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今回紹介いたしますのはこちら。

「蛍火の灯る頃に」第2巻 原作・竜騎士07先生 作画・小池ノクト先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。


さて、平坂村に勢ぞろいした忠村一族。
ですが突然、太陽が二つ登り、村の中に白い靄が立ち込めてそこから出られなくなり、そして死んだおばあちゃんが生き返るという怪異が立て続けに起こります。
さらに父親世代の全員が体中にけがを負ってしまい、その怪我がみるみる悪化。
食糧はすぐに腐ってしまうというあまりにも危険な状況に落ちた中で、この現象に詳しい様子の謎めいた女性、鷹野が現れて……?


この平坂村は、「地獄」だという鷹野。
彼女はいくつかの有益な情報と、思わせぶりな言葉を残して立ち去っていきました。
この村で出来た野菜などの食べ物は決して口にしないこと。
ただし水はどこかの山の伏流水か何かのようで、飲んでも大丈夫。
村には瘴気が満ちていて、食べ物はすぐ腐敗するし傷口もすぐ化膿する。
幸人たちの家は魔除けがあるおかげで、「鬼」と呼ばれる瘴気の影響を受けたモノが入ってこない。
日の出と日没のわずかな間は、「禍時」とよばれ、怪異の影響がすくなくなる。
救助は来ないし、そんな期待する暇があるなら自力で助かる努力をした方が長生きできる。
……ここはもう、坊やたちが知っていた退屈な世界じゃないの。

幸人は、輝美に父たちのガーゼを使ったあと捨てずに取っておくように命じていました。
禍時の時に水を汲んでくるから、それで煮沸消毒して使いまわそう、とてきぱきした指示をするのですが……輝美はあまりいい顔をしません。
確かに高野の言う「地獄」の話、普通ならにわかには信じられない所。
輝美もあれだけ奇妙なものは見てきたものの、流石にそれをすべて受け入れることは難しいのです。
が、そのあたりに関して幸人は柔軟。
信じるとか信じないとかではなく、するべきことがはっきりしたんだ。
そう言って幸人は、その「するべきこと」を語り始めるのです。
お守りがあるこの家は基地のようなもので、生きていくためには危険な外に「狩り」に出なければならない。
水、食料、情報、集めなければいけないものはたくさんある。
もう俺たちはこの世界で生き残る知恵を教えてもらったんだから、次に知るべきなのはこの世界からの脱出方法だ。
そんな幸人の話を聞いていますと、輝美と輝也の父親の容体が急変したという知らせが入りました。
慌てて彼らが寝かされている部屋に行きますと、二人の父は大量の吐血をしています。
慌てて駆け寄るものの、もはや手遅れ。
何一つ言い残すこともできず、息絶えてしまったのです。
慌てて幸人が心臓マッサージを施すと、二人の父は息を吹き返します。
が、すぐにもうろうとしてきたようで、またも意識を失って行き……
再び心臓マッサージをする幸人。
必死に呼びかける輝美と輝也の応援もあってか、また息を吹き返すものの、すぐに心臓は止まってしまい……
次に息を不意吹き返した時、とうとう二人の父はこう言ったのです。
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俺はもうダメだ、頼む、楽にさせてくれ。
死なせてくれ……
その声に耐えきれなくなってしまった輝美は、心臓マッサージをしていた幸人を突き飛ばしました。
今までの思い出が次々に蘇って来た輝美ですが……だからこそ、これ以上父には苦しんでほしくなかったのでしょう。
弱々しく伸ばされた手を握り、輝美はすすり泣くのです。

が、その直後です。
たくさんの、ほたるのような奇妙な光が、二人の父の周りを飛び始めました。
あの食料を食い散らかす人面の蠅、餓鬼蠅の仲間か何かなのでしょうか?
二人の父にまとわりつこうとするそれを、必死に振り払おうとするのですが効果はなく、器用な光は二人の父の体の中に入りこむようにして消えたのです。
光は消え……残ったのは、
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二人の父の骸でした……

