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今回紹介いたしますのはこちら。

「マザーグール」第1巻 菅原キク先生 

徳間書店さんの龍コミックスより刊行です。


さて、雑誌のウェブ移行に伴い、紆余曲折あって結局未完のまま連載終了となってしまった菅原先生の南国ホラーサバイバル「HOLY HOLY」。
ですが2年ほどの休眠期間を経て、装いも新たにCOMICリュウWEBにて本作の連載を開始!!

世界観と舞台を「HOLY HOLY」と同じくして、主人公を変えて別視点から描いていく本作。
新たに生まれ変わった恐怖、その内容は……



お嬢様ばかりが通う、聖エルレシアン女学院。
その生徒たちを大勢乗せた豪華客船が、ドバイに向かって進んでいました。
ドバイで修学旅行をするような学校ですから、通うもののほとんどは筋金入りのお嬢様ばかり。
さぞやみな幸せだろう、と思われるところですが……その中で一人、うつろな眼差しをしているものがいました。
2年C組、桐島朔也。
彼女は幼いころからある信仰を抱いていました。
いついかなる時も、幸福そうに微笑む彼女の母。
それを見続けてきた朔也は、幼いころからこう思いこむようになっていたのです。
これが正解、私も母様みたいにならなくちゃ。
誰から見ても、幸せに。
……ですがその想いとは裏腹に、彼女は幸せそうな顔と顔の合間に、そのうつろな表情を浮かべるのです。
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だけど、母さま、私ちっとも……
その時のことでした。
舟が突然転覆し、生徒たちが皆海に投げ出されてしまったのは……!!

朔也が目を覚ますと、そこは全く見覚えのない海岸でした。
激しいのどの渇きを覚えて目を覚ました朔也は、その見たことのない景色、そして周りに人影がないことに気が付き、恐ろしくなったのでしょう。
誰かいませんの!?と大声を張り上げるのです。
……すぐそこのジャングルに、何がいるかも考えず……!

ジャングルの中から、音を立てて近づいてくる得体のしれない何か。
茂みから昨夜のもとに飛び出してきたのは、3人の女生徒でした。
良かった、気が付いた、と笑顔でやってきた彼女たちは、ジャングルの中からココナッツや、そのココナッツを器代わりにして水を汲んできて持ってきてくれたようです。
その水を飲み、とりあえず人心地つくことのできた朔也でしたが……その顔色はすぐれません。
なぜなら、彼女を助けてくれた3人組は、彼女が最も忌避していると言っていい三人だったのですから。

すらりとしたショートカットの物静かな少女は、F組の東雲なつの。
彼女は将来を嘱望された短距離走者だったのですが、膝の故障で引退、その後は誰にも見向きもされない存在となっていました。
ツインテールにまとめ上げた髪の毛の左半分を派手に染め、胸元を大きく開けた少女は、J組の財前楓子。
見た目からして異端な彼女は、男性と関係したという噂が絶えず囁かれています。
そして最後の、にこにことした人懐こそうな笑顔が印象的な少女は、朔也と同じC組の九重すず。
彼女は一人で自主的に掃除をするなどしている善人なのですが、空気を読まず善行を積むことで周囲は自分の評価が相対的に下がるのではないかと考え、疎まれているのです。
こんな三人と一緒にいると知れたら?
朔也は思わず、その時こみ上げてきた想いを口に出してしまいました。
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恥しい、と!!

