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今回紹介いたしますのはこちら。

「はっぴぃヱンド。」第1巻 有田イマリ先生

スクウェア・エニックスさんのガンガンコミックスより刊行です。


有田先生は本作が初連載となる様子の新人漫画家さんです。

その初連載となる本作は、女の子たちの日常を描いた作品です。
が、ただただ楽しい毎日を描いていく普通の日常ものではないようで……?



車の中ではしゃぐ少女、相田茜。
彼女はこの1997年の夏、姉と二人でとある田舎町に引っ越すことになりました。
今まで住んでいた東京都は比べるべきもない山の中にある村への引っ越しですが、茜はむしろウェルカム!
私、田舎者になれるんだね!?と、気分を害する方も現れそうな言葉とともに目を輝かせるのです!
このトンネルを抜けたらもうつくから座ってろ、と姉にたしなめられた茜。
ですがトンネルの中が真っ暗な上、車のライトが不調で転倒しないという状況に襲われ、茜はビビりまくり!!
姉は幽霊にでも挨拶してろと適当にあやすのですが……そんな茜の目の前に、本当に幽霊的ななんだか怖い血まみれの女性が現れ……茜は思わず絶叫してしまうのでした!!
……トンネルはすぐ終わり、幽霊は本当にいたのか幻だったのか、それとも幽霊ではなかったのか、うやむやのままになるのです。

6月4日。
茜の新しい学校生活が始まりました。
相田茜、中学2年生、東京から来ました。
お姉ちゃんと一緒に住んでます、両親の仕事の都合でここに通うことになりました。
ちなみに姉はこのクラスの教師をしております。
オネエちゃんじゃなくて先生って呼べよ、とぼやく姉とは裏腹に、クラスのみんなは何だか目を輝かせて茜を見ております!
凄い、本物の都会人だ……!
そんな純真な羨望のまなざしにさらされ、茜はうれしいやら、珍獣扱いされて恥しいやらなのですが……やがて、このクラスの生徒が普通ではないことに気が付きました。
生徒が10人くらいしかいないばかりか、学年もばらばら。
明らかに小学生な女の子もいるのです!
それもそのはず、ここは分校。
小規模のこの学校では、教室は一つで、この10人の生徒が全校生徒なのです!
恐るべし過疎化社会、と漏らす茜。
そんな茜の言葉を聞き、小学生の女の子がポツリと、都会もんがなんかいいよる、しゃあしか、と不満げにつぶやいたのです。
プイと横を向いたその女の子。
茜はその女の子のほうにつかつかと歩いていき、机をバンと叩いて……いま何て言ったのか教えて、と笑顔で女の子に話しかけたのです!!
その内容は、都会の人がいろいろ言っているからうるさい、と言うひどい内容でしたが、茜は全く答えていない様子。
ここにはほかにどんな方言があるの?使いたいから教えて!とにこにこと語りかけ続け、一気にその距離を縮めるのでした!!

放課後になりました。
姉は帰りが遅くなるとのことで、夕飯を作っておいてくれ、と言われた茜。
それとともに、一冊の学級日誌を渡されました。
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学校全員が必ずこれを毎日つけて、週1回教師に渡すことになっている。
さぼったら連帯責任で罰。
この学校の伝統。
そんな言葉とともに。

毎日日記を書くなんて久しぶりだ、何を書こうか……今日のおかず?そう言えば晩御飯何にしようかな。
そんなことを考えながら歩いています、と教室に先ほどの女の子、さやかが一人座ってお絵かきをしているのに気が付きました。
なんでもお父さんがよそで頑張って遅くまで働いてるから、待っているのだとのこと。
それを聞いて、茜は……あたしの家に行こう!といきなりさやかを誘いだすではありませんか!
なんでそうなる、よそ者といるのも、夕飯を作るのを手伝うのもお断りだ、と最初は取り付く島もない反応をされてしまうものの、献立がすき焼きだと聞くと反応が変わり始めます。
さらに、そのお絵かきの中にゲーム機が書いてあるのを目ざとく見つけた茜が、うちにそのゲーム機があると告げたのが決め手になりました!
さやかはそっと手を伸ばし、よるごはんおてつだいするけん、いっしょにげーむのしかたおしえてくれん?と、ほほを赤く染めて誘いに乗ってくれたのでした。