非業の死を遂げた二人の父。
ですが、幸人はその死に関して不信感を抱いていました。
心臓マッサージを施したとはいえ、あんなに何度も人は「死んだり生き返ったり」を繰り返すものなのか?
父の教えによってサバイバルの知識を持ち合わせていた幸人は、二人の父が息絶えた度に脈を何回も調べていました。
確実に二人の父は死んでいて、そして、生き返っていた……
この普通ではない状況、まさか鷹野の言っていた「地獄」と何か関係があるのか?
そんな疑問を輝美、輝也、月に話してみるのですが……当然父を失ったばかりの輝美がすんなりその話を聞くわけもなく……
よくそんなひどいことを平気で言えるなと言われてしまうのです。

食糧の整理をする幸人たち。
缶詰は残り8つ、米は10キロ袋が一つ。
これが食糧のすべてで、切り詰めて行ってもせいぜいもって10日余りと言ったところです。
こうして整理してみますと、やはり「狩り」は必須と言えましょう。
村中の家を探り、餓鬼蠅にやられていない食料を入手する、「狩り」が。
そして食料を集められるだけ集めたら、本腰を入れて脱出の手を考える……
そんなことを幸人と輝也が話し合っていたところ、輝美がトイレに立ちました。
ほどなくして、お勝手の方から輝美の怒鳴り声が。
料理をしていた月に、暑いのに締め切って火を使うんじゃないと八つ当たりしていたのです。
お守りの効果は、閉め切っていなければ弱くなってしまう。
だから月は閉め切った空間で煮炊きをしていたのですが……
騒ぎを聞きつけた幸人が駆けつけ、そのことを指摘するのですが、もはや輝美の怒りは収まりません。
男だったら外でたき火でもして外でご飯を作ったらどうだ、それとも怖いのか?
自分は安全なこの家から出ない、狩りにもいかない。
そう言う輝美に、幸人は引きこもっていても状況はよくならないというものの、引きこもっていたのは自分だろうと反撃をされてしまいます。
そしてその言葉をきっかけに、輝美は何かに気づいたようで、にやりと笑い……こう言い始めました。
あんた、実はうれしいんじゃないの?
こんな状況になって、世界が全部リセットされたみたいなもんじゃない?
そりゃクソニートには最高よね。
無能なニートのくせに指揮官づらしてあれこれ指示するのがうれしくてしょうがないんだ。
こんな世界になってよかったって、こんな自分でも活躍できて……
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そこまで言わてしまった幸人……思わず輝美に平手打ちしてしまいました。
泥沼化しそうな二人のケンカでしたが、その場は輝也が間に割って入ってくれて、何とか収まります。
ですが……幸人の中に持ち上がったその不安、どうしても拭い去ることはできません。
自分はこの状況を、喜んでいるのか?
今までそのサバイバルの知識を活かし、皆のためにあれこれ頑張ってきたつもりだった幸人……ですがその不安にさいなまれ、迷い始めてしまうのです……



というわけで、本格的に「地獄」でのサバイバルが始まった今巻、
なんだかんだオカルト要素の絡まないトリックを描いてきた竜騎士先生でしたが、もう完全に本作はオカルトしてます!
鷹野の語る平坂村、「地獄」のルールは、まさに本物の地獄そのもの。
まさかのあの人物が予想外の姿となって再登場したり、怪物めいたものが姿を現したり、見るも恐ろしい悪夢のような光景が一同の前に広がったりと、続々とその恐怖が押し寄せてきます。
さらに言えば、この村にあるものを食べてはいけないくだりなどは、まさしく古事記のイザナミとイザナギのあのお話のあのくだりそのまま!
この辺りをふまえますと、脱出も櫛やら髪飾りやらがカギになりそうですが……そこまでふまえるかどうかはわかりません!!
ともかく当面必要なのは食糧なのですが、そうこうしている間に父親世代の傷はみるみる悪化して言っているわけで……
落ち込んでいる暇などないはずの幸人は、立ち直ることができるのでしょうか?

そして鷹野の奇妙な様子も気になるところ。
この世界のことをよく知っているのもそうなのですが、それ以上になにか様子がおかしいようで……?
「ひぐらし」のあの物語の後の時間軸らしい鷹野、その目的と異変の内容は……!?

そんな恐怖と謎と言う竜騎士先生らしい味付けと、小池先生の練達のホラー描写がまじわってより面白く仕上がっている本作。
その他にも竜騎士先生得意(?)のいやらしい罵倒や、今巻のラストに待っているとんでもないものとの遭遇など、相変わらずぐいぐい読者を引き込んでくる展開も魅力的!!
今後の展開からも目が離せなそうですね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!