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今回紹介いたしますのはこちら。

「血と灰の女王」第1巻 バコハジメ先生 

小学館さんの裏少年サンデーコミックスより刊行です。


バコ先生は、11年にサンデーの漫画賞を受賞、14年より週刊少年サンデーにて「ドリー・マー」を連載した漫画家さんです。
「ドリー・マー」は連載自体は短かったものの、独自の世界観やバトルと言った本編に加え、コスプレ企画が催されるなど見どころの多い作品でした。
そんなバコ先生の最新作となる本作は、やはりバトル要素のある作品。
前作は迫力は十分ながら、粗削りな面もあった絵柄をぐっと洗練させた本作、その内容はと言いますと……?



富士山の中腹にできた亀裂から、噴煙が噴き出し始めてからおよそ4か月。
もはや降り積もる火山灰も日常の様になってきた中、17歳の少年・佐神善は、趣味の絵を切り上げて学校から帰ろうとしていました。
友人の京介とともに校門を出ようとしたところ、そこには人だかりができています。
そしてその人だかりの先にあるのは……歪にねじられ、悪趣味なオブジェの様にされてしまっている猫の姿。
まだかろうじて生きてはいるようですが、この状態ではもう長いことはないでしょう……
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その惨たらしい姿に硬直してしまう生徒たちですが、その中で善は一人、その猫へ向かって歩いていき始めました。
そしてその猫をそっと手にし……ひとり、人気のない路地裏へと向かうのです。

やさしい少年である善は、せめてその猫が息を引き取るまで一緒にいてあげようと決めたようです。
ずっとその猫を抱きしめておりますと、そこに見慣れない外国人らしき女性が現れました。
その女性は、善にこう尋ねてきます。
アンタさぁ、傘ささなくて大丈夫?体中灰まみれよ。
……善は、猫にかかりきりになるあまり、自分の体に灰が積もっていることに気が付かなかったのです。
そんな善を見て、彼女はこう評しました。
いい人ね、バカみたい、と。
口は悪いですが、彼女は彼女なりに全を評価しているようで。
すぐそこにあるペットの共同墓地を指し、そこに埋めてあげたらいいんじゃないかと言い残して去っていくのでした。

その後、あとを追ってきてくれていた京介とともに猫を埋めてあげた善。
善の家は教会でして、昔からペットをこっそり捨てていく者が後を絶たなかったのだとか。
できうる限りはそれを保護していた善ですが、どうしても冬の寒い夜などに捨てられてしまった動物たちは、見つけたその時にはすでに息を引き取っていることもあって……
そんな彼ですから、家には大勢の動物たちが帰りを待っています。
京介も一緒に善の家の動物たちの暮らすケージにやってきたのですが、そこですぐに善が違和感に気付きます。
シロが……猫が一匹、いない。
しかも、かけて出たはずの鍵も開いていて……?
脳裏によぎった、あの無残な猫の死体……
善はすぐに猫の捜索に向かい、京介もが憎悪使って友人に協力を求めるのでした!

人気の少ない場所まで探しに着た善。
あたりは徐々に暗くなってきていますが、善はまだあきらめられず。
暗くなる視界の中、善が思い悩んでおりますと……そこで、シロのものらしき鳴き声が聞こえてきたのです。
その声は、町はずれの廃墟の中から聞こえてきます。
恐る恐る中に入ると、迎えてくれたのは強烈な酒と血の匂い。
そして、かごの中に入れられたシロでした!
ほっとする善でしたが、物陰から……刃物を持った、大柄な男が現れたのです!!
危険を察知した善は、カバンを男に投げつけ、ひるんだ隙にタックル!
男がたまらず倒れた隙にシロを助け出して逃げようとするのですが……
その時、また別の猫があの凄惨な姿にされつつある状況にあるのを見てしまったのです!!
ダメだ!こいつは捕まえないと!!
まっとうに考えれば、ここは逃げて警察に任せた方がいいでしょう。
ですが善の正義感はそれを許しませんでした!!
男を取り押さえ、何とか捕えようとするのですが、男は暴れ続け、口汚く善を罵り続けるのです。
ぶっ殺す、猫みてーにばらばらに引き裂いて踏みつぶす、元が人間だってことがわからねぇくらいにグチャッグチャに!!
その罵倒に負けないように、黙れ!と大声を出して威圧し返そうとした善。
ですがそのときのことです。
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善の右腕が、ちぎれ飛んだのは。
さらに驚くことは続いていました。
先ほどまで取り押さえていた男の体が膨れ上がり、到底人間とは思えない姿に変わっていて……!!
そして異形の怪物となった男は、善を弾き飛ばし、顔面を引き裂き……とどめを刺そうとしたところで、その動きを止めました。
最初はシロが善を守ろうとしたため、そちらを先に始末しようとしたからでしたが……その直前に、あの共同墓地のことを善に教えてくれた女性がやってきたことを察知して、その動きを止めたのです。
そして男は、なぜかそのまま善にもシロにもとどめを刺さず逃げていってしまいました。
……が、すでに善の体はボロボロ。
このままで、ほどなく命の火を潰えるでしょう。
ところが先ほどの女性は、そんな瀕死の善に向かってこう言うのです。
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大丈夫よ。
アンタは死なないわ。
そう声をかけられた善の顔の裂け目が、奇妙な動きを見せ……!?



というわけで、奇妙な怪物に襲われ、致命傷を負ってしまったところから幕を開ける本作。
いきなり危険な男と取っ組み合いになってしまったかと思えば、今度はその男が怪物化。
謎の女性はその謎の怪物を知っているようで、そしてなぜか致命傷を負っているように見える善に死なないと語りかける……
次々に襲い掛かってくる衝撃の展開と、謎。
その謎のほうはこの後どんどんと改名されていくことになります。
あの怪物は何なのか?
人間だったはずのあの男、そして善に変化が起きた理由とは?
謎の女性、ドミノの正体や目的は……?
明かされていく謎とともに、衝撃の展開のほうも止むことはありません!
突如巻き込まれることとなる怪物との戦いですが、その戦いの余波は善に容赦なく襲い掛かります。
考える間もなく襲い掛かり続ける激しい戦い、そしてその中で苦悩する善。
果たしてこの後、善を待つ運命はいかなるものなのでしょうか!?
確実なのは、血を血で洗う激闘が待っている、と言うことだけです……!!