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今回紹介いたしますのはこちら。

「少女ファイト」第14巻 日本橋ヨヲコ先生 

講談社さんのイブニングKCより刊行です。


さて、いよいよ幕を開けた春高バレー。
練たち黒曜谷は、二回戦でまるで自分たちを鏡に映したような個性の持ち主である墨日野と激突!
ですが墨日野は黒曜谷と一つ大きな違う点がありまして。
チームワークが最悪と言うその違いをついて、黒曜谷が優位に進めるものの、墨日野のキーマンである素がチームワークの重要さに気が付いて……?



第1セットを取った黒曜谷ですが、そのまま勢いに乗って……と言うわけにはいきませんでした。
墨日野の素が守備にも意識を裂き始め、黒曜谷の攻めをしのぎだすのです。
素は、この戦いの間にもどんどんと成長を遂げていきます。
練の鋭いスパイクを拾うことこそできていないものの、確実に反応をし始め。
点を奪われてもへこたれず、どんどんとその動きを良くしていく……
そんな素の姿を見て、練の脳裏には真理の言葉がよぎります。
本当の強さって、体形や能力ではなく、変化して行けることだと思います。
今まさに素が見せているものが……その、本当の強さなのか?
練はそれに気が付き、ハッとするのですが……

遂に練の球が拾われ、墨日野が点を取り返します。
その逆転のアタックを決めたのは墨日野のキャプテンだったのですが、素は自分が決めるのよりもうれしい鎌しれない、と初めての感覚に喜びを覚えていました。
その得点を機に、黒曜谷は練をいったんベンチへ。
練が頑張れば頑張るほど、素の調子が上がることに気が付いた監督の采配でしょう。
呼吸を変える意味でも、この交代はクレバーなものと言えます。
滋は下がってきた練に、墨日野の印象を尋ねてみました。
練は、みんな自分に素直だ、と評します。
お互いがお互いに言いたいことを言う。
それは時として険悪なムードを生むきっかけにもなってしまいますが、いいところもあります。
例えば黒曜谷は良くも悪くも相手の気持ちを先読みして遠慮している部分があるため、先日サラが熱があるときにも自分から言ってくれず、気付くのが遅れてしまったと言うこともありました。
もう少し、距離を縮めたい。
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やっぱり言葉にしないと伝わらないもんね。
そう言って……滋を見つめる練。
滋は、そんな練の瞳を見ることができずに……そうだな、と頷くのです。

真理はそのあたり、空気を読めないふりをしてうまくやっていた……などと話しているうちに、ゲームが動いていました。
いつの間にか得点は17-17。
追いつかれてしまい、墨日野は俄然盛り上がっています。
チームワークって最高!と大はしゃぎする素。
滋や練は、それを第1セットの時に気付かれなくてよかった、と妙な安堵感を覚えるのです。
と、そこで再び練の出番が回ってきます。
じゃあ、鏡と戦ってくる!
そうにこやかにコートに向かう練を、滋は寂しげなほほえみ9で見送るのです。

練がコートに戻り、早速点を取り返す黒曜谷。
学のミスにもしっかりとしたフォローの声をかける練のおかげで、また黒曜谷は勢いを取り戻していきます。
抜群のコントロール精度を持つ練のサーブは、確実に墨日野の穴をついていき……
気が付けば同点にまで迫っていた点差は、22-17と5点差にまで広がっていました。
天才。
自分もそうだと思っていた素でしたが、こうして「本物」を目にすると……
素は力の差を見せつけられ、へたり込んでしまいました。
まったく勝てる気がしない。
こんな気持ちになるんだったら、キャプテンの言う通りもっと練習すればよかった。
そんな自分だったら、負けても悔いはなかったのに……
絶望する素に、キャプテンは……怒鳴りつけます!
あきらめんな!
私はお前にバレーをやめさせたくない、気の強い思えがそこだけは何で親の言いなりになるんだ!
……この試合で負ければ、バレーをやめる。
そんな話になっていた素でしたが、素は今までの経験の中でどこか、バレーをやめる理由を探していたようなところがありました。
ですが、今日の試合で初めて素は、心の底からバレーが楽しいと思えて……バレーをやめたくない、と強く思ったのです。
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一人で生きたくないよお。
そう言って泣きだす素。
キャプテンはそんな彼女の手を取って、それに気が付いてくれたのならやり直せる、と心強い声をかけてくれて……
その美しい姿を見て……練は、強いショックを受けていました。
彼女は、真理が生きていた場合の、もう一人の自分の姿かもしれない。
真理が死んだことが最大の不幸だと思ってたけど、生きてたら私はここに居なかったんじゃないか?
学とも、皆とも会えず、ずっと孤独なまま……
そんな思いがよぎると、練にはこんな感情がわいてしまうのです。
彼女からバレーを奪いたくない。
練はサーブを打つことができず……
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そのまま、放り上げたボールをコートに落としてしまうのでした……



と言うわけで、墨日野戦がクライマックスを迎える今巻。
最後の詰めと言うところで、あまりにも感情を移入しすぎてしまった練が戦意を失ってしまいます。
負けたらバレーをやめることになっている素ですが、負けたらすべてが終わってしまうのはこの場にいるどの学校も同じこと。
練を支える仲間たちは、彼女を描いたまま戦わなければいけないのでしょうか?
それとも……

そしてそんな真っ向勝負の戦いが繰り広げられているはずの春高バレーの中で、怪しげな動きをする人物が。
青磁高校の雨宮です。
勝つためには手段を得た芭ない彼女は、ダーティ極まりない手段を次々と講じていきます。
さらにその魔手は、時代をはるかにさかのぼったとんでもないところまでさかのぼっていき……!!
本作の全てを作ったかもしれない、巨大な存在となっていく雨宮。
このまま彼女の陰謀は結実してしまうのでしょうか。
その野望をくじくカギを握るのは……あの人物です。
バレーの白熱する攻防はもちろんの事、人間の心の動きも見逃せない本作。
その両方の物語が、クライマックスに向かっていくようです!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!