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今回紹介いたしますのはこちら。

「孔雀王~戦国転生~」第4巻 荻野真先生
 
リイド社さんのSPコミックスより刊行です。


さて、悪徳太子なる怪しげな存在が、この何もかもが奇妙な戦国時代の元凶であるとわかり、孔雀の目標も定まった前巻。
ですが明らかに何か企んでいる明智光秀の登場もあり、信長と孔雀は袂を別つことになってしまったのでした!!



孔雀は法力僧仲間の青海とともに、摂津を訪れていました。
その目的は、名門貴族・近衛前久の願いを聞くためです。
ですが近衛、以前孔雀と会った時は十三代将軍足利義輝に変わって幕府を仕切っているというくらいブイブイ言わせていたというのに、今はなぜか田舎寺に居を構えている始末。
なんでも近衛、義輝暗殺の後、三好氏に脅されて十四代将軍に足利義栄を推すことになったのですが、その義栄がとんでもない体たらく……
臆病で女好きで、気が付けば三好氏にも朝廷にも見放されて都落ち、今やこの質素な禅寺で病に侵され、その看病を近衛がしているというのです。
が、近衛からすればいま義栄が蝕まれている病が、ただの病とは思えないのだと言います。
義輝と同じ、京の大呪のせいではないのか?
そう思い、孔雀を呼んだのだというのです。

その義栄の病状は、確かにとんでもないものでした。
布で宙吊りにされ、体全体を包帯巻き状態。
それでもなお全身からは悪臭と体液がしたたり落ち、全身に蠅がたかっている……
これは、よく確認するまでもなく……屍臭。
孔雀たちに確認させるかのようにその時、「蟲落とし」と称して女たちが一斉に義栄を取り囲んで包帯をほどきますと、体全体に蛆虫が巣食っているのが見て取れます!
女性たちはその虫を払い落していくのですが、その間……義栄はむほむほといやらしい笑いを浮かべ、おんなおんなと好色そうな表情を浮かべるばかり。
医師の見立てによれば、もう完全に体は死んでしまっているとのこと。
だというのに、彼の女好きの欲望はいまだ元気いっぱいに生き続けようとしているのです。
化楽(けらく)の鬼だな。
孔雀はそう言うと、女性たちを下げさせろと近衛に命令。
するとどうでしょう、女たちを取り上げられるのは嫌だと義栄が叫び、腹の中から虫の足のようなものが飛び出してくるではありませんか!!
その足で女たちを捕え、おんなはみんなわしのもの、おとこはみんなぶっころす!と叫ぶ義栄、その体はみるみると形を変えていき、瞬く間に
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巨大な蠅の姿へと変わってしまうのです!!
義栄の伸ばす舌の一撃によって吹き飛ばされる孔雀。
青海がすぐさま不動明王火界呪で攻撃をしようと試みますが、孔雀はそれを制止。
ここで真言を使えば女たちも巻き添えになってしまうからです。
青海はやむなく錫杖で殴り掛かるのですが、あっさり義栄の舌で打ちすえられてしまいます。
真言なしで義栄を討つのは難しいかとも思われましたが、孔雀には策がありました。
地面に倒れた際に取り落としてしまった青海の錫杖を手にした孔雀。
右手に自分の錫杖を縦向きに、左手に青海の錫杖を横向きに持ち、二本の錫杖を十字型に持って突進!!
すると、その姿を見た義栄があからさまに嫌がり、身をすくめます。
その印は、と目を塞ごうとする義栄、目を塞ぐために手を顔にやったため、女たちを落としてしまい……
完全に無防備になった義栄に、そのまま錫杖を十字にふるって切りつける孔雀!!
その一撃で、義栄はあっさりと絶命してしまうのでした。

今の孔雀の用いた作戦は、「十字架(クロス)」を使うというものです。
この当時の日本では知るはずもない、西洋悪魔の嫌う十字架。
現代日本から転生してきた孔雀だからこそ思いついた作戦と言えますが……これが成功したということは、義栄にかけられた大呪は……南蛮渡りの悪魔か、その従者の仕業だ、と言うことです!!
実は近衛、そこまでは気付いていました。
ベルゼブブの呪い。
地獄の糞の山の王にして、この世に疫病をまき散らし、その病死者の魂を地獄に引きずり込む大魔王……
そこまで知っていた近衛ですが、自分では勝てないからと孔雀を呼んだのだということ。
ですがもうひとつ呼んだ理由があるのだ、とも言いました。
孔雀に会いたいというものたちがいる。
それは、京からあの男とその大呪を打ち払おうとしている、この国古来の神仏の信奉者たち。
そして孔雀は、その信奉者たちが待つ寺で、孔雀はとうとうあの人物と再会するのです!
孔雀が襟を正して正座をして対面するのは……
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阿修羅像……?
阿修羅像にいきなり謝りだす孔雀ですが……その時……!!

一方、信長はとうとう悪徳太子と対面していました。
桃源郷のような美しい庭園の中に出来上がった大宮城。
そこの中には、金髪の南蛮人が大勢仕えているようです。
そしてその中で君臨している悪徳太子は、信長にこう語りかけるのです。
よく来たな、尾張の黄鬼!
紙も仏も信じぬ恐れ知らずの美丈夫よ!
西洋(むこう)では肉体を持つ神とも、イブの子アダムとも、十字架で死んだ偽りの預言者とも呼ばれる、この世に無上の楽園をもたらす、化楽の王、悪徳太子だ!!
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信長を兄弟(ブラザー)と呼びながら姿を現した悪徳太子は……その名前から連想された聖徳太子然としたものではありませんでした。
まるで、それは……!!



というわけで、いよいよ悪徳太子が本格的に動き出した本作。
悪徳太子が本作におけるラスボスであるのは間違いないのでしょうが、その姿と扱う呪いの姿が判明してきますと、なかなかどうして今後の展開が予想つかなくなってまいります!!
今までのシリーズでも西洋の悪魔と戦うことはありましたが、まさかそのトップがあの方となると、どうなるでしょう!?
言っていることは間違いなく胡散臭い悪徳太子、その本当の目的は何なのでしょうか。
無上の楽園をもたらすとは言いますが、それがすべての人々を幸せにするものではないことは、おぞましい呪を振りまいていることからも、額面通り受け取れないことからも確実。
その手の者として働いている、あのアシュラは一体……?
信長は悪徳太子を前にしてどう出るのか、孔雀はこの後どう動くのか?
見逃せない展開は続きます!!

そして、後半でも物語は急展開!!
信長の中に、予想だにしなかったものが眠っているようなことが示唆される展開が巻き起こるのです!!
新たな妖怪武将が姿を現して信長たちを攻め始めるなかで巻き起こるそれが、今後にどのような展開をもたらすのでしょうか!!
着々とクライマックスに向かいつつある本作……
孔雀とアシュラは再開し、現代に戻れるのか?
そして徐々に明かされていくであろう「曲神紀」のその後は語られ、孔雀王シリーズの大団円を迎えられるのか!?
続きが楽しみでなりませんね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!