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今回紹介いたしますのはこちら。

「パラフィリア~人間椅子奇譚~」第2巻 佐藤まさき先生 

小学館さんのビッグスピリッツコミックススペシャルより刊行です。


さて、敬愛する神楽木に少しでも近づくために、彼女の愛用する椅子をひそかに改造し、その中で彼女の生活を覗き見るようになった瞳子。
ですがその監視生活の中で、神楽木が誤って教師を殺害してしまった場面を目撃してしまいます。
偽装工作をして何とか自分の犯行だと気づかれないようにした神楽木ですが、いつどうなるかと彼女の気が休まることはありません。
瞳子はひそかに、全てを知る自分が彼女を守ると決意するのでした。



神楽木を守るため、瞳子は新たな活動を始めました。
普段の学園生活でたまたま見かけた工事から発見した、屋根裏への入り口。
その入り口を使って、屋根裏の散歩者となる活動を。

屋根裏は高さ1.2メートルほどあり、予想よりもじっと広々としていました。
が、天井板自体は薄くもろいため、梁を歩かなければ踏み抜いてしまうかもしれません。
そこにさえ気を付けていれば、ここは誰かを監視するにはうってつけの場所。
じっくり腰を据えて、特別会議室にいない時の神楽木を見守りたいところですが……瞳子が今屋根裏に入るために使った出入り口は、ここに入り込んで悪さをしているイタチの捕獲をするために開けられたもの。
問題のイタチは……仕掛けられた罠にもうつかまっておりまして、これが回収されれば出入口は塞がれてしまうことでしょう。
瞳子は屋根裏を探し回り、別の入り口を探るのです。

その探索の中で、瞳子は奇妙な空間を発見しました。
ちょっとした部屋のようになっているそこには、古めかしい引き出しやタイプライターなどがあり、そのどれにもうずたかく埃が積もっています。
そのほこりまみれの物品の中でとりわけ目を惹くのが、大きな大きなトランク。
人1人やすやすと入りそうなそのトランクあ、古いもののまだその強度は健在で、鍵もしっかりかかりそうです。
中味は……空。
まるで死体でも入っていそうだと緊張していた瞳子ですが、ほっと胸をなでおろすのでした。
そしてその部屋の中に、屋根裏から出入りできそうな扉を見つけます。
どうやら音楽準備室につながっているようで、これで安心していた筑女を終えた後も屋根裏に入ることができるようになったのでした。

それから瞳子は、その空間を拠点として活動を始めます。
丹念に屋根裏を歩き回って地図を作り、校舎内との位置関係を把握、そして小さな覗き穴を開けていきました。
神楽木の行きそうな場所にいくつか除き穴を開け、これで日中も常に神楽木の行動を見続けることができるようになったのです。
……が、その監視の中で、瞳子の中に妖しい感情が沸き立ち始めてしまいます。
監視中、ふとしたことで目にしてしまった、様々な生徒や教師たちの様々な顔。
誰も見ていないからという安心感から、女生徒同士で逢瀬を楽しむ姿、だらしなく下着をあらわにして熱さをしのぐ姿、生徒たちの誰が魅力的だという会話をする教師たちのやましい姿、生徒たちから卑下されている太った用務員のまじめに仕事に打ち込む誠実な姿……
そんな、普通に過ごしていれば見られない姿を見ることが、楽しくて仕方なくなってしまったのです。
下の部屋では、さも厳重に壁で仕切りがされていて、出入口は戸締りの鍵までつけられている。
と言うのに、薄い天井板1枚をはさんだ屋根裏の散歩者である瞳子にとってはそんなもの
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いっさい関係ない。
……そんな、得体のしれない優越感と愉悦に撃ち震える瞳子。
瞳子はその喜びに、浮かれてしまっていたのです……

そんな瞳子の浮かれた気持ちを一気に覚めさせる、恐ろしい出来事が起きたのは……すっかり気温も上がり、夏も本番になった7月のことでした。
神楽木が帰ろうと下駄箱の扉を開けたところ、そこには一枚の簡素な封筒が入っていたのです。
特別会議室に戻り、その中身を検める神楽木。
すると中から出てきたのは、2枚の写真と、1通の手紙でした。
その中身を見るや、神楽木の顔は真っ青になってしまいます!!
その手紙に書かれていたのは
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「先生を殺したのはアなタ」と言う一文。
そして写真に写っていたのは、あの瞬間を向かいの校舎らしき位置から移した、決定的な場面だったのです!!

その出来事を、神楽木の椅子の中で知った瞳子もまた青ざめます。
見られていた。
先輩を守ろうと決めたのに、気付けなかった……!
そんな絶望に打ちひしがれる瞳子。
神楽木は……
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大きなハサミを手に、瞳子のいる椅子に向かって立ち……こういうのです。
この椅子が一番怪しい。
錯乱した神楽木は、部屋中に監視カメラを探し……そして、この椅子に当たりをつけたのです!!
まさか、こんな偶然で瞳子の秘密は白日のものとなってしまうのでしょうか?
物語は、急展開を迎えることとなるのです!!



というわけで、新たな展開を迎える本作。
安堵していた矢先に襲い掛かった謎の怪文書。
今のところ脅迫などではないようですが……これで終わるわけがありません。
この手紙の差出主は誰なのか?
神楽木に何をさせるつもりなのか?
そして、追い詰められた瞳子の運命は?
この後も目の離せない展開が続き……事態はまさかの状況へ!!
更なる緊迫感で迫る窮地と、襲い掛かってくる絶望。
果たして物語はどのような方向へ展開していくのか!?
脅迫事件の、そして瞳子の監視の結末は……
全てが描かれ、物語は完結するのです!!

江戸川乱歩先生の「人間椅子」をモチーフにした本作でしたが、今巻はそこにさらに同先生の「屋根裏の散歩者」の要素も混ぜこみ、さらに細かな部分でも「黄金仮面」「お勢登場」などの小ネタ的要素もちりばめられておりまして、一層乱歩先生リスペクト具合が増しております!
本編の背徳感やエロス要素、手に汗握る事態の連続も非常によろしいのですが、そう言った部分でにやりとするのもまた本作の楽しみ方の一つでしょう!
全2巻で綺麗にまとまった本作、オチもいい感じににやりとさせてくれるものになっておりますので……ぜひともそこはみなさんの目でご確認を!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!