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今回紹介いたしますのはこちら。

「ボクはイケメン」第1巻 きづきあきら先生+サトウナンキ先生 

白泉社さんのヤングアニマルコミックスより刊行です。


さて、クズやダメ人間、小悪党を生々しく描くきづき先生とサトウ先生。
現在もその得意ジャンルを活かした(?)「奈落の羊」を連載中ですが、同時にヤングアニマルのほうで本作の連載も開始。
ですが最近も「ホイップ!」をはじめとしたクズ中心ではない物語も発表されておりまして、本作はそちらの方に近い作品になっているようです!



壁ドンがどうの、強引な方がいいの、文科系のほうがいいの。
巷で聞かれる女子たちの、「好きな男性のタイプ」の話題。
それが耳に入ってくるたびに、獅子丸は不機嫌になってしまいます。
「ただしイケメンに限る」だろ!

そう言ってふてくされる彼は、背の低い太めの、目つきの悪い眼鏡と言う、イケメンと言うにははばかられる容姿をしております。
そんな言葉が思わず漏れるような、斜に構えたような性格をしている獅子丸。
ぶつくさ言いながら職場に戻ってきますと、女性社員に囲まれたさわやかイケメンが話しかけてきました。
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どうだった?とたずねて来るイケメン、犬養。
思わず舌打ちしてしまう獅子丸ですが、無視するわけにもいかず、発注ミスに関するトラブルが何とか丸く収まったことを告げます。
すると犬養、獅子丸の手を握って、ありがとう、こんなに早く解決させるなんて、獅子丸くんホントにかっこいいな、と笑うのです。
悪気なく、素直に獅子丸をほめちぎる犬養。
ですが、獅子丸からすれば余計なお世話以外の何物ではありません。
こう言うトラブルに自分が対応を任されるのは、女の部長がイケメンの犬養に厄介な仕事を回さずに自分にあてがうだけだし、女性社員の前でブサメンの自分を持ち上げても面白がるはずもない。
人の気持ちがわからないイケメンが、ちやほやされて苦労なんかしたことないんだろ!
この世はすべて「ただしイケメンに限る」だからな!
そう苛立ちながら、午後の仕事に打ち込む獅子丸。
そんな彼をさらにいらだたせるのが、熊谷という女性社員です。
おかえりなさい獅子丸さん、待ってたんですよ。
そう言いながら、実家のお土産を手渡してくる彼女。
愛想よく笑顔を振りまく美女である彼女に、獅子丸はものすごい苛立ちを感じるのです。
なんで俺にかまうんだ、バカにしやがって。
ボクみたいなブサイクにもやさしい私アピールなんだろう、コソクなんだよ!
という内心を隠し、仕事中だからもういいかな、と獅子丸は冷たくあしらうのです。

その日の終業後、獅子丸は犬養と飲みにいきました。
それは、先ほどの会話の流れで誘われてしまった、女子との飲み会には絶対に行かない、と断りを入れるために、です。
犬養は本当にいいやつのようで、トラブル解決の速さなどを考えても獅子丸はカッコいいと思うし、自分より獅子丸が好みの人だって絶対いるはずだと言います。
ですがその性格のよさだって、皆が自分を認めれくれるイケメンだからこそ培われたものだんだ、と獅子丸は苦々しい思いを抱いてしまうのです。
そうこうしているうちに、話は思わぬ方向に進んでいきました。
好きな女性について、です。
獅子丸はこういう性格ですから、今まで好きな女性なんていたことがない、と言い切ります。
キライな女はいるけど、と熊谷を思い起こす獅子丸ですが……なんと、犬養はその熊谷が好きだというのです!
告白したいという彼に……意外や意外、獅子丸はいいじゃないか、似合う似合う、と応援を始めたのでした!!
……もちろん、本当に心から応援しているはずもありません。
美男に美女、順当だし、八方美人同士お似合いだ。
そう思いながら、そしてそんな二人を呪いながら獅子丸は家に帰り、眠りにつくのでした。

ところが、なんと言うことなのでしょうか。
その犬養、呪いの念が通じたということではないでしょうが……事故にあって死んでしまったのです。
葬式の会場には、泣き暮れる女子社員たちと、涙をこぼす熊谷の姿が……
告白はできたんだろうか。
そのことが気になる獅子丸ですが、本人に聞くこともできません。
いくらイケメンでも死んだら終わりだよな。
皆に臨まれている犬養が死んで、誰にも必要とされない俺が生きてる。
理不尽だな。
何ともいえない気持ちに襲われながら、犬養は家に帰り、畳の上に大の字になるのでした。

その時のことです。
犬養が、部屋の片隅に姿を現しました。
……それは、どう見ても……亡霊か、何かのようにしか見えません。
恐怖におびえる犬養の上に、のしかかるように覆いかぶさってくる犬養の霊魂!!
そして犬養の亡霊は、獅子丸の体の中に消えていき……
気が付けば、
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獅子丸の体は犬養の魂が入り込み、獅子丸は逆に体から追い出されてしまっていたのでした!!

犬養はこのまま獅子丸の体を奪ってやろう、と言うつもりではない様子。
やり残したことがあるから体を借りる。
そう言って、獅子丸の体にはいた犬養は、どこかに向かい始めるのです。
その向かった先は……なんと、熊谷の自宅です。
そしてそこで犬養がやり残した、どうしてもやりたいことは……告白、だというのです!!
どれだけ静止の言葉をかけても、犬養は止まりません。
呼び鈴を押し、顔をのぞかせた熊谷に迫り、犬養は、獅子丸の体で……!!
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というわけで、獅子丸と犬養の奇妙な関係が幕を開ける本作。
この後、獅子丸の体の主導権が行ったり来たりすることになるわけなのですが、犬養がその体の主導権を持っている時にいろいろと大変なことをしてしまうわけです!
身も心もイケメンの犬養ならではの独特の距離感と言いますか、そんな女子たちとの誓い距離感を、獅子丸の体のままで発揮してしまう犬養。
ブサメンのorがそんなことをしても気味悪がられるだけだと獅子丸は拒絶するのですが、その予想通りの出来事も怒るものの、獅子丸の予想とは少しばかり違う反応も返ってきたり?
会社の女子の意外な一面や、熊谷の思わぬ素顔、犬養の心残り。
そんなもろもろの事情を、獅子丸は当初いやいやながら傍観していたのですが……だんだんと事情が変わってきて……?

「ただしイケメンに限る」は真実なのか?
帯にも書いてある通り、それが一つのテーマともなっている本作。
中味だけイケメンになった犬養In獅子丸は、そして振り回されるうちに変わり始めていく獅子丸本人は?
さらに今巻のラストでは、暗雲が立ち込める出来事が巻き起こり!?
気になって仕方のない本作、これから先も目が離せませんよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!