それ以来、さやかと仲良しになった茜。
活発な女の子、いづみとも友達になり、学級日誌も彼女たちとの楽しい思い出で埋まっていきます。
三人で釣りをしたり、駄菓子屋によったり、野草を取りに行ったりと、毎日は瞬く間に過ぎていき……
そして、運命の日を迎えてしまうのです。

7月10日。
あまりにも突然でしたが、両親の事情が変わり、茜は東京に戻ることになってしまいました。
せっかく大の仲良しになったさやかやいづみとお別れするのはつらく、溢れ出る涙は抑えられません。
最後はいづみが、これで一生あえないわけじゃないし、夏休みになったらバイトしてお金を貯めて茜に会いに行こう、だから笑って送ってやろう、とさやかを慰め……
最後の日になる11日は、お別れのバーベキューをしよう。
そう言って三人はわかれました。
……今生の別れではないとはいえ、その寂しさは相当なもの。
胸にこみ上げるものに耐えきれず……
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茜は、学級日誌を書くことができず、翌日を迎えてしまったのです。

7月11日。
バーベキューはクラス全員で行うことになり、その盛大(?)な規模のお別れ会に恐縮する茜。
そんな茜に、姉はこの場でこんなことを言いだしました。
お前昨日さ、日誌描かなかっただろ。
そう言われた瞬間……茜以外の刃部宇の空気が、変わったような。
かまわず姉は続けます。
言ったろ、毎日必ず書けって。
さぼったら連帯責任でクラスで罰だって。
惚れこっち恋、皆で罰ゲームやるぞ、皆でバーベキューやるぞ。
そう言って、姉は
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いづみの頭に串をつきたてたのです!
……血まみれになり、倒れるいづみ。
惨劇はそれでは終わりません、
さやかを含めたクラスのみんなはそれぞれ、大きな名が行く死を手に取り、自らの口やのどにつきたてていきます……
そして、姉もまた同じように、当たり前のように、口の中に針をつきたてました!
目の前に広がる、信じることのできない光景。
みんな、どうしちゃったの、何やってるの。
そう言うことしかできない茜に、それぞれ頭に針を貫通させたみんなが、ゾンビのようにじりじりと近づいて来て……こう言いました。
何って、バーベキューに決まってるじゃん。
そう言って、皆は、その針を、茜に向かって、一斉に……!!
茜の意識は遠ざかり、そして気が付けば……

6月4日。
茜の新しい学校生活が始まりました。



というわけで、衝撃の幕開けを迎える本作。
本作は最近はやっている、可愛い絵柄で血生臭いことを行うループモノになっています!
こう言ったループモノでは、主人公がループに気が付き、何とか惨劇を防ぐように奮闘する、と言うのがお決まりのパターン。
そして本作でも、そのパターンを踏襲する……かと言えば、そうとも言い切れないのです!!
この後、やはり茜はループ前の記憶を取り戻し、驚愕することになります。
が、そのあとこそが本作ならではの要素が盛り込まれる本番となるのです!!
まず目を惹くのが、茜以外の主人公ともいえる人物がこの後活躍を始めること。
ループモノでは、どうにかしてループを信じてもらうか、あるいは隠しておきながら協力を仰ぐかと言うところが肝となっていることが多く、また盛り上がるところとなっています。
が、本作ではそのもう一人の主人公の存在と、その人物の明かすルールによって他のループモノとは違う戦いが繰り広げられることとなるのです!!

さらに本作ならではの要素となるのが、日誌の存在です。
日誌を書き忘れることが、何かのスイッチになってしまう。
それだけはわかるのですが、ではこの日誌が何なのか、何故この日誌を書かないと惨劇が起こるのか、と言うところがおそらく本作の軸となっていくわけです!!
SFの多いループモノですが、本作のこの日誌、現段階ではどう考えてもオカルト的なもの。
この謎を明かし、その原因を何とか根絶できれば、惨劇は防げるのか?
恐怖と萌えが共存する、日常サスペンスとなる本作、深まる謎とともに楽しんでいきましょう!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!