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今回紹介いたしますのはこちら。

「少女Aの悲劇」第1巻 原作・中村力斗先生 漫画・あさの先生 

講談社さんのマガジンKCより刊行です。


中村先生は14年にガンガンJOKERの漫画賞で奨励賞を受賞しデビュー、そして同誌で連載を経験した人心の漫画家さんです。
初連載作である「シークレットラブスクーリー」もそうなのですが、どうやら中村先生は学校を舞台にした男女のやり取りを描くギャグが得意なご様子。
「花と嘘とマコト」のあさの先生とタッグを組んだ本作、その内容はと言いますと……


宇宙を漂う、タコのような形の宇宙船。
その中で、一人の女子高生がシリアスな表情を浮かべております。
彼女は浅川結真。
人知れず地球の高校に通う、秘密宇宙留学生である彼女、大それたことはせずに当たり前の高校生活を謳歌しておりました。
が、そんな彼女、今まさに大ピンチを迎えています。
調子に乗って水分を取り過ぎた彼女の膀胱はパンパン。
だというのに宇宙船のトイレは絶賛故障中でして……彼女は限界ギリギリ、未曽有のカウントダウンに襲われていたのです!!
下校中だった彼女はやむなく一回地球に引き返し、用を足すことにしたのですが……

下校時間を過ぎた学校ですが、部活動に参加している生徒が多く残っています。
そんな部活動をしている若者たちを、冷ややかな目で見つめる男子が一人。
彼はその生徒たちを見て、こんなことを心の中でつぶやいておりました。
部活は、戯れは、今じゃなきゃダメか?
人生は短い、学生時代はもっと短い。
青春だのなんだのと言うステキっぽいフレーズに惑わされてはいけない。
思い出なんてものは、受験と言う名の人生における重大なボスの前ではクソの役にも立たない。
唯一太刀打ちできるのが学力で、高校生活と言う短い時間はその武器を磨くことに使うべきだ!
時間が足りない、いくら学んでも学び足りない……
そう考えている間も単語帳を見て勉強する彼、林は、青春に背を向けて歩いていたわけですが……そこで、目の前にとんでもないものが現れたのです。
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気球のような奇妙なもので空から舞い降りてくる……結真が。
秘密にしていなければならなかった自分が宇宙人だという事実。
それが、今まさに秘密ではなくなってしまった……
あまりのショックに、結真さん、じょばーっと……出してしまいます。
空から舞い降りてきた女子。
そして何も言わず自分を凝視したまま、おもらしまでしちゃう。
あり得ない光景を目にした林、彼の次の行動は

無視してその場を立ち去る、というものでした!!
思わず何でとつっこむ結真。
実はこの二人クラスメイトでして、結真は林のことを知ってはいます。
自分の名前を呼ばれたことで、林は一応立ち止まってくれました。
……彼は結真のことを全然知らないようですが……
結真はそこでまず、あんなところを見たのに何で平然と去ろうとしたのかを問いかけます。
すると林は大きく一つのため息をついてこう説明。
この日本に人がいる。
カンボジアにだって人がいる。
宇宙にだってそりゃあいる。
そう言って、実にあっさりと受け入れちゃったのでした!!

なんといっても、林は勉強がしたいのです。
なぜかよくわかりませんが、ひたすら林に絡みついてくる結真。
それを引きはがして帰宅しようとするものの、不意に結真がメロンのような甘ったるいにおいを発していることに気が付きます。
なんかすごく甘ったるいにおいがするぞと指摘しますと……結真さん、ほほを赤らめます。
……何でもその匂い、彼女がなさってしまった粗相の香りなんだそうで……
早くその下半身を何とかすべきな気がしますが、結真によれば自分が宇宙人だ飛ばれてしまったことのほうが重大なんだとか。
とにかく聞いてくれとそれでも縋りつくと、林もようやく話を聞いてくれる気になったようです。
が、それのために与えられた時間は……わずか1分!
慌てまくった結真は、バラされる、とても大変、母星危機!となぜか片言になってしまいますが、その後ようやく一番言わなければならないことを絞り出すことができました。
自分が宇宙人だ飛ばれてしまった場合、取れる選択肢は3つ。
林を殺す。
林のすべての記憶を抹消する。
結真がこの星を去る。
大事なことを言えた安堵感に一息つく結真でしたが、その息が落ち着く間もなく林は返答を行います。
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よし去れ、と!!
もちろん秘密にしてまで地球に留学に来ているのですから、結真としてはそんなに簡単に帰りたくはりません。
林はそもそも、結真が何者だろうとどうでもいいですし、それを誰かに話す気もさらさらありません。
ありませんが、結真の母星基準では地球人の信頼度は大変低く、そのどれかの手段を取らなければきっと母星からの納得は得られないというのです。
じゃあ話し合いの余地はない、さあ発て。
そう言い残し、嘆く結真を置いて林はさっさと家路を急ぐのでした。

