いよいよ地獄島脱出作戦を決行したリク達。
ですが合流する場所で落ち合うはずのレノマの姿はありません。
共に死地を潜り抜けてきた仲間であるレノマ、その到着を待ちたいところですが、ここでいつ来るかもわからないままただ時間を使うわけにはいきません。
リク達はレノマはきっと追いかけてくると信じ、先に進むことにしたのでした。


地獄島の地下の格納庫の中には、鬼道院のクーデターの要となる巨大艦、グレート・モーニング号が鎮座しています。
そしてその格納庫内部では、地獄島にとらえられていた囚人、5万4千人が整列させられていました。
いきなり銃を突きつけられて整列させられた囚人たちは、みな一様にその顔に不安を浮かべていました。
俺たちは一体どうなってしまうんだ?
そんな気持ちが最高潮に達したかと思われたとき、彼らの前に映像が映し出されたのです。
武器を取れ、おのれに眠る野獣の本能を存分に解放せよ。
そう言って映像に映し出されたのは、鬼道院です。
鬼道院は、その映像で囚人たちに新たな「刑務作業」を命じ始めました。
理想国家実現の行く手を阻むものすべてを処刑し尽くせ、と。
……当然、そんなことを言われて協力しようなどと考えるものはいません。
なにせ鬼道院は、あの地獄のような「スラム」を作った張本人。
おそらく大半がその虐げられていた側であろう囚人たちだからこそ、そんな男の掲げる理想国家がろくでもないものに間違いないことがわかっているのです。
そんな不満の声をかき消すかのように、鬼道院の映像は続けます。
作業完遂の暁には、諸君らの前歴及び前科をすべて抹消し、釈放を約束する。
さぁ、世界を変えよ。
……シンと静まり返る格納庫。
その間に、囚人たちの脳裏には様々な考えが駆け巡ります。
つまり鬼道院は、クーデターを起こすつもりだ。
俺たちはそれを阻む既存国家の人間の皆殺しをさせられるってのか!?
そんな気持ちの整理も追いつかないまま、一同は銃を突きつけた兵たちに促されて武器格納庫に連れられ、、それぞれ一丁ずつ銃を取るように言いつけられます。
従うかどうかの選択の余地はない、と強要される囚人たちですが、血気盛んなものも少なくなく……その中の一人の男が耐え切れずに声を上げてしまいました。
勝手なこと言ってんじゃねえ、これ以上鬼道院に振り回されて……
彼がそれ以上言葉を続けることはできませんでした。
何の警告もなく、発砲された銃弾。
腹部を撃ち抜かれ、力なく倒れる男……
発砲した兵は、全く心を動かすことなく冷徹に言い放ちます。
行ったはずだ、選択の余地はない。
銃弾を受けた男は、駆け寄った囚人仲間の腕の中で……うわごとのように語りました。
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うそだろ、こんなの。
極楽島で3年も我慢して、あと1週間で仮釈放だったのに。
シャバに出られたのに……
男は、涙と……外で待っている息子の名前を漏らしながら……死んでいきました。
彼を抱いた囚人仲間は、彼の無念を痛いほど感じるのですが……兵に銃を突き付けられた状態で、抵抗することはできませんでした。
一瞬ちらりとにらみつけるのが精いっぱいで、鬼道院のクーデターに参加するしかなかったのです。

鬼道院のクーデターが始まった。
それを、光は察知していました。
捕えた兵は、クーデターのための新設部隊。
任務は間違いなく新国家樹立後に邪魔になる存在の排除……つまり、公には死亡した囚人や看守たちの虐殺!!
あまりに非道な鬼道院の行い。
光は怒りに震え、拳を握りしめるのですが……
怒りのこぼれ出る拳を壁にたたきつけたのは、
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レノマでした!!
その顔には無数の青筋が走り、怒りはその一打だけで到底収まるものではないことを現しています。
そしてレノマは、とらえた兵の装備を光に差し出し、先に地獄島から逃げろ、と言いだしました。
自分はよるところがあると別行動をしようとするレノマに、光はそんなことをしていたら確実に陸との合流には間に合わなくなる、と指摘します。
ですがレノマの想いはもう止めることはできません。
光に拉致した兵から聞きだせるだけの情報を聞きだし、リクにそれを伝えてくれと、頼むのです。
そして……
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見捨てられるわけねぇだろ、あいつらをよ。
そう言い残し……レノマは、共に血と涙を流した闘技場の仲間……ファミリーを救いだしに行くのでした!!



というわけで、奇しくもリク達と時を同じくして鬼道院も動き出した今巻。
非情にして非道の鬼道院の作戦が開始したことを知り、今まさに闘技場の面々が虐殺されようとしている。
そんなことを知って、何よりもファミリーを大事に考えているレノマが黙っていられるわけがありません。
この後物語は、闘技場の面々と鬼道院の私兵の戦いが描かれていくことになります。
ですがそれはおおよそ戦いと言えるものではありません。
戦うための改造を施しているとはいえ、それはあくまで見世物としての武器。
強力は強力ですが、重火器を装備した私兵を前にしては、無力も同然なのです。
そんな中にレノマひとりで突入してどうにかなるというのでしょうか……
そしてそこには、レノマを闘技場にいざなったあの男や、決着はついたかと思われていたあの男までが待ち構えていて……!?
レノマの決死の戦いは、目の離せない展開になっていくのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!