今回紹介いたしますのはこちら。
「ファイアパンチ」第6巻 藤本タツキ先生
集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。
さて、氷の魔女を自称するスーリャによって、巨木に変えられてしまったユダ。
そのユダを核として世界中の命を吸い尽くし、その引き換えに世界を温めて作り直すというスーリャですが、そこで死にゆくトガタに「生きて」と言う言葉を託されたアグニがやってきて……
スーリャは、巨木を奴って枝を伸ばし、アグニの体を串刺しにしました。
もはや最後の生きる糧と言ってもよかったトガタを失い、もはやアグニには生き続ける理由などないはず。
だというのに……アグニの体はその再生をやめず、燃え続けるのです。
何故死なないのか、何故燃え続けるのか。
スーリャはもちろんのこと、アグニもそのことを不思議に思っていた、その時のことです。
アグニ。
そう呼びかける、ルナの……ユダの声が聞こえたのは。
幻聴か、本当に聞こえたのかはわかりません。
ですがアグニの耳には、確かに聞こえたのです。
私を殺して。
もう死にたいの。
でも自分では死ねない。
私は木の上にいる。
ベヘムドルグを作ったのは私、ドマを作ったのは私、貴方の妹を殺したのは私。
だから私を殺して。
ユダのその声を聞きながら、アグニは自らの体に突き刺さった枝をへし折っていきます。
スーリャは、ユダにアグニを殺すようお願いを装った命令をします。
アグニはと言うと……そっかそっか、と頷きながら、立ち上がるのです。
そして立ち上がり、歩きだし……
ぶっ殺してやる。
じゃあ、ぶっ殺してやるよ!
そう言って、巨木に向かって向かって無造作に歩き始めたのでした!!
巨木からは次々と枝が伸び、アグニを貫いていきます。
そしてその枝を食いこませてアグニの体を捕えると、今度は勢いよく引き戻して巨木の固い樹皮へと叩きつけたのでした!!
その衝撃はすさまじく、アグニの体は潰れ、全身から血を噴きだします。
ですが、ぶっ殺してやる、と言う声とともにすぐに意識を取り戻し、巨木に拳を叩きつけるアグニ。
殺す、殺してやる、ぶっ殺してやる。
物騒な言葉とともに、巨木に突きたてた拳をくさびにして巨木を登っていきます。
いくら突き刺しても、巨木は燃える様子がありません。
今まで、ありとあらゆるものを燃やし、命を奪ってきたその炎。
ルナも、ベヘムドルグの民も、ドマも、トガタも、その命が尽きるまで燃やし続けた炎が、その巨木には燃え移らないのです。
アグニはひたすら、拳を突き刺して巨木を登っていきます。
ぶち殺してやる、と巨木を登るアグニ。
殺して、と願い続けるユダの声。
そして、ユダにアグニを殺せと命じ続けるスーリャ……
ですが、アグニが殺すと口に出し続けるのは、怒れる自分を演じているからにすぎません。
奇跡が起きて、皆蘇るかもしれない。
炎に覆われた俺が生きているんだから、俺の存在が奇跡なんだから。
でも、今やっとこのバカな頭で理解し始めた。
奇跡なんてものはない。
俺が炎に覆われても生きているのは、
俺の頭がおかしくなったからだ。
いつしかアグニは、巨木の頂上にまでたどり着いていました。
そしてそこには、巨木のうろにはまり込むようにしてたたずむユダの姿があったのです。
ユダは何かを訴えかけるような眼で、アグニを見つめ……そして、目を閉じました。
殺してやるよ、とつぶやいていたアグニでしたが、そんなユダの顔を見て……思わずこう尋ねてしまいました。
本当にルナじゃないんだな?本当に……
ユダは、答えました。
そう、本当にルナじゃない。
そう言って目を閉じるユダは、どうしても在りし日のルナの姿とダブって見えて……
嘘なんじゃないか?
