fm0

今回紹介いたしますのはこちら。

「ふたりモノローグ」第1巻 ツナミノユウ先生 

Cygamesさんのサイコミックスより刊行です。


さて、ツナミノ先生の最新作は、もはやおなじみとなった登場人物の空回りを楽しむタイプの作品です!
今回の作品は今までの津波の先生作品とは違いまして、主要登場人物がみんな同年代の女子!
とはいってもやっていることはいつもとそれほど変わりのない、他愛のないやり取りに秘められた裏側を赤裸々に描いていくアレ。
その内容はと言いますと……?


麻績村ひなた、16歳。
彼女は高校2年生の五月、授業中にあることに気が付き、はっとしました。
となりに座っているクラスメイトのギャルが、「みかげちゃん」であることに!

それは、小学校1年生の時にさかのぼります。
入学したばかりで早く友達を作らなければ、と焦っていたひなたは、隣の席に座っていた女の子にいきなりこんなことを口走ってしまいました。
私たち、一生親友でいようね!!
……その隣の席の子が、みかげちゃんでした。
改めて考えなくても、軽率な一言であるそのことば。
しばらくして日向は気の合う別の子とつるむようになってしまい、逆にいざ付き合ってみると少し気難しかったみかげちゃんとは少しずつ距離が離れてしまっていき……
仲直りできないまま、みかげちゃんは転校してしまったのです。
10年後の今、そのことに気が付いたひなた。
しっかりと見れば、まぎれもなく彼女はあのみかげちゃんです。
ですがその見た目は完全にギャル。
何があったの?めっちゃギャルじゃん、不良じゃん!
そう心の中でうろたえるひなた、ふと彼女が自分のことを覚えているのかが気になってきてしまいました。
あの時はゴメンと謝りたいし、この10年間に何があったのかを聞きたい……
そうやって、みかげのことをちらちら見ながらもじもじするひなた……

そんなひなたの異変を、みかげは感じ取っていました。
御厨みかげ、16歳。
彼女は、さきほどひなたから漏れてきた「あっ」という小さな、何かに気が付いたかのような声にも気が付いていまして……こんなことを考えていたのです。
もしかして、思いだしてくれたのかな、私のこと。
ま、まあね、忘れるのも無理ないよ!
私変わったし、結構ほら……ギャルだし?とろかった昔と違って!
気が付かないのも無理ないよ!!
こっちは入学した時からひなたに気付いてたよ。
昔と違ってちょっと元気がなくて、弱ったひなたちゃんもかわいいなって。
変な意味じゃなくて!今度は私が守ってあげたいから!!
だって私たち、一生の親友だって約束した特別なんだから!!
……みかげは、ひなたがいまだに負い目を持っている例の事件も少し違う形で受け取っていました。
ひなたが例の気の合う子と遊んでいたとき、その子がいるならもう帰る!と帰ってしまったみかげ。
彼女の心の中にはこんな気持ちが滾っていました。
自分がひなたの一番になりたい、もっとおしゃれでカッコいい女子にならなきゃ!!
そんな決意をしていたにもかかわらず、親の都合でそのまま転校してしまったのです。
それでも、ひなたのための自分磨きは続けていたのでしょう。
おしゃれでカッコいいという方向に進み続け、みかげはクールなギャル、というキャラにたどり着いていました。
やっと気が付いてもらえたみたいだし、授業が終わったら声をかけてみようか。
だってせっかくこんな、運命のいたずらにであったわけだし。
そんなことを考えながらも、ひなたを見てはかわいいなと邪念を過らすみかげ。
そしてほどなく、待望の授業の終了と放課後の到来を示すチャイムが鳴り響きました。
よし、行くぞ!!
そう気合を入れて話しかけようとしたところ、
fm1

ひなたはもうそそくさと教室を出ていってしまっていました。
あまりの衝撃にショックを受けたみかげ。
そうか、そうなんだ。
……じゃ、また明日ね、ひなたちゃん。
明日からもまた、いつも通り……そ知らぬふりしてずっと、これから先、ずっと……
みかげはそう考え、うなだれてしまうのです……

ひなたはひなたで、いろいろ考えた末の行動でした。
逃げてしまった、だって今はほら、不良なわけだし、もし、もしだけどあの時のことまだ怒ってて、それで絡まれたりしたら……!!
怯えからくる震えを抑えながら下駄箱にやってくると、そこには……みかげがいました!!
fm2

気付いたんでしょ、私のこと。
そんなみかげの言葉にピギャア!と謎の悲鳴を上げてしまったひなたは、愛想笑いをしながら恐る恐るみかげの顔色をうかがいます。
みかげは、ついにこの時が来た、クールなギャルとしてふるまわなくちゃがっかりされちゃう!と自分に言い聞かせ
fm3

これからイロイロよろしくね、トモダチでしょ、ウチら、と、ひきつった笑顔でそう囁くのでした!!
じゃ、明日。
そう言って肩を叩いて立ち去っていくみかげ。
自分ではキャラを壊さず上手くアプローチできた、とガッツポーズをする彼女でしたが……ひなたは、カツアゲされる、と膝から崩れ落ちるのでした……



というわけで、再会した幼馴染と再び距離を縮めていく本作。
今回もツナミノ先生らしい、各キャラクターの内面のと外面のギャップを楽しむ作品となっております!!
ひなたラブが止まらないみかげのひなたのためのキャラクターづくりはいろいろと大変なようで、彼女の溢れだすラブが更なる誤解を生んでいく展開はもはやツナミノ先生のお家芸!!
ひなたのほうも、みかげに対する恐怖心を徐々に解消していきつつも、その時折見せるみかげの野獣のような一面に怯んでみたり、やっぱり自分じゃ釣り合わないんだと自己嫌悪的な感情を抱いてみたり……
簡単に仲良しにはなれない、それでも仲良しなお友達関係を築いていくわけです!!

そしてこの後、今のみかげのお友達である洸や、今のひなたの友達である由依が登場。
洸は誰にも分け隔てなく接するタイプのキャラでして、いろいろな方面でみかげの感情をかき乱してくれつつ、個性的なキャラの多い本作でのバランサーとして働いてくれますし、由依のほうはあることに対してみかげのような偏執的ともいえるラブを持っているタイプで、こちらも物語をひっかきまわしてくれます!!

友情と愛情が暴走するツナミノ先生節がさえわたる本作、おまけ要素もたっぷりで今回もお腹いっぱい楽しめます!!
ひなたとみかげ、ふたりの関係が一層深まっていくさま、そしてその道中で起きる様々な滑稽な様をこれからも見守っていきましょう!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!