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今回紹介いたしますのはこちら。

「奈落の羊」第5巻 きづきあきら先生+サトウナンキ先生 

双葉社さんのアクションコミックスより刊行です。


さて、ギバの呪縛から逃れようと脱走を試みたしゅーじとメイ。
ですが相手は「本物」であるギバ、そう簡単に逃れられるはずもなく。
しゅーじの家族はギバによってズタズタにされそしてしゅーじ地震たちも失踪してしまうという最悪の結果になってしまったのでした……



小学生女子の、ゲーム実況配信。
それを見て、ある学校の教師たちは首をかしげていました。
マスクで顔を隠してはいますが、これは間違いなくこの学校の生徒、相楽真凛。
真凛のクラスの担任である三園先生は、貝原先生と言う男性教師に子の配信をやめさせるように迫られてしました。
三園からすれば、ゲームの配信くらいいいじゃないか、めんどくさいなと言うのが本音。
その夜ネットでその件に対してぼやいていますと、仲良しのモリエと言う女性から同情の言葉が寄せられまして、それを励みに頑張ろうと決意するのでした。

翌朝。
件の真凛と出会い、あのことに関して聞いてみないとなどと考えていますと……クラスメイト達との会話の流れで、自然とそのことに関して聞くことができました。
下手だから教えてもらうために始めたら、みんなやさしくて。
パパもママも仕事遅いけど、一人で寂しい時とかも皆いてくれて楽しいんだ。
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……ほほを染めてそう言われてしまえば、流石にやめろとは言いづらいもの。
クラスのみんなは割と真凛が配信していることを知っているようですし、それどころか学校では配信しているものも珍しくないとのことで。
それを聞いて三園は、普段はいい子だし、注意するより応援してあげたほうがいいんじゃないか、と考えてしまうのです。

そんな三園の頭を目下悩ませているのは、クラスの暴れん坊男子のグループ。
彼らはクラスメイトに標的を見つけては、あれやこれやと文句をつけていじめを行っています。
三園も注意はするのですが、全く聞く耳を持たない彼等に、ほとほと困り果てていたのです。
そんな暴れん坊グループは、決まって昔からこの地域に住んでいる家の子供たち。
そして標的になるのは、大体新しくできたタワーマンションの子供たち。
土地のつながりが強いため、問題児の家同士がかばい合うという状況も問題で、三園は不謹慎にも、育ちに問題が……とまで考えてしまうのです。
すぐに頭を振り、人は平等、生徒はみんな可愛い、旧住人と新住人で別けるなんて偏見は絶対ダメ!と自分に言い聞かせるのでした。

ですがその夜、モリエからこんな話を聞かされます。
ジェントリフィケーションと呼ばれるその問題は最近多い異様だが、三園の住んでいるあたりに昔からよくない噂がある。
団地に女の子を売る部屋がある、とか。
流石に都市伝説だろうと、冷や汗を流しながらも苦笑する三園。
ですがモリエは、証拠と思しき動画まで見せてくるではありませんか!
団地の一室と思しき部屋を遠くから盗撮したと思われるその動画、明らかにその現場が抑えられているのがわかる動画だったのですがそんなことよりも三園が驚いたのが……
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動画に映っている男性があの男性教諭、貝原であること!!
流石の三園もこれは見逃すことはできません。
本来なら警察に突き出すべきだったのでしょうが……三園は、貝原に自主退職を迫ることにしたのでした。

よく頑張りましたね、えらい!
モリエはそう三園に声をかけてくれました。
ですが本来は警察に言うべきところを、いろいろな不安や恐怖から自主退職を促すことができなかったため、すっきりはしません。
気落ちを隠せない三園ですが、そんな三園に声をかけてくるものがいました。
元気出して、先生。
そう語りかけてきたのは……真凛でした。
三園のことを心配して声をかけてくれたのでしょうか。
ごめん大丈夫、ちょっと考え事。
そう言って、彼女に心配をかけさせまいとする三園だったのですが、真凛はそんなことにかまわず、こんな言葉を続けてきたのです。
知ってる?先生。
海(マリン)ってね、ロシア語で「モリエ」っていうの。
ホントに気が付かなかったの?
モリエの中身が子供だってこと。
……目の前で、よりにもよって本人から明かされた衝撃の事実。
自分が「悩みを聞いてくれるお姉さん」とまで思っていた人物の正体が……あの優等生でさみしがりやの、真凛だった。
それを知って、三園はうろたえざるを得ませんでした。
なんで、と絞り出すように問いかける三園に、真凛は答えます。
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配信を邪魔しようとした貝原先生を消すの、手伝ってくれてありがとう。
先生、手伝ってほしいこと、いっぱいあるんです。
そう言って真凛は、携帯を差し出しました。
その画像には、一人の女性がうつっていました。
三園の知らないその女性は……ユウキ、と呼ばれている人物で……!?




というわけで、時と場所を変えて仕切り直しとなった本作。
こちらでも主役となるのは、闇を抱えた配信者と、その配信者に見初められて協力者にされてしまう人物です。
ですが今までと大きく違うのは、その配信者の目的が生活や有名になるためと言うものではないこと。
ユウキの画像を差し出したことからもわかるように、彼女の目的はユウキと、ある人物に関しての問題をできうる限り穏便に解決するため。
ですが穏便といっても、前述のとおり大人をだましてもなんとも思わない真凛のすること。
彼女は様々な知識を駆使し、ユウキと、この学区内に蔓延る悪習を、ダーティな手段もいとわず解決しようとするのですが……
やはりそこは本作、ただで物事が済むはずがありません。
ユウキがいると言うことはギバも絡んでいると言う事。
しゅーじを容赦なく陥れたあの二人に、子供の知恵と、頼りなさしか感じない女性教師の二人で太刀打ちできるとはおもえません。
登場人物の誰にも容赦ない魔の手が襲い掛かる本作ですから、当然この二人にも……!!
今までの本作でも十分とんでもない、取り返しのつかない所業が行われてきたわけですが、今巻の二人には、それを上回る本当にとんでもない出来事が起こってしまうのです!!

そして仕切り直しとなった今巻ですが、完全に仕切り直して新しい話が始まったわけではありません。
ユウキの存在もそうですが、徐々に第4巻までのしゅーじたちの話とリンクしていき……そして今巻のクライマックスで交わることに……!!
しゅーじや今巻の真凛と言った、配信者側が一方的に利用されていく物語と言えた本作ですが、今巻でもその蹂躙具合はかわりません。
ですが、今巻でいよいよその一方的な力関係にも変化の兆しが……!?
どす黒い欲望の渦巻く本作、クライマックスは近そうです!!




今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!