とりあえず一同はその言葉をスルーし、ジャングルの中を歩き始めました。
なんでも2年生たちの間で崇拝されていると言ってもいい別格的な女生徒、笙子をはじめとした20人ほどの乗ったボートが漂着していたのを見たというのです!
朔也も御多分に漏れず笙子を信奉していまして、彼女と合流できれば絶対に何とかなる、と確信しているようで。
合流できればこの三人とも離れられる、と考えて一緒に行動するのですが……
自分が「いつも幸福そうにしているお嬢様」でなければならないと考えている朔也にとって、汚れなどにかまわず進み、水分を補給するため虫の這う石を拾い上げてつたを切り、そこからしたたり落ちる水にかじりつく三人の姿に我慢ができなくなってしまったのです!
もう無理だ、と叫び、文句を並び立て始める朔也。
これほどまでに言われては、先ほどスルーした「恥しい」と言う言葉をそのままにしておくことはできません!
朔也に迫る楓子。
ツタをすすっているアタシたちはあさましくて恥しい?
それとも、うちらみたいな落ちこぼれと行動すること自体恥しい?
心の声がばれてないと思ってんなら、あんたのおつむのほうがよっぽど恥ずかしいわ。
そして、楓子は水の滴るツタの切り口を半ば無理やりつっこんで、こう続けました。
別にあんたの矜持は否定しない、お嬢様のまま干からびて死ねばいい。
だけどあんたが半日気絶して目覚めなかったせいで、足止めをくらっていた間、寝ずに看病していたのはすず、集めてきた朝露をすべて朔也に与えたせいで倒れたのがなつののように、行動したものを、何もしないあんたに見下される筋合いはない!!
一気にそうまくし立てられた朔也は、しゅんとなる……どころか、楓子にタックルして駆けだしてしまいました!
助けてなんて言ってない、とそのまま一人で笙子のもとに向かおうとする朔也。
ですがそのタックルの衝撃で、彼女が首から下げていたロケットが外れて落ちてしまったのです!
それに気が付いて引き返そうとしたものの、すでにそれは楓子たちが拾い上げていて……その中のモノを、見られてしまうのです。
その中に入っていた写真は、家族や異性ではない、A組とある人物のもので……
それを見た楓子はにやにやと笑いながら朔也にこう言うのです。
ああなるほど、人を蔑みまくる奴って、どっかにデカいコンプレックスを抱えてるとか聞いたことあるけど、そう言うパターン?
……朔也は、恥ずかしさや怒りがないまぜになった複雑な表情を浮かべ……
楓子からロケットをひったくり、画家、死ねばいい、などと罵詈雑言を口走りながら、今度こそかけだしてしまったのです!!

もう足元が悪いだとか、汚れただとか関係ありません、。
地面に転んで泥だらけになってもなお走り続け、そして自らのあの考えに思いを巡らすのです。
どうせ私はまがい物、
母さまをまねたハリボテ人形。
私はちっとも幸せなんかじゃない。
だけど、幸せに見えなきゃ生きる意味なんてないんだ……見知った女生徒がいるのが見て取れました!
ようやく見つけたほかの漂着者!
すかさず駆け寄ろうとする朔也、そして心配して追いかけてきたあの三人組もちょうどその場にやってきました。
が、そこで一同はとんでもないものを見ることになってしまうのです。
その女生徒を
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襲い、引き裂く、奇怪な怪物。
巨大な一つの目玉、巨大な口、無数の手足を備えた……おぞましい、怪物を……!!



というわけで、新たに産声を上げた「HOLY HOLY」新章である本作。
また新たに物語を始めるということで、前作を知らない人でもばっちり楽しめるよう、丁寧に、それでいてダイナミックにドラマを展開していくのです!

本作の最大の目玉はやはり、謎の多いこの島に巣食う恐怖でしょう。
早速登場した怪物のおぞましさや恐ろしさ、そしてその陰にまだいると思われる島の主とも思われる存在……
それらがこれからどのように少女たちに襲い掛かるのか、その毒牙から逃げ延びることはできるのか。
恐怖の宴はまだ始まったばかりなのです!!

新たな主人公となる朔也ですが、これがまた特徴的な性格をしております。
前作のトリノとひなは主人公らしいと言える冷静な頭脳派と活動的で優しい人物と言うタッグでしたが、この朔也さんはまあいい性格!
とても主役とは思えない、アレな言動やものの考え方をしてるのです!!
が、それが徐々に変わっていくのが間違いなくい見どころの一つ!
彼女がこれから改心していくのか、それとも?
こちらももう一つの柱として楽しめますよ!!

さらに旧作からのファンとしては、前作のキャラクターの登場も楽しみなところ。
笙子はこれからもガンガン活躍していくでしょうが、トリノとひな、アンナと言った人物は今何をしているのか?
そして個人的にお気に入りな宮城野さんは何をしていらっしゃるのか!?
そちらも楽しみでなりませんね!!


ちなみに前作「HOLY HOLY」はいま徳間書店さんから新装版として、「旧約マザーグール」と改題されt上下巻で刊行中!
描き下ろしのおまけも収録されておりますので、こちらも合わせていかがでしょうか!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!