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今回紹介いたしますのはこちら。

「目玉焼きの黄身いつつぶす?」第9巻 おおひなたごう先生 

エンターブレインさんのビームコミックスより刊行です。


さて、二郎とみふゆが食べ物問題で離れたりくっついたりしてきた本作ですが、前巻ではいよいよみふゆが「結婚」の文字をちらつかせてきてしまいました!
もちろんみふゆのことを愛してはいる二郎ですが、目の前に突き付けられた結婚と言う現実に戸惑いは隠せず!?




二郎は悩んでいました。
みふゆと結婚出来たら幸せだろう。
だが、自分は売れっ子とはいえしがないいち着ぐるみアクター、みふゆは女優。
収入は天地の差で、みふゆに食わせてもらうこととなるのは明白だろう。
さらに言えば、今まで付き合っている段階でも食事のことでもめるのに、一緒に暮らすことになったらどうなるか……
考えれば考えるほど難しくなってしまうのです。
そんなことをしているうちに、二郎はまた新たな疑問にぶち当たっていました。
定食です。
定食の、器の配置です。

往々にして、定食はこう言う配置で出てきます。
手前右に味噌汁、左にご飯。
メインのおかずは右奥、小鉢類は左奥。
この左ご飯は、左手に茶碗を持ちたいので問題はないのですが……端を持つ右手側に味噌汁があるのが許せない!
ご飯を食べた後に味噌汁を飲むとする。
茶碗を置いてみそ汁とをろうとすると、箸を持った右手と、みそ汁を取ろうとする左手が交差し……
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俺は、ドラマーになるのだ!!
そう考えている二郎、ベストの配置はこうだ、と確信していました。
腕がクロスしないようにみそ汁は左奥。
何の障害もなく、サイドからみそ汁の器を取ることができる。
開いたみそ汁の位置にメインのおかずをスライドさせ、最も使用頻度の高いメインをすぐ近くに盛ってくる。
そしてメインのおかずの場所に小鉢類を置く、と言うのが二郎のベストポジションなのです。
ですが向かいに座っているみふゆは……書記は一のまま食べております。
何の疑問も持たないのか!?
……と、以前の二郎ならば怒鳴りつけていたかもしれませんが、最近の二郎はわずかながら成長を遂げ、ぐっとそれを心の中だけで抑えることができるようになっていました。
そんな二郎に、みふゆは携帯の画面を見せてきました。
そこには、海外に移住した千夏の、生まれたばかりの赤ちゃんを抱いた画像が表示されていました。
千夏も幸せそうだ、と漏らすみふゆの顔は、何tも言えば井安らぎのような、寂しさのようなものが見て取れて……
二郎は思わず、子供、いいよな、と漏らしてしまうのです。

二郎は少しでもみふゆとの格差を埋めるため、深夜にアルバイトに精を出していました。
おかげで二郎は疲れ果て、仕事に支障……とまではいかないものの、合間合間に眠りに落ちてしまうほどです。
様子がおかしいことに気付いた近藤さんは、事情を聞いてきました。
流石は面倒見のいい近藤さん、親身になって聞いてくれました。
俺はフリーのスーツアクターですし、ろくに貯金もない、このままじゃマズイと思って、と言う二郎に……近藤はこう切り出したのです。
正社員にならんか?と。
なんでも事業を少し拡大しようと思っているとのことで、新たに社員を雇うつもりだったんだそうで。
そこに二郎がおさまってくれれば話が早い、と言うことのようです。
二郎からすれば、どくフラワーはどうしても続けたいところなのですが……もちろんそれも大丈夫。
二郎が頑張れるのなら、どくフラワーを続けながらでもいい、俺もそう望んでいる、と近藤さん。
正社員の業務をしながらスーツアクターと言うのは大変でしょうが、それでもスーツアクターをやったあとに深夜のバイトをするよりはマシでしょう。
願ってもない話だと喜ぶ二郎に、近藤は社長の羅生門に話しておくと約束してくれました。
……羅生門社長と言えば、以前焼肉に白飯問題で少しいろいろあった人。
あの人ちょっと苦手なんだよな、と二郎は頭を掻くのです。

二郎は、みふゆにそのことを打ち明けます。
とりあえず今度、社長が面接を兼ねた食事会を設けてくださると言うので行ってみる、と言う二郎に、みふゆはよかったじゃない、決まるといいね!と笑顔で応援してくれました。
……二郎は、そんなみふゆに、とうとう……こう告げました。
みふゆ、もし俺の就職が決まったら……
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その時は……俺と……

食事会の時がやってきました。
二郎もこの会社で10年もスーツアクターを行っています。
社員の資格は十分だね、と羅生門社長の表情も穏やかで、和やかに会は進んでいきます。
そんな時のことです。
いつものように、二郎が器の配置を変えたのは。
それを見て、羅生門社長は……激怒!!
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何故器の配置を変えたんだ!
和食の基本は一汁三菜と言って、配置は決まっている!
日本の伝統礼法に左上右下と言うものがあり、主食であるご飯は上位の左に置き、下位の汁ものは右に置くというしきたりなのだ。
他にも様々な意味があって器が配置されている。
それを、ガチャガチャと変えるとは何事か!!
そう激怒されてしまっては、二郎も大人しく従う他なく……

食事会の後、二郎は近藤に大丈夫だろうかと尋ねました。
このままでは無理だろう。
近藤はあっさりとそう言ってのけます。
ですが、その後こう続けたのです!
二郎、お前あの配置で良いのか?
器の配置は本当にあれで良いのか!?
もう一度よく考えるんだ、あの配置で良いのかを!!
……そんなことを言われても、二郎は困ってしまいます。
俺は言われた通り元の配置で食べただけ。
それをどうしろって言うんだ!?
その答えは風の中だというのなら、教えてくれよ風さん!!
風さぁーん!!
……二郎の虚しい叫び声が、風に流されていくのでした……




というわけで、みふゆとの大事な時を迎える直前にやって来た、新たな食べ方問題。
どうやって食べるか、という問題を描き続けてきた本作でしたが、今巻でとうとうその前の段階ともいえる器の配置問題にまで食い込んできてしまいました!!
しかもいつもならばこのことで人間関係はぎくしゃくするくらいでしたが、今回はそれに加えて就職問題までかかわってきてしまうのですから問題です!!
定食などの器の配置には意味がある、だがそれに従うだけでいいのか。
そんな難解な疑問に直面した二郎が出す結論とは!?
目の離せないようなそうでもないような、とにかく大事件の行く末に注目です!!

そしてそれ以外のお話ももちろん見逃せません!
今回は前中後編で繰り広げられるこの「食器の配置どうしてる?」の他、前後編の「生ビールと瓶ビールどっち飲む?」、そして単発の「オムライスどこから食べる?」の三編が収録!!
カレーの食べ方にもつながるオムライスの食べ方に関して掘り下げられるお話も興味深い所ですが、ビールのことに関して描いたお話は特に注目したいところ!!
瓶ビールと生ビールの違いに関して事細かに書いているほか最近はやりのクラフトビールに関してもガンガンと踏み込んでいきます!!
三編ではありますが、今回は豊富な蘊蓄がたっぷり収録された、読み応え満点の内容になっていますよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!