ak0
今回紹介いたしますのはこちら。

「あげくの果てのカノン」第3巻 米代恭先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


さて、とうとう堺の奥さん、初穂が姿を現し、事態が複雑化していった前巻。
彼女と自分の様々な「差」を見せつけられたかのんでしたが、初穂もまた変わりゆく境を目の前にして、焦りや苦悩を感じずにはいられない状態です。
難しい状況の三人とかのんの弟、ヒロを交え……物語はより混迷していくのです。



地下の街で、ばったりと遭遇してしまったかのんとヒロ。
その時のかのんは、普段の彼女からは考えられないような服装をしていました。
ヒロはそれを見て、すぐ彼女が何を考えてその服装を選んだのかを察知します。
まさか、初穂さんのマネとかしているのか、と。
……まったくその通り、かのんは一人で初穂のような恰好をして、「先輩の奥さんごっこ」をしていたのです。
いきなり看破されてしまったかのんは大赤面!!
いくらなんでも、「仲睦まじい」境と初穂の間に割って入って連絡することなんてできません。
連絡くらいいいんじゃないのかとヒロは言うのですが、下心ありまくりの状況ので連絡はできない!とかのんは変なところでマジメ発言をするのでした。
そこで、ヒロはかのんのほうをいじる提案をしました。
初穂は背筋が伸びてるし、髪も跳ねていないし、スタイルがいいから体形を隠した服も着ない、とかのんの「ごっこ」を真っ向から否定。
ならばいっそのこと、と「高月かのん改造計画」を実行しようと言いだしたのです!!

髪の毛、メイク、服装、アクセサリー。
様々な部分に手を加え、改造計画は着々と進んでいきます。
ヒロ監修のもとで追壊れた改造計画はばっちりで、初穂そのもの……とまでは行かないまでも、いつものやぼったいかのんとは一線を画した上々のスタイルを実現させることができました!
店員さんに、これは初穂のこすぷれなんですよ、とヒロがかのんをからかうために明かしますと、店員さんもなるほどとばかりに笑い、こう言いました。
初穂さん、今すごいですもんね。
うちのスタッフにも好きな人何人かいますから。
境隊員との純愛も、あこがれちゃいますよね。

改造計画で忘れかけていた、初穂と境の割り込みがたい関係。
落ち込んでしまったかのんを元気づけるためにも、ヒロは一緒に映画を見たり、昔のことを振り返ったりします。
ですが、その間もかのんは境との思い出を振り返ってしまい、気分を持ちなおすことはできないのです。
それでもヒロに、これからは見た目にも気を使ってみようかなとカラ元気で笑うかのん。
そのままでもいいと思うけどと言うヒロに、かのんはそんなわかない、テキトーに扱われちゃうよと返すのです。
地味でキョドった一介のフリーターを、好きになるはずないのにね。
……自分で言ったその現実、十分わかっていたつもりだったかのん。
だからこそ、言い訳をし続けていて……境の掛けてくれた優しい言葉は嘘なんだ、と思い続けていたかった。
そんな思いをいったん頭の中から振り払い、帰ろうかと歩き始めたかのん。
ですが掃きなれないヒールで足を踏み外してしまい、転倒……仕掛けたところを、ヒロが手を引いて助けます。
そして……突然、ヒロは言うのです。
ak1
俺は、姉ちゃんが好き。
あんな奴よりずっと、姉ちゃんを幸せにできる。
……意を決した、ヒロの告白。
しかしその告白に対して、かのんが言った言葉はこうだったのです。
ak2
……手、放して。
ゆっくり、そっと離される手。
かのんはその最中にも、境のことを考えていました。
先輩は、私の手を離して、なんて言わなかった。
けれど、言うべきだったんだ。
私が先輩に傷つけられた分だけ、ヒロは私に傷つけられていて……
今もこうして拒絶することでしか、応えることができない。
……ヒロは、少し黙った後、励ましてやろうとしただけだ、とごまかしてきました。
かのんはそれを聞き、そうだよね、ヒロが私を好きなわけないよね、と言いかけたのですが……ヒロの先ほどの言葉が冗談でないのは、ヒロがその時浮かべていた表情を見ればわかってしまいます。
いや、本当はもう気が付いていたのです。
ですが、境意外に好かれても、かのんにとっては何の意味もないわけで。
降りしきる雨の中、立ち尽くしてしまう二人……
すると、なんと言うことでしょうか。
そこに、境が現れたではありませんか!!
それを見てすぐ駆けだしたかのんでしたが、ヒールのせいで再び転倒。
全身ぐしょぬれになってしまったかのんがゆっくり状態を起こすと……そこには、初穂と笑いあう境がいて……
先輩はどうして私にかかわったの?
私のことを途中で頬りだすなら、結局は奥さんを選ぶなら、ずっと神さまでいてほしかった。
そんな嘆きとともに、二人を呆然と見つめていたかのん。
そんな状況で声を上げたのは、ヒロでした!
お前さぁ、なんでノコノコ出掛けんの!?
女の子死ぬほど傷つけて、皆にいい顔して、それで済むと思ってんの?
お前なんて姉ちゃんの幸せ、これっぽっちも考えてねーくせに!!
必死に止めようとするかのんの声も聞かず、ヒロは叫びました。
ak3
姉ちゃんの人生から、出てけよ!!



というわけで、思いのたけをぶちまけたヒロ。
思わぬタイミングで想いを打ち明けられてしまったかのんでしたが、実際はヒロの気持ちを知っていて、それでいて彼の好意を全く何とも思っていなかった、と言う事実が明らかに。
自分のすべてを境に向けていたかのんでしたが、そのかのんの前に再び姿を現した境と初穂……
この再会をきっかけとして、物語は大きく、大きく動いていくことになるのです!!

この後、初穂はかのんに牽制を仕掛けたあと、ひとつの賭けをすることとなります。
昔から一途に愛し続けた境、でもその境は修繕をするたびに心が変わっていってしまう。
そんな残酷な現実に向き合い、彼を完全に自分のものにしたいと言う想いで研究をしてきた彼女。
そんな彼女がした賭けとは何なのか。
その賭けの勝敗をゆだねられたのは、ほかならぬ境自身。
境はそんな賭けのことなど知らず……知らずして、運命を大きくゆがめる選択をしてしまうこととなるのです!!
物語はどんどんと危うく、そして急速に進んでいきます。
かのん、境、初穂、ヒロ。
4人が変えてしまうことになる、街の運命は……


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!