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今回紹介いたしますのはこちら。

「鉄牌のジャン!」第5巻 西条真二先生 

竹書房さんの近代麻雀コミックスより刊行です。


さて、1億円のかかった麻雀大会に挑むジャン達。
普通の麻雀大会とはあまりにも違い過ぎる試合形式が連続する中でも、ジャンは我が道を行くとばかりに勝ち進んでいきます。
人間麻雀と言う奇抜な戦いも勝ち抜いたものの、次なる戦いもまた奇妙なものとなりそうで!?



3回戦は、とある島の中での点棒の奪い合いです。
ちょっとした町まである島を舞台にした点棒の奪い合いですが、ここでの点棒の奪い合いとは、麻雀の勝負だけではありません。
この島にいち早くたどり着いたのは、かつてジャンや銀子の祖父に辛酸をなめさせたある人物と関係があるらしい、王という男。
この異様な大会で余裕の笑顔を絶やさず、それでいてしっかりと勝ち残り、存在感を示している王は、その笑顔とは裏腹にしっかりと計算された冷酷な戦術を取る、「常に一歩先」をモットーにしている策略家。
この島に来てルールを把握するや否や、島中にある食料を確保してしまったのです!!

肝心のこの島におけるルールと言うのは、「点棒がすべて」なるもの。
0点以下になれば失格、8名が残るまで点棒のやり取りをする、と言うのが終了条件でして、それまでこの島で延々と点棒のやり取りをしなければなりません。
……何日でも、です!!
そうやって持久戦になってくれば、当然問題になってくるのが……食事です。
腹が減っては戦はできぬとはよく言いますが、その状態が長い間続いたとすればそれどころの話ではありません。
ここぞとばかりに王は、飢える参加者たちにカップラーメン1個一万点、とものすごい金額、ならぬ点額を吹っ掛けるのです!!
もちろん暴力行為は固く禁じられていまして、発見されれば即座に黒服に痛いお仕置きをされてしまいます。
腹を満たすためには、点棒を払って食べ物を手にするしかない。
そうなれば脱落は近づき、王の点数はさらに増えていき……
王は早くもこの3回戦の勝利をほぼ手中に収めてしまった、と言うことなのでしょうか……!?

一方そのころ、ジャンたちはと言いますと。
飢えてフラフラの参加者に出くわし、2回戦でジャンが作った猪肉の蒸焼きを与えた代わりのこの3回戦の情報を手に入れていました。
銀子は驚いておりますが、ジャンもまた食料の確保を念頭に置いて3回戦に挑んでいたわけですからむしろ感心しております。
情報を得たジャンは、早速王のもとへ……向かわず、
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さらなる食糧の確保に向かうと言いだしました!
ジャンは釣り竿も持っていますし、確保までに必要な当座の食料も十分。
サバイバルの知識も豊富な彼なら、難なく食うに困らない量の食料を確保してしまうことでしょう。
……となると、今まで一緒にいた銀子や蛇美たちはどうなるのでしょう。
ジャンは当初、おまえらにも一万点で肉をわけてやるとうそぶきますが、もちろんそれは「ただではわけてやらない」という意思表示。
食糧確保のためにも、これからの展開を見据えてさらに点棒の上積みをするためにも、人手が必要になるのですから!!

そのころ王はと言いますと、勝負を挑んできた温水・加納ペアと二対二の麻雀勝負をしておりました。
温水の麻雀の腕は……あくまでそれなり。
百戦錬磨で、まっとうな麻雀の腕前も、裏のダーティな腕前も抜群な王からすれば、正直言って敵ではありません。
王の手練手管に翻弄され、温水はとうとう8000点の直撃を喰らってしまいました!!
ハコをかぶれば即脱落のこのルールで、満貫直撃はあまりにもいたいところ……
ですがルールはルールですから、しぶしぶ点棒を支払おうとしたのですが、そこで2対2の戦いだから点棒の共有も問題ないでしょう、と8000点を代わりに加納が支払ったのです!
安心してください、坊ちゃまは私がお守りします。
そう言っていつものように優しく笑う加納でしたが、点棒を肩代わりするだけじゃ僕には勝てないよと挑発してくる王には……いつもとは違う顔を見せたのです!!
いいえ勝ちます、使用人として坊ちゃまを立てることを重んじてきましたが、こうなれば話は別、本気を出させていただきます!
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そう言ってサングラスを取った加納の左目には、痛痛しい傷が刻み込まれていて……!!
「常に一歩先」をいつも口にしている王は、対戦相手のデータ収集も怠りません。
が、加納の真の実力は彼をもってしても未知数!
流石の王も、ただならぬオーラを身に纏う加納に警戒せざるを得ないのです!

で、ジャンはと言いますと……まだまだ食材探しの真っ最中。
大きな鹿を仕留めて肉をゲット。
協力関係にある龍子の釣ってきた上等のスズキやメバルといった魚も手にし、早速それを煮込み始めます。
小此木に鍋をかき回すように命じると、ジャンはさらなる食材を探しに山へ向かい、今度はそこで何やら野草を見つけて引き抜き、ほくそ笑みました。
これで、ジャンの目指す食料の確保はほぼ完ぺき。
ですがジャンが目指すのはそれ以上……この食糧で、点棒を稼ぐことです。
それにはもうひと押し、何かが欲しい所でして、ジャンは山の中を探し回り……
そして、とうとう見つけたのです!!
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一面に広がる花畑。
その花を見て、ジャンは会心の笑みを浮かべるのです!!
やったぜ、これで盤石だ、食い物に植えた連中を丸ごとかっさらってやるぞ、俺様の料理でな!!



というわけで、3回戦が開幕した今巻。
今回もおおよそ麻雀大会とは思えない、点棒争奪サバイバル戦の上、やっぱり鍵を握るのは料理、と言う本作らしい展開を迎えます!!
麻雀要素もないわけではないのですが、もう完全に「料理要素のある麻雀漫画」ではなく、「麻雀要素のある料理漫画」になっている感じになってまいりました!!
正統続編「2nd」が始まったのにこのスタンス、流石としか言いようがありません!!
西条先生ももはや完全に開き直ったのか、作中でジャンにそろそろまともに麻雀がしてえ、などと言わせる始末……!!
良いですよ西条先生、もっとやってください!!

そんな西條先生ノリノリの本作ですが、今巻もジャン本編のセルフパロディやサービスシーン、本編で実現しなかった戦いなどのファンサービスに満ち満ちた一冊になっております!!
温水と加納の絆のエピソード、ジャンと銀子の祖父と王の因縁と、「ジャン」ファンならば思わずニヤリとしてしまうネタ、ものすごい勢いで披露される女性陣の生まれたままの姿、加納VS王を筆頭とした夢の戦い……
ジャンシリーズの名に恥じない強烈な料理もこの後登場しますし、相変わらず小此木がヒロイン的扱いを受けておりますし、その他もろもろも見どころ満点!!
そして、今巻のラストで開始される準決勝では、少し前に流行ったあのゲームを取り入れてようやく本格的に麻雀を開始!
料理がしばらく見られなくなりそうなのはちょっぴり寂しいですが、特殊ルールはあっても久々に行われるしっかりとした麻雀シーンはやはり楽しみなところ!!
これから先もやっぱり目が離せませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!