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今回紹介いたしますのはこちら。

「うらたろう」第3巻 中山敦支先生 

集英社さんのヤングジャンプコミックスより刊行です。


さて、突然ちよと温羅太郎の前に現れた、安徳天皇と平教経。
最初はちよの命を狙って攻撃を仕掛けてきた二人でしたが、安徳は温羅太郎が「自分と同じ」不死であることを知り、興味を惹かれたようです。
そして安徳は、ちよたちの黄泉平坂への旅に同行すると言いだし……!!



ちよたちは、旅立ちを前に温泉に入っていました。
久しぶりのお風呂に興奮するちよでしたが、やんごとなきお方である安徳は、こんな落ち葉やら虫の死骸やらが浮いているようなお風呂がお気に召さない様子。
とはいえ、気持ちいいのは確かでして、これに入らないのはもったいない、と温羅太郎は言うのです。
……ちよの隣で。
長いことひとりで眠っていたこともありますし、ちよとはいろいろあった仲。
いまさらみられて困るものなんてないだろう、と温羅太郎は一緒のお風呂に入ることに何の感情も湧いていないようなのです。
が……ちよはと言いますと、顔を真っ赤にして遠くに走り去っていってしまうのです!
依然水浴びを見られた時は、岩を投げつけて温羅太郎を迎撃していたちよ。
それがいまやこの反応……ちよの心の中に変化があったことは確実で、ちよもまたそれを察知していました。
そのきっかけはおそらく、温羅太郎が安徳との戦いの際に行った言葉にあります。
ちよが、俺の心臓を動かしたからだ。
真っ先にその言葉が脳裏によぎったちよは、恥ずかしさのあまりその映像を振り払おうとするのですが……その言葉に対し、その時安徳が返した「愛か」と言う言葉までもが思い起こされてしまいます。
……愛。
ちよが、温羅太郎を振り向くと……ちよの胸は鷹なり、ほおは紅潮してしまいます!!
この反応は、間違いないでしょう。
ちよは、温羅太郎のことを……

翌日。
さあ出発だというところなのですが、なぜかちよが温羅太郎たちについてきません。
追い、聞いてんのかよと温羅太郎がちよの肩をつかみ、こちら側を振り向かせるのですが……
千代の顔は、紅潮したままどこを見ているかわからない、まるっきり気の抜けた表情になっているのです。
なんか昨晩から変だぞ、湯でのぼせたんじゃね?顔赤いぜ?病か?
そう頬を軽くたたきながら問い詰めていく温羅太郎ですが……
そのゆっくり近づいてきた顔が眼前にまで迫りますと、ちよは突然覚醒、近づかないでください!!と思い切り温羅太郎を突き飛ばしたのです!!
近づかないでください、あたしは大丈夫です、絶好調です!!
照れ隠しにそう叫ぶちよ……温羅太郎は突き飛ばされた衝撃で牛の角が突き刺さってしまっておりまして、ならいつまでもぼーっとしてんじゃねぇ、とつっこむことしかできないのでした。

今度こそ出発、と言うところで、今度は安徳がちよに問いかけてきます。
措置はこの先何が起きても生きる覚悟はあるか?と。
なんでも黄泉平坂へ向かうということは、平家が妖怪たちとかわした契約を破るということになり、そうなれば何が起こるかわからないとのこと。
ちなみにちよはその契約のことは何も知らないのですが……とにかく、この先の旅はこれまで以上に過酷になる、とものすごくかみ砕いて安徳は説明します。
行くか?それでも。
その問いに、ちよはゆっくりと答えます。
蒸すかしいことはよくわからないけど、おいしいものを食べたり、温泉に入ったり、いろんな人と出会ったり、誰かを好きになったり、生きているとそんな喜びが増えていくんです。
この喜びがあと一年しかないなんて、そんなのやっぱりおかしいです。
だから早く不死になって、余命一年なんてふっとばします!
これから先何が起きても、あたしは死ぬ気で生きます!
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あたしの人生は、あたしが決めます!!
そんなちよの確固たる気持ちを受け止めた安徳は、ポンと手を打ってこう言いました。
そう言うことならば今すぐ連れていってやろう。
黄泉平坂へな。
……黄泉平坂があるのは出雲、そしてここは奥州。
まだまだとんでもない距離があるはずなのですが、安徳は何を言っているのでしょう。
戸惑うちよと温羅太郎に、安徳は真の力をとくと見よと大見得を切り……
温羅太郎にちよと安徳を抱かせた状態で、教経の長い長い剣の先端に立たせました。
要するに……このまま、教経の力で出雲までぶん投げようということのようです!!
安徳や温羅太郎は不死身ですから、着地でばらばらになっても平気でしょう。
ですがちよはバラバラになってしまえばそれで終わり。
安徳はこのまま飛んで行く気満々のようですし、温羅太郎はしょうがねえな、とちよの体をぐっと抱き寄せました。
ちよはそれでまた頬を赤らめてしまうのですが、安徳と教経はお構いなし!!
特大の気合とともに、三人の体は宙に舞ったのです!!

猛烈な勢いでかっとんでいく三人!!
瞬く間に、行く先に目的の地が見えてきました。
どす黒い闇の中で燃え盛る、死者の国。
そこで待っているのは、恐ろしい困難でしょう。
でも、そんな時でもちよの胸は高鳴るのです!
あたしついに不死になれるんですね!
温羅太郎様、安徳天皇陛下、ありがとうございます……!
あたし、生まれてきてよかったですっ!
満面の笑みでお礼の言葉を告げるちよ。
その言葉に対して返されたのは
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ダメー!という、不気味な声でした!!
そいつは、金熊童子。
鬼の王の息子の一人である金熊童子は、契約違反だ、だからこちらも好きにさせてもらう、と言いながら……大きな弓に番えた矢を、
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ちよの腹に撃ち込んだのです!!
真っ逆さまに落ちていくちよ。
それを見ながら、金熊童子は笑うのです。
終わりだ、平家の世は、人間の世は終わりだ。
お前は「妖怪の王」を生むのだ。



というわけで、一気に目的地へ、と言うところでとんでもない状況に陥ってしまったちよ。
ここから物語はまた一つ大きな変化を迎えることとなります!
妖怪の王を生むと言われ、腹に矢を撃たれたちよ。
それが鬼の目的なのか、ちよは特に大きなけがもなく助かります。
助かるのですが……「契約違反」の報いは、ちよ以外に対しても容赦なく降りかかるのです!!
温羅太郎や安徳と離れてしまったちよは、そこで何を見るのか?
目の前に広がる驚くべき光景を見て、ちよはついに……!!

一方、鬼のほうの勢力も徐々に明らかになってきます。
金熊童子をはじめとする妖怪たちを統べる鬼の王は、誰もが知る超ビッグネーム!!
その名に恥じぬ強大な力の持ち主で、ちよたちの敵の強大さを思い知らされることとなるのです。
ただでさえ衝撃的な目に会わされているちよたちに、さらに猛烈な勢いで襲い掛かってくる妖怪たち。
安徳の言う言葉以上の覚悟がなくては乗り切ることはできないであろう苦難の数々……
温羅太郎は、安徳は、ちよはいかにして立ち向かうのでしょうか!?
急転直下の物語から、もう目が離せませんよ!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!