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今回紹介いたしますのはこちら。

「鮫島、最後の十五日」第11巻 佐藤タカヒロ先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、体をボロボロにしながらも連勝街道を走り続ける鯉太郎。
9日目の相手は、かつて幕下の優勝決定戦で激闘を繰り広げたこともある闘海丸ですが、今回はどんな戦いとなるのでしょうか……?


闘海丸は今や小結を務めるまでに成長していました。
そして、その人気も幕下だったころとは比べ物にならないくらい上昇しています。
が、それは実力のおかげだけではありません。
以前闘海丸とともに相撲に打ち込んでいた親友、細川。
彼はその体のハンデをいち早く受け入れて角界から身を引き……何と芸能プロダクションの社長をしていました!
そしてその細川の手腕によって、闘海丸はマスコット的な可愛さで女性人気を集めるような存在になっていたのです!
きっかけは、強面の闘海丸がハート形のアイスを持って「アイスてます」と言うCM。
そのギャップが良かったのでしょう、闘海丸は一気に人気者になりました。
ですが闘海丸自身は、別に人気者になりたくてそのCMに出たわけではありません。
芸能事務所を起こしたばかりの細川の力になろうと、友達を助けるために出演したのです。
結果として女性陣からキャーキャー言われるようになったわけですが、胸中は複雑そのもの。
なにせ、周りからは変わったと言われているものの、その変わったというのはあくまで実力と関係のない人気面での事。
力士として女性陣に騒がれるようになった、と素直に喜んでいいのかもわからず……
闘海丸はそんな思いを胸に、沈んだ表情で歩いていたのです。
そんなところに、鯉太郎が現れました。
鯉太郎は闘海丸を見つけると、こう言います。
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やっと戦えるな、ずっと楽しみにしてたんだ、あんたとの取り組み。
今日は幕下優勝決定戦みたいな一番で行こうぜ!
以前と変わらない、バチバチの槍愛を求めてくる鯉太郎の言葉に、闘海丸は笑顔をのぞかせるのですが……そこにもまた女性ファンの黄色い声援が飛んできます。
鯉太郎は、凄い人気だ、幕下のころとは違うな、と笑いながら、だからって遠慮なしで行くけどなと言い残して立ち去っていくのです。
闘海丸は、かろうじてもちろんだと漏らすのが精いっぱい。
鯉太郎の背中を見送る闘海丸ですが、そこに男性ファンからの声が聞こえてきました。
ですがそれは闘海丸をオウンする声ではありません。
調子に乗ってにやにやするな、俺たちの好きだった近寄れないほどおっかなかった闘海丸はどこに行ってしまったんだ、という、今のアイドル扱い人気を否定する声だったのです、
闘海丸は、心の中で盛んに否定を繰り返します。
違う、違うんだ。
俺は変わっちゃいねえんだ、何も、
もう限界だ、ああ、限界だ……
確かに始めは女にちやほやされて嬉しかった、だがそうなって初めて分かった。
性にあわねえ。
俺は力士だ、土俵に命をかける戦士だ。
好感度など、くそくらえだ……!!
こみ上げる思いを表すかのように、その表情が険しくなっていく闘海丸!
ところがそのタイミングで、第六感が反応したのか、細川が駆けつけて闘海丸を叱り始めるのです!
君の顔は恐ろしいんだから、笑ってくれ!
誰のおかげで人気者になったと思ってるんだ、君は僕の言うことを聞いていれば間違いないんだからさ!
そうまくし立てる細川……
自分の気持ちとは裏腹に黄色い声を上げる女性ファン。
変わってしまったと嘆く男性ファン。
変わらない鯉太郎。
そんな闘海丸の仮面を維持させようとする細川……
数々のストレスに、闘海丸は……とうとう切れてしまいました!!
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俺はパンダじゃねえ!!
そう怒号を上げた闘海丸は、驚く女性ファンを尻目に、細川に思いのたけをぶちまけるのです!
俺をこの世界に導いてくれたお前には感謝してるよ。
でも、俺らが昔目指してたもんはこんなことじゃなかっただろ。
ただ強くなりてぇ、それだけだったんじゃねえのか。
確かにお前のおかげで俺みてえなやつがキャーキャー言われるようになったよ。
けど、やっぱ俺は力士だ。
強さあっての人気以外はいらねえんだよ。
闘海丸は、今日の取組に格別の思い入れを抱いていました。
あの幕下優勝決定戦で、とんでもない熱戦を繰り広げた鯉太郎。
それ以降も、お互い関取になって対戦するチャンスはありました。
そのチャンス、存在はしたものの……鯉太郎の休場によって、流れてしまっていたのです。
そんなこともあって、ずっと待ち続けた鯉太郎との一番は、まさに待望のものになっていました。
鯉太郎とのあの決定戦での一番は、いまだに闘海丸の中に熱い火を灯しているのですから!
……そんな闘海丸の胸中を聞いた細川、流石に彼の想いを受け入れないわけにはいきません。
まぁ、商売上手な彼、ここで受け入れることによって今後もっと稼ぐための負い目を背負わせようというつもりもあるようですが……
ともかく、親友の後押しもあればもう闘海丸は止まりません!
黄色い声援を投げかけてくる女性たちに向かって、悪鬼羅刹のような表情で
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やかましい、と一声!
そして、今まで女性ファンの前で控えていたのであろう大放屁を一発!!
その放屁とともに気合を全身から放出させ、戦いの場へと向かうのです!!



というわけで、再び戦うことになった鯉太郎と闘海丸。
いろいろ悩んでいたようですが、吹っ切れた闘海丸は間違いなく強敵となるでしょう。
ただでさえ小結を張る実力者の彼が、幕下のころのがつがつした感情と、久しぶりの人気を気にしない闘志をよみがえらせたわけですから……!
圧倒的な腕力と恵まれた体格をもつ闘海丸を相手にしても、鯉太郎はあくまで真っ向勝負を貫くはず!
一体どんな戦いになるのか?
その行く末も結末も予想はできませんが……
久しぶりに複雑なドラマのない、純粋な闘志だけがぶつかり合うこの戦い、どちらが勝ってもすっきりする大熱戦になることだけは間違いないでしょう!!

そしてこの9日目編、鯉太郎の取組の後に「その後」と称して、白水を主役にしたシリーズも用意されています!!
白水の相手は、とんでもないフィジカル持つ外国人大関、天鳳。
白水も日本人離れした体を持っているとはいえ、その体力面ではさすがに太刀打ちできないはず……
そんな相手に、白水はどう挑むのか……
こちらも見逃せませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!