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今回紹介いたしますのはこちら。

「地獄先生ぬ~べ~NEO」第10巻 原作・真倉翔先生 漫画・岡野剛先生 

集英社さんのJCグランドジャンプより刊行です。


さて、いよいよ謎の組織・ヴィムクが動き出した前巻。
ヴィムクの幹部である地獄人のひとり、ラミアが教育実習生を装ってぬ~べ~クラスへとやってきてしまいます。
なにもしらないぬ~べ~の様子をうかがうラミア、そしてそのラミアを見て驚愕する丑光。
丑光はラミアのことを「エリ」と呼んでいて……二人の間には何か関係があるようなのですが……?



ラミアは怪しまれないようになのか、それとも面白がっているのか、ぬ~べ~や生徒たちにお色気を振りまきながら教育実習生としての日々を送っています。
丑光はそれを見ながら、焦りを募らせていきます。
丑光は「エリ」を救うためにヴィムクに入ったとのこと。
どうやらラミアは地獄人ではあるものの、その体は「エリ」と言う人物のものを使用しているようで……
その体はエリのものだぞ、といらだちつつも、地獄人の持つ能力は霊能力と言うよりも超能力に近いものだから、ぬ~べ~がラミアの力に気が付くことはないだろう、と心配も深まっていくのです。
ラミアの目的は、ぬ~べ~を生きたまま「鬼天帝」なる存在への供物にすること、のようで……
このままでは、そう遠くないうちにぬ~べ~はその餌食となってしまうことでしょう。
丑光は、どうしてこんなことになってしまったのか、と……過去を振り返り始めるのです。

今から3年前、丑光は長野の山中にある研究施設に招かれていました。
次元エネルギーなるものを研究している科学研究施設に、なぜオカルト関係の専門家である丑光が呼ばれたのか。
胡散臭いとひそひそ噂する声もある中、研究が頓挫しかけている中で別方面からの助言もいるだろうという声もあり……とにかく、丑光は全面的に歓迎されているわけではなかったようです。
そんな噂話も気にせず一人でお茶をたしなんでいた丑光でしたが、そこに一人の女性が声をかけてきます。
研究のサブリーダーである山崎絵理。
彼女は丑光にこの研究の説明を始めました。
量子力学を通じて、いわゆる「異次元」を観測する。
その異世界とはパラレルワールドのようなものではなく、この現世とは大きくかけ離れた全くの異世界……
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「天国」や、「地獄」!!
科学者とは思えないその発言ですが、キチンと彼女なりの考えがあるようで。
「二重スリット実験」を例えに出し、もしかすると「人の心が世界を作りだす」と言うこともあるのではないか、それならば何億もの人が何百年にもわたって信じてきた天国や地獄は、人の心が量子を動かして形成された異次元の世界なのではないか!?と、絵理は熱のこもった持論を展開するのです!!
丑光も一般的ではない分野を専門に自分の道を進んできたもの、彼女のような自分の意思をしっかり持って研究に打ち込む人間は嫌いではありません。
丑光は、絵理に快く協力を申し出るのです。

研究に打ち込むうちに、丑光は研究者たちにも認められ……そして、絵理との関係も近づいていきます。
オネエキャラに見られがちな丑光ですが、実は日本舞踊の研究家一家の女系家族で育ったため、言葉遣いだけがそう言う感じになってしまっただけなのだとか。
つまり丑光は男だけが恋愛対象というわけではないわけで……すっかり仲良くなった二人は、どんどん関係を深めていき、研究所後任のカップルになっていったのです。
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そうこうしているうちに、研究は実を結びます。
と言っても、現状では精神だけが異世界に行くことができる、という段階ですが。
それでも大きな、大きな前進であることは間違いありません。
早速チームは、絵理をはじめとした数名を実験台にして「地獄」へ行ってみることになりました。
自ら志願して実験台になった絵理ですが、オカルト関係に明るい丑光からすれば、どうしても心配なところ……
ですが、彼女の情熱を止めることはできません。
実験は行われ……無事成功。
異世界、地獄とチャンネルを合わせることはできたのですが……その後、実験は予想を超えた事態に陥ってしまうのです!!
絵理の精神波が異常な数値を示し、逆流を始め……
異世界、地獄から、「何か」がやってきてしまったのです!!
目覚めた絵理たちは、すでに絵理達ではありません。
駆け寄ってきた丑光を吹き飛ばしたかと思うと、
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ひれ伏せ、我らは地獄人なり!と高らかに宣言し、研究y差たちを次々に殺害!!
そして、大羅刹鬼天帝をこの世に呼び出し、境界を破壊して現世を地獄にするととんでもないことを宣言したのです!!
地獄人はあえて生き残らせていた丑光を捕え、この世界の案内を指せる協力者になるよう強制し……

地獄人はどんどんと勢力を拡大、そして巨大組織ヴィムクを作り上げ、逢魔ヶ時プロジェクトを発起したのです。
丑光は命惜しさに従順に従っている……かのように見せつつ、絵理を助けるチャンスをうかがっていました。
地獄人は人間の体を借りなければ現世にはいられません。
境界が壊され、現世が地獄と化せば絵理の体はいらなくなり、解放されるはず。
丑光はその時を待っているのです。
ですがそれは、つまりたった一人のためにこの世を地獄にするということで……
それでも丑光は誓うのです。
たとえ全人類を敵に回しても、絵理を救う……と!!



というわけで、ついに丑光の目的が明かされた今巻。
丑光がヴィムクに協力していながらも、ぬ~べ~たちを必要以上に傷つけないようにしていたのには、こんな背景があったというわけです。
ですが、丑光がこの世を地獄にしようとしているのは事実。
そして、その計画にはぬ~べ~が重要なキーとなりそうなことも、また!!
ラミアはこのままぬ~べ~をだまし、いけにえにしてしまうのでしょうか。
丑光はそれを甘んじて見過ごすのでしょうか?
さらに、気になるあの兄妹の現状がわずかながらに明かされ、そしてどうやらそれもこれからの物語に大きくかかわる窮状でありそうな予感が……!!
本作における重要な分岐点となりそうなこのシリーズ、必見です!!

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今回はこんなところで!
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