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今回紹介いたしますのはこちら。

「蟻の王」第6巻 原作・塚脇永久先生 漫画・伊藤龍先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックスより刊行です。


さて、龍太郎の圧倒的な力に打ちのめされてしまった四郎。
なんとか意地だけは見せつけることができたのですが、結果だけ見れば惨敗と言ってもいいでしょう。
龍太郎の策略によって四郎はさらに追い詰められ、今後は龍太郎と対面するチャンスはほとんどないと言う状況になってしまいました。
が、四郎は龍太郎が確実に公の場に出てくるチャンスがまだあることを知ります。
六道財閥が主催する年末歌謡祭、そこでグランプリをとったものには直接龍太郎がトロフィーを授与する……
その機会を狙おうと、四郎は自分たちもアイドルを送り込もうと言いだして!?



ちょっと太めの少女、アリス。
アリスは夢をかなえるために、プロデューサーのもとへやってきていました。
ですが二人の格好はちょっと変。
アリスはその名前の通り、不思議の国のアリスをほうふつさせる格好。
とはいえ彼女、童話をモチーフにした地下アイドル「童話名作プリンセス」に参加しておりまして、その衣装と言ことを考えればそれほど変ではないのかもしれません。
ですが問題は、プロデューサーの宇崎のほうです。
でっぷりと膨らんだ腹を隠しもせずにパンツ一丁のその姿、それに加えて兎の耳やマスク、兎の足を模した靴、と……コスプレともいえない、奇妙すぎる格好をしているのです。
そんな気味の悪い姿で、宇崎は言うのです。
君の夢をボクが叶えてあげる。
さぁおいで、導いてあげるよ、君が憧れる大人の世界へいっしょに旅だとう。
……どうやらこの宇崎、アリスに自分の欲求を満たす行動を強いて、それと引き換えにテレビで取り立ててやろうという……アレを持ちかけていたようです。
アリスもそれを知ったうえでここに来たのでしょうが、流石にこの格好でこんなことを言われては戸惑わざるを得ません。
本当に童話名作プリンセス、ドメプリをテレビで歌わせてくれるんですよね、宇崎プロデューサー。
戸惑いながらもそうたずねますと、宇崎はその名で呼ぶな、白ウサギさんと呼べ!とぶち切れ!!
与えられた台本と配役で僕をどれだけ楽しませられるか今テストしているんだ。
テレビの世界という水槽の中は、魅力のあるものしか泳いじゃダメなんだ。
テレビ局のお偉いさんとウォーターベッドに飛び込めばすぐにスターになれると勘違いしているメダカが多すぎる。
そう言う子供には、厳しく怒る怖い大人だよボクは!
一気にまくし立てられたアリスはおびえ、ごめんなさい白ウサギさん、と涙目で謝るしかできず……
宇崎はというと、それを見てその表情はいい、といやらしく笑います。
可愛いだけの女の子なんてみんな見飽きてる、ブスでもいいから個性的なアイドルを求めてる。
だからボクも君が持ってきたアルバムを見て過去を写真で眺めて、ご両親ですら知らない隠れた魅力を探してあげようとしてたんじゃないか。
そう言う宇崎、アリスにどんどん答えづらい質問を投げかけ始めます。
アリスが口ごもると、再び激昂して平手打ちを見まい、そんなのでバラエティ番組に出るつもりか、と威圧するのです!!
完全におびえきったアリスのその表情を見て……興奮!!!
ブスだが泣き顔は悪くない、君のウリは「イジメられ泣き豚アイドル」、どうだいコレ。
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そう言って、宇崎はスカートの中身まで撮影を始めるのです!!

ところ変わって、とある女の子が童話を朗読してくれて、オプションで耳かきやら添い寝やらをしてくれるというちょっと変わったサービスをしてくれるお店。
そこには、赤ずきんちゃんの姿をした女の子……なんと、ミハルが勤務をしておりました!!
実は彼女もまた、ドメプリの一員!!
あの天使のような無垢な少女だと思われたミハルが、こんな風俗的な仕事をしているとは……!?
もちろん彼女は法に触れるような(正直これもグレーな気もしないではありませんが!!)ことをしているわけではありませんが、彼女のイメージとはちょっと違う気がします。
が、いろいろと苦労してきた彼女、ちゃんとわかっていることもあるのです。
真面目一徹に頑張って来たのに、大けがをして数日休んだら首にされてしまった、と言うとあるおじさんにこうアドバイスをしました。
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真面目な人が報われるのは絵本の中だけですよ、たまには悪い子にならないと疲れちゃうんだから。
一番大好きな娘さんの前でだけ、素敵なパパならいいんです。
私もいい子のふりをしてるけど、父にはこの仕事内緒なの。
お友達に誘われて地下アイドルを始めたんですけど、新婦の娘が隠れてアイドルなんて自分でもあきれて笑っちゃう。
そう言って、おじさんの悩みを少しでもほぐしたげるのでした。

そんなミハルとアリス、そして数名の女の子で構成されたドメプリに届いたある一報。
それは、宇崎から届いたテレビ出演決定の知らせでした!!
一人暗い表情を隠し切れないアリスとは打って変わって、何も知らないメンバーたちは大喜び!
アリスをすべて知ったうえで差し出した所属事務所の社長もほくそ笑むのですが……
もっともほくそ笑んでいたのは、宇崎でした。
その笑いの原因は、アリスをどういじめるか、だけではありません。
ドメプリやアリスの写真の中で幾度か顔を見た……ミハル。
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宇崎の次なる獲物は……ミハルのようです!!!



というわけで、ドメプリ編が開幕し、今巻で一応の決着を見る今巻。
ミハルの新たな一面を見ることのできるこのシリーズですが、もちろんこのある意味でのチャンスを四郎が逃すわけもありません。
宇崎の黒い欲望を、四郎はどう利用するのか……?
そんな構造になるかと思われたこのシリーズですが、ミハルと四郎、なんといいますか……裏の世界には程度の差はあれ免疫があるものの、下のほうに関してはウブもウブ!!
まるで何も知らないといってもいい二人が、宇崎のようなそっち方面に特化した相手に効果的な手段がとれるのでしょうか!?
……まぁそこは枕田もいるところですし、なんとかしてくれることでしょう……多分!!
そんな不安もあるこのシリーズですが、とりあえず芸能界に食い込むことが打倒龍太郎への第一歩になることは間違いありません。
果たしてこのシリーズを経て、一気に龍太郎へのステップを踏むのでしょうか、それとも……!?
アクションは控えめながら、今まで通りの下衆相手のバイオレンスな戦いが繰り広げられますよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!