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今回紹介いたしますのはこちら。

「ファイアパンチ」第4巻 藤本タツキ先生 

集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。



さて、ついにトガタの敷いたレールから外れ、ベヘムドルグで奴隷たちを解放!
迎え撃つベヘムドルグの兵たちを倒したばかりか、その戦闘の余波で街を破壊し、解放した奴隷たちとともに一気に脱出を試みたのですが……?



アグニの前に、思いもよらない人物が姿を現しました。
フードをかぶった、小柄な女性。
その女性は、自分を……氷の魔女と名乗ったのです!!

トガタによれば、長く続く極寒の気候の原因は、今この星が氷河期を迎えているから、のはずです、
それが事実であるのは、ベヘムドルグのユダがいるはずもない「氷の魔女」の存在をでっちあげることで、人々の不満の矛先を一方に向けていたことからもわかります。
ですが、目の前に現れた氷の魔女は、地面から氷の柱を生み出し、アグニを串刺しにして見せました。
こうして氷を操って見せられれば、トガタの語る真実を知らないアグニが、彼女を氷の魔女だと信じるのは無理もないというもの。
お前がこの世界を寒くしたのか、と言う問いに、氷の魔女を名乗るその女が、うん、と頷いたことでもうすっかりアグニはその言葉を信じてしまいました。
なんでそんなことをしたのか?
アグニの問いかけに、氷の魔女は少し考えた後答えます。
できるから。
寒くできるから、そうしたんだよ。
雪を見たら目的もなく雪玉作る時あるだろう?
同じさ。
……まるで理由になっていないその理由。
それを聞いた瞬間、アグニの脳裏に今までの壮絶な記憶が怒涛のように押し寄せてきます。
自分が腕を切って村人に与えたこと。
ルナとの友井で。
燃え上がる体。
目の前で焼け、朽ちていくルナの姿……
今も、ユダの首を落とし、その手にぶら下げて立っている氷の魔女を見て、アグニは思うのです。
こいつは、一刻も早く、できるだけすぐ……
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殺さなければいけない!

氷の魔女は、その炎を絶やしてはダメだよと言い残して消えてしまいました。
廃墟に一人残されたアグニは、うずくまり、畜生とうめくしかできなかった……のですが、その時、がれきの中にあるものを発見します。
それは、あの戦いの際に炎に巻き込まれ、死んでしまった人の亡骸でした。
それを見て、アグニは目を見開いて……!!

日もとっぷりと暮れたころ、ようやくアグニは先行していたトガタとネネトのもとに追いつきました。
トガタは今起こっている状況を説明しようとしたものの、それを遮ってアグニはトガタにこんなことを尋ねてきたのです。
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俺のせいで、今日何人死んだ?
俺はどれくらい、殺したと思う?
……ネネトはその言葉の裏に込められた感情を察知しますが、トガタはそんなアグニの感情など知ったことではないようで。
火が回るのが早かったから……じゃ、一万人で!と、どんぶり勘定でものすごい数を見積もって見せたのです。
その人数に驚くばかりのアグニ。
ネネトがすかさず、でも兵士の人が避難させてたし、ご……四百人くらい?と、少しでもその気持ちを慰めるために少なめに見積もるのですが……
やはりアグニのショックは大きいようです。
そこでトガタもようやくアグニの感情を察したようで、今頃罪悪感とか感じてるんじゃねえだろうな、罪のない人を殺してしまったとか、そんなこと考えてる暇はないんだよとそれをスルーしつつ、今の状況の説明と、それによって生まれるアグニの義務の説明をし始めました。
今君をたくさんの信者が待っている、君にはその人たちを助けた責任がある、と!

何が何だかわからないまま、いまアグニが助けた奴隷たちの拠点になっている村を訪れたアグニ。
すると奴隷たちがつい次とアグニの周りおとりか紺で拝みだすではありませんか!
奴隷の逃走を率いていたリーダー格の、バットマンはアグニのおかげで息子はこの時代に安らかに死ねた、と感謝の言葉を投げかけます。
両足の脛から下を落とされてしまったサンも、また奇蹟を起こしてくれた、僕に命を何度もくれた、すごくありがとう、と涙ながらにお礼を言うのです。
呆然とするアグニに、トガタは言いました。
皆君を神様だと本気で信じている。
君は今皆の生きる糧になってるんだ。
神様じゃないってばれたらいま収まっている面倒くさいことがおさまらなくなっちゃう。
今はうだうだ悩んで人間っぽくなるのは絶対ダメ。
君が奴隷を拾ったんだ、君が面倒見なくちゃ。
それが助けるってことだよ。
君は奴隷の人たちを助けたいって言った。
だったら今日から君は
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神様の演技をしなくちゃいけない。



というわけで、アグニが再び演技を始めざるを得なくなってしまった今巻。
前巻で大きくお話が動いた本作ですが、今巻でもまた思いもよらない方向へ物語が動き始めてしまいました。
少年漫画然とした、ヒーロー的な振る舞い、壮絶なバトルから、一気に物語はそれ以前の「演技」と、「世界の謎」に触れていく内容へと戻っていくのです!
突然現れた自称「氷の魔女」は、トガタのように……いや、トガタ以上にこの世界のことを理解しているようで。
彼女の口からこの後、世界に関する様々な真相が明かされ、そして彼女の目的も明かされることとなります。
その目的は、予想を超えるものともいえますし、本作らしいともいえるものでして……
彼女の本当の目的など知る由もないアグニですが、少なくとも氷の魔女を倒すという目的はできました。
おそらく本当のラスボスとなるであろう自称氷の魔女、彼女の企みを止めることはできるのでしょうか!?
そしてそれに加えて、アグニの耳に届けられるあの意外な人物に関しての知らせは、彼の心をどう揺さぶるのでしょうか!?
予測不可能と言う言葉があまりにもぴったりくる本作、今巻もまたその予想外の展開が繰り広げられるのです!!

本作と言えばその衝撃なストーリー展開に加えて、キャラクターの個性も注目したいところ。
今までもトガタなどの強烈ん個性を持ったキャラクターが登場していましたが、このシリーズで参戦したバットマンや槍の女、仮面のブリーフ一丁男などなど、見た目からしてすごいキャラがどんどん出てくるのです!!
自称氷の女王の性格も一筋縄ではいかないもののようですし、この後もこのキャラクターたちがドラマを彩ってくれることは間違いなさそう!
これから先の彼らの活躍も注目ですね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!