hn0
今回紹介いたしますのはこちら。

「外れたみんなの頭のネジ」第3巻 洋介犬先生 

泰文堂さんのアース・スターコミックスより刊行です。


さて、「613」以来狂ってしまった日常を、元の日常に戻そうとしているミサキ。
何か大事なことを忘れてしまっていることに気がついたミサキは、突如現れた悪魔を自称する存在、べへりんの「記憶を取り戻す」能力を使うためのパワーを溜める手伝いをし始めます。
その手伝いとは、べへりんに自分ではなく、周りのほうがおかしいと言うことを証明する話をして、信じさせる、と言うもの。
その話を収集していく中で、ミサキは徐々にその613の謎に近づいていくのですが……



ある夜のこと。
ミサキは服にコーヒーをこぼしてしまい、深夜にコインランドリーに行く羽目になってしまいました。
そそくさと洗濯物を洗濯機にねじ込んでスイッチを入れるミサキ。
洗濯が終わるまでの時間は、50分と表示されました。
50分。
何かをしていれば短い時間ですが、何もしていなければ結構な時間です。
ゲーム機でも持ってくればよかった、と舌打ちする岬ですが、何となく視線を巡らせると……片隅に、文庫本が置いてあることに気がつきました。
店備え付けのヤツかな、と手に取って開いてみますと、どうやら恋愛小説の様子。
ものすごく読み込まれたようなくたびれ方をしているその本、開き癖がついているページの文章を読んでみると、こんな内容がかかれていました。
「その少女の体が光をくりぬいて描く輪郭はまるで、『柔』と言う言葉を表現するために神が想像したかのようで」……
と、そこまで読んだところで、突然男が現れて絶叫したではありませんか!!
それ、ボクの本!!
大慌てで謝罪しながら本を返すミサキ。
するとその男は落ち着いたようですが……落ち着いてみれば、予想だにしなかったことを言いだすではないですか。
あれ、キミ、ミサキちゃん?
ボク、モシゲだよ!
久しぶり、元気になったんだね?
……親しげにそう語りかけてくるその男、モシゲ。
自分をミサキだと知っていて、元気になったんだ、と過去信仰があったことをほのめかす言葉を言う。
と言うことは、ミサキの失われた空白期間を知っている……!?
あからさまにヤバそうな空気を見に纏うモシゲですが、チャンスなのは間違いありません。
刺激しないよう上手く探りながら、会話を続けることにしたのです。
本、お好きでしたっけ?
そうあたりさわりのない質問をしますと、モシゲは楽しげに答えてくれました。
今は本に夢中だね。
僕はね、現実の恋愛の限界に絶望しちゃったんだ。
僕は現実より本を、そこに記された麗しい物語と恋をすることにしたんだ。
人と本って、ちゃんと愛し合える方法があるんだよ!
恋したページの狭間と僕が愛し合うんだ、僕は現実を越えて、それ以上の愛を手に入れたよ!
hn1
そう言って、モシゲはあの開き癖の突いたページを境にした筒状にした……その筒を握ったり緩めたりするジェスチャーをするのでした。
それが意味することはつまり……!!
その本に触ってしまったことに戦慄するミサキ。
ですが、すぐに別の理由で戦慄することとなります。
でも、ミサキちゃんも立ち直れてよかった。
ホラ、会うのは僕が最後に愛した現実の女性……
hn2
七尾ミナト、キミのお姉さんが死んで以来だもんね。

それ以来、ミサキは「姉」と言う言葉を聞くたびに奇妙な……姉と呼ばれたものが、巨大な顔と長く伸びた首をした異形の姿になっている光景を見ることとなります。
見直すとすぐに元の姿に見えるようにはなるのですが、それはさながら、姉の存在がこの歪に変化した世界の鍵であるかのようで……
そこでミサキは、父親に電話をかけて尋ねることにしました。
姉の話題が出ると、父はモシゲはうそつきだから何一つ信用するな、お前にオネエちゃんなんていない、と言い切るばかり。
そう言われれば言われるほど、ミサキには強い思いが募ってきて……
hn3
やっぱり姉は、いたんじゃないのか?
空白期間以降に起きた様々な事件も、姉の存在を示唆しているかのように感じられて仕方のないミサキは、とうとうべへりんに縋りつくのです。
今たまっている魔力を使って教えて、「姉がいたのかどうか」を。
それを聞くと言うことは、ミサキの最終目標である613について聞くためのたまりつつあった魔力がまたゼロになってしまうと言う事。
しかも姉のことについて聞くにしても、今の分の魔力では断片的にしか見れません。
それでも、ミサキは見ずにはいられないのです。
こんないつ死ぬかわからない世界で、自分の家族のことすら忘れたまま、死にたくない。
ミサキの心からの願いを聞き、べへりんは……!!



というわけで、613の謎に迫る前に、どうしても解かなければならない疑問を解消することにしたミサキ。
ミサキに姉がいた、と言うのはおそらく間違いないでしょう。
ですが、今彼女はいないばかりか、その存在まで否定されている状態になっています。
一体なぜ彼女の姉、ミナトはいなくなってしまったのでしょうか?
その謎が明かされ……ミサキは、また改めて613への想いを強めることになるのです。

本作はその613と港の謎に迫る本筋の他の要素も見逃せません。
この作品の恐怖は、とにかくイカレた人間の気味の悪さ、恐ろしさ、不快感。
今巻もまたどこをとってもそれがあふれ出ている、洋介犬先生らしさが満ち満ちた一冊になっております。
オカルト要素の薄い、生理的嫌悪感の強い恐怖が好物の方は、間違いなく楽しめることでしょう!!
ちなみにその本筋のほうも、今巻のラストで大きな動きを見せますのでご安心を!
狂気に満ちた本作がどのように畳まれていくのか。
そちらも楽しみにしていきたいところですね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!