嘘ついてんだろ、俺に。
俺に嘘を……
ユダはそんなアグニに、本当、と答え……アグニの目を見つめてきました。
私はルナじゃ
……その言葉が言い終えるのを待たずして、アグニの拳がユダの顔面を殴りつけました。
奇跡よ。
奇跡よ起これ。
ユダが死ぬと、その体はルナの体になるんだ。
ルナは元気に起き上がって俺に話しかける。
「兄さん助けてくれてありがとう、やっとルナに戻れたよ。」
「今まで体を祝福で乗っ取られていたの、本当にありがとう。」
そしてルナは俺にわらいかける。
そうなってくれたら、俺は一生燃え続けてもいい。
だから奇跡よ起これ。
奇跡よ起これ、奇跡よ起これ、奇跡よ起これ。
アグニの悲痛なまでの心の叫びと、ユダの顔面を殴る音。
ただそれだけがあたりに響き渡り……そして……!!
と言うわけで、衝撃の展開が連続する本作にまたまた襲い掛かってくる衝撃。
木となったユダを、自らがないと言い切った軌跡を求めて殴り続けるアグニ。
この悲しい攻撃は、やがてあるものをきっかけにして終わりを告げることとなります。
人類を滅ぼし、世界に温かさを取り戻さんとするスーリャでしたが、その目論見の行く末はどうなってしまうのか?
ユダはその望み通り死ぬことができるのか?
ユダの木によって死んでしまった者たちは?
そして、アグニは……!?
アグニがドマの炎に燃やされ、復讐を誓ったのが第一章。
その復讐を遂げ、トガタとともに神を演じた第二章。
そして今巻でその第二章が幕を下ろすこととなります。
物語はそれでも続いていきます。
果たして新たな章はどのような物語になるのでしょうか。
今まで予想を裏切り続けてきた本作ですが、その新たな舞台でもやはり予想を覆す展開が待っています。
これから物語は一体どうなっていくのか。
最終章となりそうな新章も、必見です!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
「ファイアパンチ」第6巻 藤本タツキ先生
集英社さんのジャンプコミックスより刊行です。
さて、氷の魔女を自称するスーリャによって、巨木に変えられてしまったユダ。
そのユダを核として世界中の命を吸い尽くし、その引き換えに世界を温めて作り直すというスーリャですが、そこで死にゆくトガタに「生きて」と言う言葉を託されたアグニがやってきて……
スーリャは、巨木を奴って枝を伸ばし、アグニの体を串刺しにしました。
もはや最後の生きる糧と言ってもよかったトガタを失い、もはやアグニには生き続ける理由などないはず。
だというのに……アグニの体はその再生をやめず、燃え続けるのです。
何故死なないのか、何故燃え続けるのか。
スーリャはもちろんのこと、アグニもそのことを不思議に思っていた、その時のことです。
アグニ。
そう呼びかける、ルナの……ユダの声が聞こえたのは。
幻聴か、本当に聞こえたのかはわかりません。
ですがアグニの耳には、確かに聞こえたのです。
私を殺して。
もう死にたいの。
でも自分では死ねない。
私は木の上にいる。
ベヘムドルグを作ったのは私、ドマを作ったのは私、貴方の妹を殺したのは私。
だから私を殺して。
ユダのその声を聞きながら、アグニは自らの体に突き刺さった枝をへし折っていきます。
スーリャは、ユダにアグニを殺すようお願いを装った命令をします。
アグニはと言うと……そっかそっか、と頷きながら、立ち上がるのです。
そして立ち上がり、歩きだし……
ぶっ殺してやる。
じゃあ、ぶっ殺してやるよ!
そう言って、巨木に向かって向かって無造作に歩き始めたのでした!!
巨木からは次々と枝が伸び、アグニを貫いていきます。
そしてその枝を食いこませてアグニの体を捕えると、今度は勢いよく引き戻して巨木の固い樹皮へと叩きつけたのでした!!
