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今回紹介いたしますのはこちら。

「忘却のサチコ」第9巻 阿部潤先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。



さて、苦い思い出を忘れるために、仕事と食の探求に打ち込むサチコさんの日常を描いている本作。
ですがその苦い思い出の原因である、俊吾さんと再会を果たしてしまい、またサチコさんの心は揺れ動くのです。
それでもサチコさんは立ち直ろうと毎日頑張るのですが……?


サチコさんは大学時代の親友二人と、鹿児島旅行にやってきました。
お世話になった教授の退任式でひさしぶりに再会した三人は、教授の後押しもあり、大学時代のような友人水入らずの旅行をすることになったのです。
その退任式から3か月後の今、お互いのスケジュールなどをあけておいてようやく待望の旅となったのですが……
何と言うことでしょうか、友人二人の暮らす北海道が出発当日に猛吹雪に!!
飛行機が飛ばず、最初の一泊をサチコさんひとりで過ごすことになってしまったのでした。
いきなり手持無沙汰になってしまったサチコさんですが、だからと言ってぼさっと過ごしていても仕方ありません。
二人の分まで旅を満喫しよう、とサチコさんらしく決まったスケジューリング通りに行楽を始めるのです!

まずやってきたのは鹿児島市の中心と言える商店街。
そう言えば大学時代の旅行もここからだったような、などと考えながら商店街を散策しておりますと、その時も立ち寄った甘味処を発見します。
同行した友人の一人が、どうしてもここに来たかったと駄々をこねてまで入ったこの店の名物は……
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「白くま」です!
鹿児島で生まれたこの白くま、かき氷にまんべんなく美羽句が欠けられ、その上にアイスやフルーツ、小豆などをトッピングして、顔のような飾りつけがされています。
食べればひんやりと甘くておいしく、それだけで十分満足できるのですが、ここで別に提供される白玉、小豆、みかんが活きてきます。
これをトッピングして、自分なりの白くまの顔にアレンジして楽しむ、と言うのもまた楽しいのです!
早速サチコさんは自分なりの白くまを作って写真に取り、友人にメールで送るのですが……残念ながらサチコさんには美術的センスが全くありません。
本当にこれはあの時食べた白くまか、怖い、急に行けなくなったからって怒っているんじゃないよね、とさんざん言われてしまうのでした。

その後は城山公園を歩いていたのですが、そこで大学時代の会話を思いだしてしまいました。
西郷さんを発端にして、理想の男性像に関しての話になっていったのですが、そこで三人は案外サチコみたいな男っ気のない方が早く結婚するんじゃないか、などと言う方向になっていったのです。
確かに、サチコさんは式は上げましたが……
こんなところまで来て、俊吾さんのことを思いだしてしまったサチコさん。
一気にテンションが下がってしまい、いったんホテルでチェックインを済ませて気を落ち着けることにしたのでした。

気を完全に取り直すため、夜は「六白黒豚の桜島溶岩焼き」を堪能することにしたサチコさん。
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生の状態で出される黒豚を、熱された溶岩でできたプレートで焼き、こんがりと焼き色が付いたところでポン酢だれをつけて口の中へ。
噛めばじゅわっと拡がる豚の肉汁はあまみたっぷり。
外はサクサクにやけていて、その歯ごたえも楽しめます。
溶岩プレートの効能なのか、その味は濃縮されたかのようで、その濃縮されたものが神田瞬間に解き放たれるかのような味わいはもう絶品!!
一度は落ち込んだサチコさんの気持ちも、おかげさまで一気に回復したのでした!!

ホテルに戻ろうと歩くサチコさんですが、その途中にオネエ的な男性が接客するバーがお客さんの見送りをやっているのが見えました。
見るともなくその店員のほうに視線をやりながら、通り過ぎようとするサチコさんですが……その店員の一人が、どう見ても俊吾さんじゃありませんか!
ですが俊吾さんがオネエ去ったという記憶など全くありませんし……人違いだろう、とそそくさと底を去ろうとするのですが……
なんとその男性、サチコさんの名を呼んで呼び止めるのです!!
恐る恐る振り返ると、先ほどの男性が経っていまして……こういうのです。
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ぼ、僕だよ……と!!
……TPOとか、いろいろとわけのわからない状態でまさかの再会をしてしまった二人!!
しかも今回は俊吾さんのほうから声をかけてきた、とあっては、前回のようにうやむやで別れることにはならないでしょう!!
おそらく「?」が頭の中で渦巻いているであろうサチコさんに、俊吾さんは何を語るのでしょうか!!



というわけで、再び俊吾さんと再会した今巻。
まだその全貌こそ明かされないものの、だんだんと俊吾さんがなぜ失踪したのかと言う事情が何となく見えてくることとなります。
もちろんそれは俊吾さんがオネエだったから、というわけでは……ないです!
俊吾さんもその辺の誤解を解きたかったから声をかけたのかもしれないですし……
ともかくこの再会によって、物語のゴールは見えた気がします!!
ゴールは見えたとはいえ、この再会で本当にサチコさんが安心できるわけもなく。
まだまだ心を落ち着けるための食の探求は続いていくこととなりそうです!!

そしてこの注目の一編の他にも注目のお話が収録されております。
神戸牛ハンバーグ、マルゲリータ、オムライス、焼き餃子、ちゃんこ鍋にタイ焼き、と和洋中からデザートまで取り揃えたラインナップに!
サチコさんを取り巻く事件のほうも様々で、トラブルメーカーぞろいの担当作家さんに振り回されたり、まさかのあの先生があの賞の候補にノミネートされたりと、悲喜こもごもの日女が楽しめますよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!