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今回紹介いたしますのはこちら。

「鉄鍋のジャン!!2nd」第1巻 西条真二先生 

富士見書房さんのドラゴンコミックスエイジより刊行です。


さて、「R」が劇的な(?)フィナーレを迎えた「ジャン」シリーズですが、15年にパラレルワールド的な「鉄牌」が始まり、復活を遂げました。
その「鉄牌」が好調だったのか、17年より本編の正統の続編である本作がドラゴンエイジにて連載開始!
その内容は、間違いなく「R」の後の話ではあるのですが……?



新装開店したスープ餃子専門店、「極東中華厨房」。
大勢の客が詰め掛け、舌鼓を打つこの店のオーナーは、美食家として名高い大谷日堂です。
流石大谷の店だと口々にほめたたえる客たちの声と、どんどん入るおかねに大谷は大喜び。
その上々の気分のまま、テレビ番組の出演があると店を後にする大谷。
この店の店長であり、彼の甥らしいアフロヘアの青年、大谷千年に後を任せて立ち去るのですが……
その帰り際に、何か大荷物を背負った少年とすれ違いました。
大荷物の中身も気になりますが、大谷なんだかその少年見覚えがあるような気がして……?
気にはなるものの、大谷はそのまま店を後にするのです。

その少年は、席につくと一番うまいスープ餃子をくれと注文。
千年は一番人気の「トマトスープのエビチーズ餃子」を進めてきましたので、少年はそれでいいとうなずきます。
注文したものが来るまでの間に、他の客の様子をうかがいますと……
やはり、このスープ餃子はいい、格式ばらない店で気楽には入れるりーずなぶつな店と言うのもいい発想だ、30種類もメニューがあるから選び放題だ、とほめたたえるものばかり。
その評判に、少年は期待を膨らませていた、のかもしれませんが……
運ばれてきた餃子を一つ食べるなり、こう言いはなつのです!!
ダメじゃん、不味いわコレ。
もしかしてこれ、
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料理のつもり?
皿の中身を床にぶちまけてにやりと笑う少年。
その行為を見て、千年はにこやかな表情を崩さずこう問いかけてきました。
それは当店自慢の品でして、それがまずいというのはお客様の舌か頭、あるいは両方に問題があるのでは?
そもそも具体的にどこがどのようにまずいのでしょうか?
千年は、少年を文句をつけたいだけのクレーマーだと認識し、反撃をしかけたのです!
すると少年、「どこがどのように不味いか」の説明をすらすらとし始めました。
まずこの川に使っている小麦粉は誰が使えと言ったんだ?
大谷日堂はプロ中のプロ、こんな小麦粉で作らせたりはしない、さしずめてめーだなモジャモジャ。
モジャモジャこと千年は、この小麦粉は北海道産の最高のものだ、それも小麦丸ごと特注で製粉させたものだからダメなわけはない!と大反論!
少年は、ちゃんと見せてやらなきゃダメか、間違いを指摘されて逆上するなんて、お前のその心を叩きなおさせてもらうぞ、
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オレの「心の料理」でな!

少年は、彼の「心の料理」と、千年の「手抜きの料理」の違いを見せてやると言い、料理勝負を持ちかけます。
少年がまず取り出したのは、圧力鍋。
そこに、豚骨や鶏ガラを細かく砕いて放り込みます。
そして調理中に問題の皮に取り掛かるのですが……まずこの店の皮は小麦粉臭すぎて駄目だと却下。
餃子の皮は細かい篩でしっかり振るったきめ細かい粉を使えばいい、あんの風味が味わえる。
さらにこの店の皮は客が多いせいなのか、手間を惜しんで練り込みも寝かせも足りなくなってしうまっている。
そう扱き下ろした後、今度は見たこともない大きな調理器具を取り出しました。
どうやらごま油やサトウキビを絞る圧搾機のようですが……?
ジャンはそこに砕いた骨をぶち込み、圧搾機を軌道。
するとその骨が絞られ中味の骨髄が液体となって流れ出るのです!
これで骨髄の餃子を作る、と笑う少年……!
客たちはその聞いたことのない料理に期待を膨らませるのですが、千年のほうは不安を膨らせます。
もしかしてら美味いのかもしれない、そう考え……大谷に電話で助けを求めるのです!

