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今回紹介いたしますのはこちら。

「流香魔魅の杞憂」第1巻 奥瀬サキ先生 

ワニブックスさんのガムコミックスプラスより刊行です。


さて、シックな雰囲気で進みながら、エロス関係のネタや残酷な描写も盛り込むオカルト漫画を描き続けてきた奥瀬先生。
そんな奥瀬先生の最新作は、やっぱりオカルトものでした。
奥瀬先生の最新作、その内容はと言いますと……?



降りしきる雨の中、傘をさして一人歩く女性がいました。
そんな彼女が、高架下でうずくまっている小柄な少女を見つけます。
何をしてるの?と尋ねると、小柄な少女は、見りゃわかるだろ、雨宿りだよ、と毒づきます。
どうしても少女が気になるのか、名前を尋ねる女性。
すると、少女は……
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来夕(きゆう)、と答えるのです。

女性の名は、流香魔魅(りゅうかまみ)。
結局流香は、杞憂を拾って車に乗せて家へと連れていきます。
悪いな、車濡らしちまったな、と漏らす来夕でしたが……流香が答える言葉の端々には、奇妙な部分が見え隠れします。
気にしないで、どうせ私の車じゃないし、そのシートはどうせ汚れていた、奥さんがシートベルトをしないで寝ていたとか。
……この車は、事故車、だと言うことでしょうか?
しかも連れられていった家も、自分の家ではないというのです。
家主の一家が正月に一酸化炭素中毒で……とかなんとか。
なんでも流香は、いわゆるいわくつきのあれこれをいったん自分の名義にして、事故物件だと言うことをぼかす、と言うようなことを仕事にしている様子。
なのですがその仕事はそれだけではなく、その物件に「よくないもの」が残っていないか調べるというものも含まれているのだそうです。
良くないもの……要するに、「お化け」です。
自分に見えるものが本物のお化けなのかはわからない、と流香は漏らすのですが、彼女が「見える」と言うのは本当のようです。
暖かい飲み物をふるまわれ、人心地ついた来夕。
落ち着いたところで、俺、ここにいてもいいの?と流香に尋ねました。
流香は笑みを湛えた流し目とともに、来夕に言うのです。
何があったかは知らないけど、気が済むまでいたら?と。
しばらくすると安心したのか、来夕はベッドで寝息を立て始めました。
流香もそのベッドにもぐりこんだのです、が……
来夕は寝ぼけたのか、それとも人肌が恋しくなったのか、流香の胸に手を回してきて……
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そんな彼女の行動にほほえましさを感じながら、流香も眠りにつくのでした。

翌日、流香は仕事相手の天芽芝に会いました。
保険の調査員をしているという天芽芝、流香に今回の仕事の説明を始めました。
一昨日の早朝、川底に女の死体が沈んでいた。
死体の発見とほぼ同時に夫から捜索届けが出されていた。
死因は溺死で、血液からアルコールと睡眠導入剤が見つかり、警察は自殺と判断した。
調査すれば真相はすぐにわかりそうで、そうなれば調査員の仕事もないわけですが、警察は自殺と判断すればもうまともな捜査などしないのです。
そこで流香の出番と言うわけですが……死体発見現場は死体が見つかっただけの場所。
実際に落とされたのはもっと上流で、そこに行かなければきっと何も見つからないだろう、と流香はいいます。
天芽芝からしても、まあ一応調査はしたという恰好が欲しいわけで、見つからなくてもいいとは言うのですが……
何なら川沿いを歩こうか、と言う天芽芝でしたが、流香はここで良いとあまりやる気が出ない様子。
ですがそんなことをしている横で……来夕が川の中に何かを見つけたようで、必死にそれに手を伸ばし……川に落ちてしまったのです!!
大慌てで来夕を救いだした天芽芝と流香。
何考えてんだバカ、と彼女をしかりつけるのですが、来夕は水の中でこれを見つけた、と小さな指輪を差し出したのです。
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よくよくそれを調べてみますと……どうやら、あの死体となった女性の指輪のようです。
その指輪にふれ、女性の記憶の中に入り込む流香。
そこで彼女は、彼女が夫とその不倫相手によって殺害された、無念の記憶に触れることができたのです。

これで、流香の仕事は終わりです。
この事実を天芽芝がどう料理するのか、それは彼の腕次第。
流香としても、この時点で結構な成功報酬がもらえますので、あとは知ったことではないのです!
来夕にお手柄だったと言い残して去っていった天芽芝を見送った後、流香は漏らします。
絶対に指輪をしたまま死にたくなかったんだろうな。
もし遺体と一緒に指輪も回収されていたら、ずっと自殺と言うことにされていたかもしれない。

家に帰ると、流香は幽霊のことをこう言いました。
私が見ているのは、幽霊の記憶だと思う。
生まれてから死ぬまで、生きている間にすれ違った数え切れないほどの人たち。
その人はもういないけど、その人のことを覚えている人はいる。
私の見ているものは、皆に残っているその人の記憶と、思いなんじゃないのかなって。
幽霊ってそう言うことなんじゃないのかなって思っている。
そう寂しげな表情を浮かべる流香に、来夕は何でこんな辺鄙なところで一人でいるのか、と尋ねました。
ですが流香はそれに答えず、来夕はどうしてここにいるのか、と逆に尋ねたのです。
そんな質問への来夕の答えは……

流香への口付でした!!
俺、ビアンなんだ、大丈夫だよ無理やり襲ったりしないから、本当は乳のでかい女が好みだけど、流香可愛いからいいや。
そう言ってはぐらかし、床につく来夕。
流香は、あの自分の体に手を回したのは、乳の品定めだったのか!と仰天するのですが……
悪びれる様子もない彼女を憎む気にもなれず……来夕に、お休みと声をかけるのです。
……ちゃんと下着つけて寝ないとな、とぼやきながら。



と言うわけで、今回もシックに進んでいく本作。
奥瀬先生作品の特徴ともいえる、スタイリッシュでありながらも淡々と進んでいくムードはそのままに、今回の作品はアクションシーンを控えめに、恐怖描写もほとんどなく、その事件の裏にあるドラマや人々の感情の動きなどを描いていくのがメインになっているのです!
いつも以上に落ち着いた雰囲気で進んでいき、感動あり、切なさ蟻、人間のどす黒さを体感できる胸糞の悪さありのドラマを楽しむことができるのです!!
合間合間にはコミカルなシーンも挟まれ、重いだけの物語にはなっていないのもいいところです!!

と、そんな感じで進んでいた本作ですが、今巻のラストに収録されているエピソードでは、いよいよ適役となるらしい人物が登場!!
控えられていたアクションシーンも解禁となり、今までの奥瀬先生作品のようなバトル要素も増えていきそうな予感が!?
これから先も、前半のドラマ要素にこれから増えていきそうなバトル要素にと、楽しみなところですね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!