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今回紹介いたしますのはこちら。

「リウーを待ちながら」第1巻 朱戸アオ先生 

講談社さんのイブニングKCより刊行です。


朱戸先生は04年にスピリッツの増刊でデビューした漫画家さんです。
デビュー後は一色登希彦先生のアシスタントなどを経験し、10年には四季賞の準入選を獲得。
11年には「Final Phase」を発表し、そこから医療漫画を得意ジャンルとして様々な作品を発表してきました。

そんな朱戸先生初の巻数表記のある単行本となった本作は、やはり医療漫画となっています。
気になるその内容はと言いますと……?



響き渡る、戦車の駆動音と砲撃の音。
規則正しく朝七時に鳴り響くその音で、玉木涼穂は目を覚ましました。
8月19日、朝7時。
富士のふもとにある、綺麗な水と美味しい空気を売りにしている横走市では、この時期恒例の自衛隊の訓練が行われています。
間もなく行われる総合火力演習、略してそうかえんはこの市の観光の大きな目玉。
一年で一番稼げる日だとタクシーの運転手は語るそうなのですが、それもそのはず昨年の総入場者は3万人を数えるとのこと!
そんなどこか浮足立つ空気の中、玉木は職場へと向かうのです。

横走中央病院。
それが玉木の職場です。
看護師の鮎澤さんに寝坊を指摘されてしまった玉木、何とかごまかすのが精いっぱい。
ですがやさしい鮎澤さんは、そんなだったら朝ごはんも食べてないわね、とお手製のお弁当を手渡してくれるのです。
鮎澤さんの弁当大好きです、そう言ってお弁当を受け取るた巻ですが、実はそのお弁当、本来玉木が娘さんのために作ったもの。
いつも娘さんがお弁当を置いて行ってしまうため、こうして玉木のもとに回ってくるというわけです。
娘さんは、揚げ物が多いから太るなどと言って持っていかないのだそうですが、まあ要するに反抗期というやつのようで。
アレを毎日食べられるなら娘さんの犯行を応援するかな、と玉木は冗談めかしえはやし立てるのでした。

風邪、食中毒、風邪。
てきぱきと患者さんを捌いていきますと、お待ちかねのご飯の時間となりました。
鮎澤さんのお弁当を開け、確かに揚げ物が多いかもしれない、でもそこがいい!と端をつけようとしたその瞬間のことです。
ゴミ捨て場でひとが死んでいる!という一報が入ったのは!!
それはごみ処理の人の早とちりでして、まだその倒れていた人物の息はありました。
手早く緊急処置室に運び、診断を始めるのですが……
呼吸状況は相当悪く、どうしてこうなるまで救急車を呼ばなかったのかと首をかしげるほどでした。
鮎澤は、その理由は「体力があるし真面目だから」と解説。
よく見てみれば、その倒れていた男性、どうやら隊員のようで。
そう考えれば、ギリギリまで我慢してもおかしくはありませんが……すでにその限界を超えてしまっていたようです。
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隊員は、口から血を吐いて倒れました。
呼吸器のセッティングを頼む玉木ですが、その背後では心電図が心停止を表す表示をしていました。
すぐに心臓マッサージを行い、そしてAEDを使っての蘇生に移行!!
隊員の体力があったことも幸いしてか、何とか蘇生には成功したのですが……
以前意識レベルは悪いまま、予断を許さない状況です。
駐屯地に身元を照会する連絡をしたいところですが、とにかく一口だけお弁当を食べたい、と言う玉木。
ですがなんと言うことでしょうか、そんな時に限ってまた急患が運ばれて来るのです!!
呼吸器をあてがわれながら搬送されるのは、66歳の男性。
その症状を見て……玉木は感じるのです。
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……似ている、と。

残念ながら、その男性はなくなられてしまいました。
インフルエンザの季節でもないのに2人も同じ症状で運ばれ、一人は死亡。
サンプルは疫学研究会に送ったのでいずれはっきりとはするでしょうが、やはり不安はぬぐいきれません。
もやもやした気持ちを抱えながら、帰路につく玉木と鮎澤。
玉木は家につくと鮎澤のお弁当をレンジで温めて食べ、そしてベッドにも入らず泥のように眠ってしまうのでした。

……次の日に病院に行くと、患者の隊員の姿がなくなっていました。
なんでも、夜遅く自衛隊がやってきて自衛隊病院に転院させると連れて行ったのだそうです。
わけがわからないままいつものように仕事をせざるを得ない玉木でしたが、鮎澤さんが体調が悪くて休んでいるという話を聞くと……どうしても引っかかってしまいます。
症状を聞こうかと電話してみても出る様子なし。
不安は抑えきれなくなり、ついに玉木は動き出しました。
昨日亡くなった男性の住まいを聞き、自衛隊病院に電話をしてあの隊員のことを尋ねる玉木。
自衛隊病院のほうは取り付く島もなく、玉木は掃除のおじさんに鮎澤の様子を見てくるようお願いしました。
掃除のおじさんはたまたま通りがかった鮎澤の娘さんに様子を見てもらうよう頼んだのですが……
ベッドの中で、鮎澤は……
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血を吐いていて……!?

玉木が知らせを受けて駆け付けたときには、すでに鮎澤は冷たくなっていました。
襲ってくるのは、なぜ仕事を放棄してでもすぐにいかなかったのかと言う後悔ばかり……
玉木は、彼女のお弁当箱をみて……涙をぬぐうのです。
ホント、最悪。
もうしないわ。
もう後悔するような選択はしない。
そう決意した玉木ですが……本当の恐怖は、これから襲ってくることをまだ……知らないのです。



というわけで、パンデミックが巻き起こる直前から物語が始まる本作。
玉木がその第一歩と言っていい症例を目撃し、一医者と言う立場から何とかその感染拡大を防ごうとするドラマが描かれていくのです。
もちろんただの医者である環ができることなどたかが知れているわけで。
その道のりはこんなんで、大事になることを恐れている上司などの障害もあって、なかなか物事はうまく進みません。
さらにそこに自衛隊などの大きな権力も絡み自体はさらに複雑なものに……!
その上過去の事件までこの件に絡み始め、不安は一層立ち込めていくのです!!

こう言った作品では多くのものが未知の病原体であったりするもの。
ですが本作は、そのタイトルからも予想がつくように、ある実在の病気が鍵になっています。
そのため更なるリアリティが加えられ、読者の背筋を凍らせる恐ろしさをもたらしているのです!
現実に起こりうる恐怖を、派手さはなくとも確実に、じわじわと描いていく本作……
これから先の展開から目が離せません!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!