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今回紹介いたしますのはこちら。

「ユキトスミ」第1巻 おにお先生 

一迅社さんのREXコミックスより刊行です。


さて、「らふすけ先輩」のおにお先生が描く、大熊西高校シリーズの一つである本作。
あちらでは美術部を舞台に、一組の男女を中心とした物語となっていましたが、本作もまた一組の男女を中心にしたお話となっています。
ではその内容はと言いますと……?



天才書道家、橘雪乃。
まだ16歳と言う若さにして、その作品とパフォーマンスは高い評価を受け、一か月にわたる海外公演を成功させた超逸材です。
その日も、朝のニュースで彼女の特集が組まれていました。
インタビューを受けている雪乃は、凛とした様子で立派なコメントを答えていました。
作品創りは自分自身との真剣勝負だと考えています。
ありのままの自分を紙の上にぶつけ形作っていく。
その姿を少しでも多くの皆さんに楽しんでいただけるよう、これからも精進していきたいと思います。
……そのニュースを見ていた、中村太郎。
彼は、同い年なのにずいぶん立派なものだ、こう言う人とは自分は一生縁がないだろう、などと考えつつ、朝ご飯を食べ、学校に行くのですが……
その縁がないと思っていた雪乃は、と言いますと。
今、中村の隣の席に座っているのです!

雪乃は、海外公演があったために1ヶ月遅れでこの学校に入学してきました。
それがたまたま中村の学校で、中村のクラスで、中村の隣の席だったというわけ。
ニュースで特集を組まれるほどの彼女ですから、学校に来るなり学校中の注目は彼女に集まりました。
整った容姿と、知的で上品な雰囲気はみるみる学校にファンを増やしていき、瞬く間に彼女は学校のマドンナとなったのでした。

勿論そのマドンナの隣の席に座っている中村に、冷たい視線を注ぐものもおります。
中村の友人である笹枝は、中村にものすごい勢いで迫っておりました。
しらばっくれんな、俺に言わなきゃいけないことがあるだろう?
そう言って、中村をにらみつける笹枝。
彼はすっかり雪乃に心酔してしまっているようで、中村が憎らしいやらうらやましいやら……
なかでも笹枝を特にいらだたせるのが、そんな雪乃の隣に座っているのにまるで無関心な中村の態度です。
なんでそんな無関心でいられるのか聞いてみれば、確かにテレビに出ていたり凄い人だけど、隣で見ていれば割と普通に見えるし、あまり持ち上げるのもどうかと思う、とまっとうな答えを返す中村。
ですがそれはそれで、無関心なふりをして雪乃をジロジロ見てんじゃねえ、といらだたせて……
中村はたまりかねて、こう口走ってしまいました。
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どうでもいいんだよ、橘雪乃のことは!!
……すぐそこに、雪乃が通りがかっていることも知らずに!!
雪乃と、目が合いました。
苦し紛れとはいえ、本人の耳には聞こえが悪いだろう言葉を言ってしまった中村、大変バツが悪く……
戸惑っているうちに、雪乃はさっとその場を去っていってしまうのでした。

違った意味で雪乃に近づきづらくなってしまった中村ですが、そんな彼が雪乃にそれほど熱を上げていないのにはある理由があるのです。
それは、クラスメイトの天野さんの存在。
剣道部の彼女は優しくかわいらしく、ちょっとしたしぐさも魅力的で、中村は彼女に思いを寄せています。
その日も彼女と雪乃関係ながら少し会話ができて、中村はほっこりするのですが……そんな中村を、雪乃はひそかに見つめていて……?

放課後になりました。
図書室で小テストに備えて勉強をしている中村。
天野さんが勉強と部活の両立に頑張っているんだから、自分もと自らを奮い立たせようとしている中村なのですが、そこに……雪乃が現れました。
そのたたずまいは……なんだか、起こっているように見えます。
やはりあの発言を聞かれていて、それで怒っているのでしょうか?
慌てて謝ろうとする中村ですが、雪乃から出てきたのは思いもよらない言葉だったのです。
一緒に、勉強しないか?ボクと。

断ることもできず、流れで一緒に勉強してほどなく、雪乃がみんなの思い描くマドンナとはなんだか違う人物であることがわかってきます。
まず……勉強がまるでダメ。
しかもうまく進まないとなるとすぐにだらけてしまい、あの凛とした普段の振る舞いは何なのかと言った感じなのです。
おまけにそんな様子を見ていると、僕に見惚れるのはわかるが、勉強はしっかり教えてくれ給えよ、などと憎たらしい発言までしてくる始末。
さらに人が通りがかると、本当は自分が教えられているにもかかわらず、まるで中村のほうを教えているかのような振る舞いをして……!?
なんだか嫌な予感がしてきた中村ですが、雪乃は勝手に話を進めてきました。
中村が自分の協力者にふさわしいかを試した。
自分は皆から完全無欠のスーパーガールだと思われているが、書道以外はちょっとだけ苦手だ。
それがばれて学園のマドンナを逃すのは嫌だろ?
そこで、ボクにそれほど幻想を抱いていない、隣の席の君しかいないと確信した!
一緒に、学園のマドンナの地位を守ろう!!
代わりに初動教えてあげるからさ!
学園のマドンナ、のはずの彼女にそう迫られ……中村は……
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逃げました。
興味ないから勘弁してくれ!!
そう言い残して……

翌日、事態は大きく変わっていました。
雪乃と顔を合わせづらいなどと考えていた中村のもとに駆け寄ってきた、天野さん。
彼女は、聞いたよ、と目を輝かせて何やら紙を持ってきていました。
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書道部に入ったんだって?
しかも厳正な審査の上で部員は中村君ひとりでしょ?
橘さんに認められたってことだよね?
……その紙には、書道部設立、部長が雪乃で、部員が中村、というようなことが書いてあって……
間違いありません、雪乃の仕業です。
彼女は圧倒的知名度を利用して校長に書道部設立を認めさせ、中村が部員である、と勝手に謳いあげて既成事実を作ってしまったというわけ!!
天野さんは、中村に今度自分にも書道教えてねとにこりと笑うのです。
その笑顔を見ては、勝手に部員にされたんだとは言いだせず……
嬉しくもめんどくさい、複雑な心境の中村。
そんな中村を見て、雪乃はにんまりと笑い……
こうして、中村の苦労の絶えない日々は始まってしまうのでした。



というわけで、天才にしてポンコツ少女・雪乃と、そんな彼女のフォローをすることになってしまった中村の日常を描いていく本作。
基本は授業中なり、お昼休み中なり、部活中なりに雪乃が巻き起こしてしまうあれこれを、中村がツッコミを入れつつフォローしていく内容になっていきます。
いきますが、その騒動を巻き起こすポンコツぶりだけではなく、その天才の片鱗もちらほら見せてくるのが雪乃の油断ならない所!
ダメさやウザったさの中にきらりと光るかっこよさ。
かわいらしさと凛々しさの同居する、雪乃のキャラクターを愛でるのが本作の最大の楽しみ方なのでしょう!!

そして、サブキャラの笹枝や天野さんにもきっちりと出番が用意されているのも見逃せない所!
天野さんはただひたすらキュートで清純派、正統派なヒロインのかわいらしさを発揮してくれますし、笹枝はとにかく雪乃に系統仕切りで暴走してくれる完全なギャグ要員に!
主役の二人だけではない様々なキャラクターの魅力が発揮される、ドタバタ日常コメディに仕上がっているのです!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!