その衝撃はすさまじく、アグニの体は潰れ、全身から血を噴きだします。
ですが、ぶっ殺してやる、と言う声とともにすぐに意識を取り戻し、巨木に拳を叩きつけるアグニ。
殺す、殺してやる、ぶっ殺してやる。
物騒な言葉とともに、巨木に突きたてた拳をくさびにして巨木を登っていきます。
いくら突き刺しても、巨木は燃える様子がありません。
今まで、ありとあらゆるものを燃やし、命を奪ってきたその炎。
ルナも、ベヘムドルグの民も、ドマも、トガタも、その命が尽きるまで燃やし続けた炎が、その巨木には燃え移らないのです。
アグニはひたすら、拳を突き刺して巨木を登っていきます。
ぶち殺してやる、と巨木を登るアグニ。
殺して、と願い続けるユダの声。
そして、ユダにアグニを殺せと命じ続けるスーリャ……
ですが、アグニが殺すと口に出し続けるのは、怒れる自分を演じているからにすぎません。
奇跡が起きて、皆蘇るかもしれない。
炎に覆われた俺が生きているんだから、俺の存在が奇跡なんだから。
でも、今やっとこのバカな頭で理解し始めた。
奇跡なんてものはない。
俺が炎に覆われても生きているのは、
俺の頭がおかしくなったからだ。
いつしかアグニは、巨木の頂上にまでたどり着いていました。
そしてそこには、巨木のうろにはまり込むようにしてたたずむユダの姿があったのです。
ユダは何かを訴えかけるような眼で、アグニを見つめ……そして、目を閉じました。
殺してやるよ、とつぶやいていたアグニでしたが、そんなユダの顔を見て……思わずこう尋ねてしまいました。
本当にルナじゃないんだな?本当に……
ユダは、答えました。
そう、本当にルナじゃない。
そう言って目を閉じるユダは、どうしても在りし日のルナの姿とダブって見えて……
嘘なんじゃないか?
嘘ついてんだろ、俺に。
俺に嘘を……
ユダはそんなアグニに、本当、と答え……アグニの目を見つめてきました。
私はルナじゃ
……その言葉が言い終えるのを待たずして、アグニの拳がユダの顔面を殴りつけました。
奇跡よ。
奇跡よ起これ。
ユダが死ぬと、その体はルナの体になるんだ。
ルナは元気に起き上がって俺に話しかける。
「兄さん助けてくれてありがとう、やっとルナに戻れたよ。」
「今まで体を祝福で乗っ取られていたの、本当にありがとう。」
そしてルナは俺にわらいかける。
そうなってくれたら、俺は一生燃え続けてもいい。
だから奇跡よ起これ。
奇跡よ起これ、奇跡よ起これ、奇跡よ起これ。
アグニの悲痛なまでの心の叫びと、ユダの顔面を殴る音。
ただそれだけがあたりに響き渡り……そして……!!
と言うわけで、衝撃の展開が連続する本作にまたまた襲い掛かってくる衝撃。
木となったユダを、自らがないと言い切った軌跡を求めて殴り続けるアグニ。
この悲しい攻撃は、やがてあるものをきっかけにして終わりを告げることとなります。
人類を滅ぼし、世界に温かさを取り戻さんとするスーリャでしたが、その目論見の行く末はどうなってしまうのか?
ユダはその望み通り死ぬことができるのか?
ユダの木によって死んでしまった者たちは?
そして、アグニは……!?
アグニがドマの炎に燃やされ、復讐を誓ったのが第一章。
その復讐を遂げ、トガタとともに神を演じた第二章。
そして今巻でその第二章が幕を下ろすこととなります。
物語はそれでも続いていきます。
果たして新たな章はどのような物語になるのでしょうか。
今まで予想を裏切り続けてきた本作ですが、その新たな舞台でもやはり予想を覆す展開が待っています。
これから物語は一体どうなっていくのか。
最終章となりそうな新章も、必見です!!
今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!
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