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今回紹介いたしますのはこちら。

「屍囚獄」第5巻 室井まさね先生 

竹書房さんのバンブーコミックスより刊行です。


さて、村が炎に包まれ、村がさらなる恐怖に包まれていった前巻。
そんな中で美琴は、林の中で怪しい麺をつけた人物と出会ってしまい……?


次々に人を殺め、このはまで殺してしまった猿田彦面の男。
今目の前に立っている、鉈を持った人物は……面こそ女性のものであるものの、間違いなくその惨劇を招いた人物です。
面の男は何も言わず鉈を振り下ろし、美琴に襲い掛かっていました。
悲鳴を上げて逃げる美琴ですが、相手はこの山中に慣れている様子の男、逃げ延びることなどできるはずもありません。
背後から切り付けられ、致命傷とまでは行かないものの、わずかに皮を切り裂かれてしまった美琴。
その痛みで顔をゆがめ、ひるんだ隙に面の男に間合いを詰められてしまい……いよいよ絶体絶命になってしまいます。
誰か助けて、と救いを求める美琴でしたが、そこで姿を現したのは甲斐でした。
美琴は、次々に人を殺したこの面の男が甲斐であると勘違いしており、キュウ中井の登場に混乱し、立ち尽くしてしまいます。
甲斐は何も言わず、手にしていた棒で面の男に一撃!!
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男は腕で防いだものの、その衝撃で面が落ちてしまったことを気にしてか、走って逃げ去ってしまうのです。
そして……甲斐もその場に倒れこんでしまうのでした。

その後意識を取り戻した甲斐から、このはや香坂を殺したのが彼ではないということを聞きます。
甲斐から聞いた話を聞いた限り……面の人物は、貴彦だとしか思えません。
ですが、あの気弱な貴彦がこのはや香坂はもとより、自分の母親を殺すなんてことをするはずがない……!
一度はそう考えた美琴ですが……その時、何かに気が付き、ハッとするのです。

そして美琴は、足を負傷している甲斐に肩を貸し、宇受女神社へと向かうことにしました。
しかし甲斐はその宮司が本当に信頼できる人物なのか不安な様子。
面の男に襲われたときに助けてくれたし、村人からもかくまってくれたから、と説明するものの、それでも猜疑心はぬぐいきれません。
何故なら……宮司もまた、この村の人間だから、です。
この村に住んでいる以上、この村のものが行っていた非道を全く知らないはずはありません。
あまり信用しない方がいい。
甲斐はそう言うのです。

そんなことを甲斐が言っていた頃、宮司とともに神社にやってきた比奈は、うずめを見つけていました。
うずめを見つけた瞬間、宮司は、いた、と目を輝かせ……その反応に得体のしれないものを感じた比奈は、ここにいると聞いていた美琴やこのははどこにいるのかと慌てて尋ねます。
この奥の祭祀の間にいると教えられ、駆け出す雛ですが、その祭祀の間にいたのは……物言わぬ遺体となったこのはだったのです!!
恐怖の悲鳴を上げ、美琴を探し回って家じゅうを駆けまわる比奈。
ですが美琴はもちろん、うずめも宮司の姿もなくなっていて……
宮司はと言うと、うずめの手を引いて何やら怪しい祠の前に来ていました。
乱心者が現れた、猿田彦の面の。
災いが来る、この村を焼き尽くす大きな災いが。
汚れのない乙女でなければ、神の怒りは沈められない……!
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そう言って、宮司は手に提げていた大太刀を抜きました。
その刀で彼はいったい何をするつもりなのでしょうか。
今までの柔和な顔とは一変し、鬼気迫る形相を浮かべる宮司。
ですがその時、大きな物音とともに悲鳴を上げるものがその場に現れました。
暗闇のせいか、慌てていたせいか、何かに躓いたのでしょう。
比奈が、その場に姿を現したのは、雛でした。
あの、私、なにも、何も見てないから、ホントに、わたし……!!
涙と脂汗を流しながら、そう弁明する比奈。
宮司は何も言わず彼女を見下ろし、そして……!!

その頃、村を包みこむ日の手から逃げ得ようとした村人たちは、狂気にかられたさよりを気絶させ、担いだまま村を離れようとしていました。
ですが村の立ち入りを制限するため、まともな道は一つとして残っていません。
唯一残っていたのは、何十年も手入れしていなかった吊り橋を渡る道だけ……
仮にわたっている最中に橋が落ちれば、みな一人残らず死んでしまうことでしょう。
危険を冒さずとも、このまま火がおさまるまで待っていればいいんじゃないかというものもいましたが、火の手の回る速度が予想以上に速そうで。
慌てて橋を渡ろうとするものの、やはり橋はもろく、命綱ともいえる端を結ぶ綱が悲鳴を上げ始めます。
すぐに荷物を捨てろ、いや全財産は捨てられない、まず担いでいるその女を捨てろ、などと争いを始める村人たち。
そんな諍いの中……さよりが目を覚ましていました。
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そしてさよりは、自分を担いでいた男の手にしていた刃物を奪い取り……にたりと笑って、橋を支える綱にその刃物を……!!



というわけで、いよいよクライマックスを迎える本作。
惨劇はさらに加速し、そしてすべての事件の謎が明かされていくこととなります。
美琴、比奈、さより、貴彦、甲斐、宮司、そしてうずめ。
この時点で生き残ったこの7名が、この村で続いていた陰惨な事件の終止符を打つ……こととなるのでしょうか?
次々に人を殺めていったのは本当に貴彦なのか。
宮司の狙いは何なのか。
美琴たちは生き残ることができるのか?
そして、謎の多いうずめの正体と、彼女の願いとは……?
謎と血が跋扈する本作、その結末は……やはり、ハッピーエンドなどが待っているはずもないのです!!

そのエンディングは、web雑誌で発表時はものすごい所で締めくくられているものとなっていました。
が、なんとこの単行本版ではその後に8Pの描き下ろしが咥えられておりまして、本当のエンディングともいえるものになっています。
あのエンディングの後、あの人物はどうなってしまったのか?
忌まわしき村の風習に終止符は打たれたのか?
そのモヤモヤが晴れる……とまでは言えませんが、より一層こう言ったホラーサスペンスものらしくなったと言えるエンディングとなっているのです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!