夜。
林の部屋の窓を何者かが叩く音が聞こえてきました。
……やっぱり、結真です。
2階にある彼の家の窓を叩けるのは、きっとあの気球的なあれで窓の縁までやってきたからでしょう。
そんな彼女を見て林は、ゆっくりと窓を開けて……突き落としました!!
宇宙人とはいえ、その耐久力は人間並み。
必死に窓にかじりついて落下を逃れると、危うく人を殺すところだったじゃないかとさすがの林も助けてくれました。
……まぁ結真が土足だったことに気が付くともう一回その突き落とすところからの流れを繰り貸したりもするのですが……
突き落とす引き上げるのやり取りはそのくらいにしておきまして、要約少し落ち着いたところで結真は自分がここにやってきた理由を説明してきました。
一度母星に帰って、駄々をこねまくってきたことで第4の選択肢ができた。
これから結真が林のことを24時間体制で見張り、正体を漏らそうとしたらその場で林を殺害する。
殺害する前に秘密を洩らされたら、その漏らし先の人々も殺害する。
それを条件にして、高校卒業まで地球滞在を許してもらえることになった、と!!
結真にとっては朗報なのでしょうが、他の地球の皆さんとってはどうでしょうか……
とばっちりで殺されてしまうかもしれないわけですし。
それよりなにより、林が一番面倒なはず。
彼はいくら話す気がないといっても、これから高校卒業までの間ひたすら結真に張り付かれなければいけないわけですから。
そんな宣告を受けた結真の答えは……
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そうか、よし勝手に見腫れ、と言うあっさり風味!!
これから一つ屋根の下で暮らすのにその対応は何なんだ、人の感情がないのかとたまらず突っ込む結真なのですが、林はそんな言葉を遮って、俺が勉強している間に物音を立てたら殺す、動くな、息も殺せ、ただ見ていろ、と……逆にこちらのほうが強い殺意を感じさせる言葉で威圧するのでした……!



というわけで、奇妙な共同生活をすることになってしまった林と結真。
林の家は、ご両親が多忙なこともあって事実上の一人暮らし……なのですが、家政婦の桜子さんが常時おうちにいらっしゃる様子。
ですが彼女も林並みに物わかりの良い人で、結真が早しの家に住み込むこともあっさりと受け入れてくれます。
……普通ならばこれで、ラブがコメる展開になっていくことでしょう。
しかし、本作はそう簡単にはラブれません!
なにせ勉強だけが目下の興味、それ以外のものはどうでもいいか、勉強の邪魔になる障害としか思っていない林。
そんな男が主役の片翼をになっているわけですから、色恋沙汰などとんでもない!!
校舎と認定されたものならば、いくらちょっと突っ込み上手な美宇宙少女の結真であろうとも、鉄拳の餌食にしかならなかったり……!!
ひたすら付きまとう結真があれこれするたびに、林が容赦ない制裁を浴びせかける……
そんなドタバタコメディとなっているのです!!

が、そのまま日常もの的なお話が繰り広げられるわけではないのも本作の特徴と言えましょう。
結真の監視と言う本作の基本構造の中に、小さなシリーズものが組み込まれつつお話が進んでいきます。
まず最初に始まるのが、第1巻としてはいきなりハード目な感じのするストーカー編!
最初は無視を決め込もうとする林ですが、徐々にエスカレートする相手の行動に、様々な怒りが沸き上がっていき……?
ドタバタ日常だけでなく、そんなドラマ要素も楽しめます!!

さらに特筆すべきなのは、林と結真のキャラクターと関係性。
林はその勉強家の性格通り、頭がいい……のですが、あまりにも世間のことを知らないが故の突飛な行動をしてみたり、勉強以外に対するドライさからとんでもない言動をしてみたりと、つっこみとぼけの両方の性質を持っているのです!
結真も、一生懸命つっこむつっこみ役としてだけでなく、空回りして面白いことになってみたりと、様々なみりょくをもっているのです!
そんな二人ですが、やっぱりだんだんと呼吸があってくると言いますか、距離が近づいてくるような展開も用意。
いつもは林の尋常ならざる冷たい仕打ちを、結真がつっこみながら耐えていく基本形をこなしながら、時折違う感情も見せてくる……
そんなメリハリもまたよろしいわけです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!