絞った骨髄は片栗粉に脂身、ラード、ネギを混ぜこんで塩コショウで味を調えます。
そして用意した普通の粉をちゃんとこねて、寝かして、拡げる。
四角く広げた皮にさいの目上に切れ目を入れていき、四角く切れ目の入れられた一か所一か所にあんを乗せていき……そして、机を力強くたたきつけたのです!!
するとその皮は宙に浮き、その宙に浮いた皮を目にもとまらぬ速さで握っていくではありませんか!!
これは、かつてあの料理人が使って見せた素早く大量に餃子を作るための技術!!
そのすさまじさに驚く一同ですが、その握りに見覚えのあるものが現れました。
大谷です。
久しぶりにその技を見た、と言いながら到着した大谷ですが、そこでしばらく千年と会話している間に少年の料理、「髄包餃子」が完成!
流で大谷も試食することとなったのですが……
その味は、絶品などと言いう言葉が生ぬるいほどの超絶品!!
一気に絶賛の声に包まれる厨房内、少年はそれを見て悪そうに笑うのです。
これが俺の「心の料理」さ!!
どいつもこいつも俺様のドス凄い料理を味わえ、恐れ慄け、身を撃ち震わせろ!!
……その餃子の出来のよさ、そして千年が勝手に皮を劣化させてしまったこの店の餃子の不味さは、大谷も認めざるを得ず。
千年にきつい戒めの鉄拳をお見舞いしつつ、この少年の無礼さにも怒りをあらわにしていたところ……
そこに、少年を連れ戻しに来た男が現れ、大谷にこう言うのです。
そいつは、五番町キリコの息子ですよ。
そう言う男は……かつて大谷を苦しめた料理人、五番町キリコの叔父である五番町弥一!!
その少年がキリコの息子だというのですから、間違いないでしょう。
驚きの事実に驚愕する大谷ですが、そのあと弥一の続けた言葉にはさらに驚かされることとなるのです!!
そしてそいつの父親は
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「中華の覇王」秋山醤です。
……大谷の大敵にして、料理界随一の天才料理人であり、最悪の悪童であった秋山ジャンの……息子!?
しかもその名までそのまま、「秋山醤」だというではありませんか!!
……突如現れた二代目秋山ジャン。
彼の目的はわかりませんが……とにかくこれから、中華料理界隈が飛んでもなく騒がしくなることだけは間違いなさそうです!!



というわけで、2代目ジャンの料理を描いていく本作。
キリコとジャンの息子、と言うことで、主人公とヒロインがくっついた至極当然の出自ながら、原作ファンならばあの二人がくっつくとかまじかよ、とも言いたくなるところから始まるわけですが……
その出自もなかなか複雑そうなところがまず見どころと言えるのではないでしょうか!
キリコとジャンの息子と言えど、今はその二人とも五番町飯店にはいないようで。
しかも幼い日はキリコらしき女性からのみ料理を教わっていたり、五番町姓だったりした描写もこの後されていきまして……さらにこの後明かされる2代目の目的もなかなか根深そう!!
……「心の料理」と言っているのに餃子捨てちゃったり、その辺からもなんかうかがえますしね……
それもそのはずこの2代目ジャン、その背景は複雑で、なかなかドロドロしていそうな雰囲気!!
初代のころのライバルたちとの料理勝負はもちろんこれからも繰り広げられていくのでしょうが、この両親との絡みが本作の軸となることはほぼ間違いないと言えましょう!!

もちろん他の見どころも満載です!!
新たな料理関係のアドバイザーを二名迎え、料理関係は今までと引けを取らない奇抜さや、驚きを持ったものばかりとなっております!!
破天荒さも初代譲りで、その料理風景も併せてこれからも楽しませてくれそうです!!
そして無印やRのころのキャラクターのその後もうかがえるという続編ならではの楽しみももちろん用意!!
あのキャラクターの息子や娘らしき人物が続々登場しますし、あのキャラとあのキャラがくっついたのか!という驚きもあります!!
そして当面のライバルとなりそうなキャラクターも無印キャラの親族のようで、そちらも期待感がもりもり!
そんな様々な要素が盛り込まれた本作、「R」のようなアレではなく、きっちり完結まで是非とも乾燥していただきたいものですね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!