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今回紹介いたしますのはこちら。

「衛府の七忍」第4巻 山口貴由先生 

秋田書店さんのチャンピオンREDコミックスより刊行です。


さて、悪逆なる徳川家に強い恨みを持って命を散らし、怨身忍者と化していく者達の物語を描いていく本作。
前巻ではカクゴと波裸羅の出会いの物語と、新たな鬼と化すであろう二人の男、幻之介と猛丸の物語が描かれました。
今巻でも新たな主人公となるであろう人物が登場することになるのですが、なんとその男は誰もが知るあの人物で……!?



元和元年、播州船坂峠。
一人の浪人がそこを歩いておりますと、いきなりちぇすとと奇声を上げながら、一人の侍が切りかかってきました。
浪人は……刀を抜く間もなく、体を盾に真っ二つにされ、息絶えてしまいました。
襲い掛かってきた侍は、仲間たちとともに切り捨てた浪人の顔を見てみると……「誤チェスト」だ、と人違いと言いだすのです。
どうやらこの辻斬り同然の侍たちは、誰かを探してチェストし続けている様子。
チェスト前に名前を聞くというのはどうだろうか、といまさら言いだし、一同は次の標的から名前を聞くことにしたのでした。

次に現れた浪人には、有無を言わさず襲い掛かるようなことをせず、刀を構えた二人が名を申せ、と威圧することから始めました。
ですがその男は、何一つ語ろうとはしません。
じれったくなった侍たちは、もう名乗らんでいい、とチェストを仕掛けるのです!!
が、その男は最初の浪人とは違いました。
素早く両手で二振りの刀を抜くと、チェストしてきた刀をはじき返して見せたのです!!
そのはじき返された刀は、逆にチェストした侍の顔面にめり込んでしまっています。
片手で、渾身の力を込めてチェストした刀をはじき返す……?
この浪人、ただものではありません。
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両の手に一本ずつの刀を持ち、構えた男の姿は……まるで虎のよう!
その獰猛な姿に気圧される一同でしたが、次なる手も用意していました!
それは一度に複数の銃弾を放てる大型の火縄銃、その名もチェスト種子島!!
殺してしまうかもしれないが、この程度で死ぬ虎ならば役には立たないだろう。
そう考え、探し人かもしれない相手に侍たちは種子島でチェストするのです!!
その銃弾は、間違いなく前段命中しました!
が、その銃弾がさく裂したのは、虎が経てとして自らの前に掲げた侍たちの体!!
その状況を理解した時には、すでに手遅れです。
獣にとって、種子島を持った男までの距離、七間は一足で飛べる距離。
瞬き一つする間に、爪で薙ぐことができるのです!!
これだけの力を見せられればいうことはありません。
残り二人となったチェスト侍たち、そのうちの一人が虎の前に土下座し、事情を話し始めました。
貴殿の腕を試したのは無礼で申し訳なかった、自分たちは薩摩の島津家中の者。
貴殿の手並みが確かなことを見届けたうえで、頼みたいことがあります。
じっとその男の顔を見ながら、刀をしまう虎。
虎は何も言わないまま……男の頭をわしづかみにして、みかんを剥くかのように千切ってしまったではありませんか!!
わずか一人の生き残りとなったチェスト侍、中馬大蔵は、その凄惨な現場を見て冷や汗を流しながらも、笑いました。
俺達のやり方が間違っていた、本当のとらに人の言葉など通じない。
内臓を抜いて腹の中を空にするから、飯を詰めて炊いて食ってくれ!!
そう言って、腹を切ってでも対話しようという態度を見せたのです!!
……すると、虎はようやく口を開きました。
関ケ原で会ったか?と。
中馬はその通り関ケ原での戦いを経験したもの。
関ケ原帰りだ、と答えると……虎はようやくその表情をわずかに緩め、名乗ってきたのです。
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宮本武蔵、西軍にござった。

関ケ原で、同じ敗者側の群で戦った経験が、二人の距離を一気に縮めました。
今まで聞く耳持たずと言った風情だった武蔵は、とうとうその用件を尋ねてきたのです。
中馬はこういいます。
これは、主君島津家久の、いや、神君徳川家康公の命。
武蔵殿に、鬼を征伐してほしい!!
……鬼退治。
その言葉を聞いた武蔵は……!!

鬼の話が出てきたのは、大阪落城してすぐのことでした。
志尓嵩に軍勢を向かわせれば、鬼が現れる。
その噂を確かめるため、島津家久はとら退治を成した腕利き5名を送りました。
するとそこに出てきたのは……
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たおやかな体に一枚白い着物を羽織っただけの、女性でした。
ですがその爪はすべてはがされていて、拷問か何かを受けた後があります。
さらにその胸には……十字の火傷跡が刻まれていました!!
この女、切支丹!!
すかさず腕利きの一人が、秀吉公も家康公も禁じた邪教は成敗する、と刀を抜くのですが……その腕は、刀に手をかけたままの状態で切断されてしまっています!!
女は一斉に襲い掛かってきた男たちの槍を飛んで避けると、蹴りを放って男の一人の顎を切り落とし……そして、木の枝にぶら下がったかと思うと、両手から鋭い爪を伸ばし、弾丸のように飛ばしてきたのです!!
腕利きたちは次々に死亡。
このことを報告するために、一人だけ命からがら逃げ延びてきたのですが、その背中に女鬼の爪を一枚受けてしまい……
その爪はてこでも抜けず、傷口は膿み始め、じわじわとその男の命を奪おうとしていたのです……

武蔵はその鬼の爪の恐ろしい力を見て、疑っていた鬼の存在を確信しました。
そしてその爪から、鬼の姿を垣間見て……
見えたぞ、人の皮来た鬼の姿。
引くか武蔵、いや進むか二天一流。
……武蔵の心に、炎が燃え始めるのです!!



と言うわけで、ついにあの宮本武蔵まで登場してしまった本作。
武蔵と言えば誰もが知る無双の剣豪で、本作においてもその有名はかげることがありません。
このエピソードでも主役級の存在感を放つのですが……この戦いにおいては、徳川側、いうなれば敵側の存在です。
徳川に仇なす鬼と言えば、今までの本作の主役側であった怨身忍者に他ならないはず!!
この後、鬼と呼ばれている女、レジイナがいかにして鬼になったかの物語も描かれ、ますます主役側の色合いが濃くなっていくのです。
ですが武蔵がそれにつれて敵側になっていくのかと思えば必ずしもそうではなく、彼もまた強固な鎧……いや、「外骨格」を手にしてますます存在感をアップ!
主役側であるはずの怨身忍者か、はたまた武蔵が今までとは違う方法で敵側から立場を変えるのか?
予測不能の展開となってまいりました!!
そんな話の流れももちろん楽しみなのですが、やはり最も楽しみなのは武蔵VSレジイナでしょう!!
最強の剣豪にして、外骨格を見に纏った武蔵と、鬼と化したレジイナ。
どちらも強大な力を持ち、どちらも主役級の存在感を持つ。
そんな二人が激突した時、どのような戦いとなってしまうのか!?
ほどなくぶつかり合うであろうその戦いに、注目せずにはいられませんね!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!