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今回紹介いたしますのはこちら。

「剣術抄 ~五輪書・独行道~」第1巻 とみ新蔵先生 

リイド社のSPコミックスより刊行です。


さて、時代劇画とともに、剣術の道を究めんと日々研鑽されていらっしゃるとみ先生。
現在もコミック乱をメインに連載をする傍ら、日々剣術の研究をされておりまして、ブログのほうで積極的に公開されてらっしゃいます!!
そちらのほうがメインなんじゃないかと言う不安もよぎる中で発表された本作、そのタイトル通りに「五輪書」「独行道」を読んで感銘を受けて描こうと考えられたようで。
タイトル通り、宮本武蔵を中心とした物語となるのですが、やはりそこはとみ先生、他の武蔵を描いた漫画とh全く違うアプローチの作品を描いて下さるのです!!



武蔵は、一人の少年、伊織を連れて播州に向かっていました。
二人の向かう先は、播州を治める小笠原家の将軍、忠真の待つ明石城。
明石城にたどり着きますと、従者らしき男が礼儀正しく出迎えてくれ、早速忠真の前まで連れて行ってくれました。
武蔵を一目見るなり、忠真は思った以上に日に焼けた顔をしている、とその風貌に少しふれ、すぐさま武蔵の腕についての質問に入りました。
13歳にして、新当流の有馬と言う男を打ち負かしたそうだが、やはりそのころは人より大きな子供だったのか?
その質問に、武蔵は早熟ではありましたが、同年の子供よりやや大きいのみで……と答えながら、13歳のその時に起きたことを思い起こすのです。

少年時代の武蔵は、器量よしの村娘、あけみに思いを寄せていまして、その家に足しげく通っては山で採れたキノコなんかを貢いでいました。
が、ある日、あけみの父はこの銀粒で盗られてしまった、と外を指さしたのです。
わずかな金で、女をもらい受ける。
本来ならば許された行為ではありませんが、時代が時代、それに相手は腐っても侍。
その行動をとがめることはできず、見送ることしかできなかったというわけです。
その侍、有馬はその前にもちょくちょくとこの村を訪ねてきて好き放題やっていたようで、武蔵の怒りはその前から爆発寸前だったのでしょう。
とうとう有馬を追いかけ、直談判しようと駆け出したのでした。

その時有馬は、あけみをかついで意気揚々と道を歩いていました。
が、その時のことです。
朱美に思いを寄せていた別の村人が駆け寄り、あけみはいつか自分が読めにすると決めていたんだ、放せ、と縋りついたのです!
有馬は返事の代わりに、刀の柄を思い切りその男の口に叩き込みました。
歯が折れ、血が飛び散り、あぜ道を転がり落ちる男……
その男など最初からいなかったかのように、有馬はいやがるあけみに、今宵はたっぷり楽しませてやると笑うのでした。
そこに駆け付けたのが武蔵です。
お前のような狼藉者は許しておかん、という勇ましい叫び声とともに木剣で襲い掛かります!!
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あけみを担いで思うように動けない有馬に対し、まずは右の膝がしらに一撃!!
その動きを見て使えるなと判断した有馬はすぐさま剣を抜き、片足を切断してやる、と息巻くのです!!
やめなさいというあけみの声ももはや意味を成しません。
武蔵はまたも姿勢を低くして、有馬の右側面に回り込みながら再び右膝がしらを打ち据えました!!
同じ部分を打ってダメージを蓄積させるとともに、右目が潰れている有馬の視覚に回り込むという攻防一体の動きは見事の一言!!
そのこざかしい動きにかっとなった有馬は、殺してやると口汚い言葉とともに武蔵を向き直るものの、そこにはすでに鼻筋への木剣の一打が待っていました!!
たまらずひるむ有馬に、一切手心を加えない武蔵!!
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容赦なく頭を打ち続け、有馬は無残な躯と化したのでした。
……ちなみにあけみは、口では助けてと言っていたもののそれはあくまで体裁を保つためのふりで、せっかく侍の嫁になって農村から出られたところだったのに、と武蔵を罵ってきたのでしたとさ。

剣の腕はあったものの、世渡りが今一つで高名を残せなかった父の助言もあり、都に出て日本中にその名をとどろかせるにまでなった武蔵。
忠真も船島での巌流小次郎との死闘に関しては知っている様子。
のちの世に伝わる巌流島の決闘は、やはりこの時から評判になっていたようです。
忠真はそんな武蔵に、兵法師範としてこの小笠原家にとどまってもらいたいと願い出てきました。
ですが武蔵は若い時から放浪し続けてきた男、ひとところにとどまるのはやはり気が進まないようです。
そこで武蔵は、つき従っていた伊織をその役目に推薦しました。
伊織は、武蔵の養子です。
武蔵ほどのものが養子にすると言うことは、ただそれだけでただものではないだろうと言うことがわかるというものですが、実際にその実力は確かです。
剣の道においてだけではなく、漢詩や和歌にもたけているという伊織ですが、年齢はまだ15歳。
その目で見てみないと何とも言えないと言うことで、場内の猛者と立ち会って魅うことにしました。

忠真の目の前で行われる腕試しの試合。
相手は寒河鉄之助なる人物。
そのたたずまいから、腕の立つ男であることがうかがい知れます。
が、そんな鉄之助に対し、伊織はこんなことを言ったのです。
どうぞ、本気でお打ちください、と!!
試しの試合で本気の戦いをする……と言うことは、流血沙汰も覚悟すると言う事。
忠真に血を見せるというのか、と激昂する鉄之助ですが、伊織はそれでも平然と言ってのけました。
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寸止めでは、勝敗の「瞬機」が判じがたいものでございますゆえ……
本気の戦いでなければ、本当の力はわからない、と言うことでしょうか。
齢15にしてそう言い切る伊織……果たしてその実力は……?



と言うわけで、武蔵が小笠原家に召し抱えられる、というすでに高名を成した部分から始まっている本作。
武蔵を主人公にしたり、重要なポジションに据えたりする作品は数多くありますが、こういった場面から始まる宮本武蔵の漫画と言うのは非常に珍しいのではないでしょうか。
この後、伊織の力を見た忠真は伊織を召し抱え、そして武蔵もまた……と言う展開にはなっていくのですが、武蔵はやはりひとところに落ち着く男ではありません。
剣の道を究めようとする武蔵ですが、その他の道も模索。
書、絵、そして鍛冶と様々な道を探求しながら、彼に教えを乞う者たちに要所要所で手ほどきをするという毎日を過ごしていく。
その中で、名のある武蔵を狙う実力者との手合わせや、恨みを持つ者の魔手を潜り抜ける様を描いていくのです!!

そんな武蔵の活躍も楽しいのですが、やはり本作の見どころとして外せないのが、剣術のうんちくでありましょう!!
とみ先生の実体験から語られる剣術の技術は、まさに真に迫ったうならされるものばかり!!
他の剣で戦う漫画とは一線を画すその技術の数々は、読み入ってしまうこと間違いなしですよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!