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今回紹介いたしますのはこちら。

「ストロベリー・ゴー・ラウンド」 カネタケ製菓先生 

秋田書店さんの少年チャンピオン・コミックス・タップ!より刊行です。


カネタケ製菓先生は、12年ごろに「ブックイーター」をはじめとした連作で連載デビューした漫画家さんです。
そんなカネタケ先生の最新作は、とある女子高に通う三人組のちょっとした事件が起きた時期を切り取って描いた日常もの。
果たしてその内容はと言いますと……?



佐々木が合コンするってよ。
そう言いだしたのは、仲良し三人組の一人、くーやんです。
藪から棒に何を言いだすのかと言った感じできょとんとしている、黒髪ボの戦艦と、メガネにおさげのぜらちん。
なんでもくーやんは、その合コンに戦艦とぜらちんもつれてくるように言われたそうなのです。
合コンって何をするんだろうか、カラオケとかだろうか?
それならyouはshockをうたっちゃう、などと語り合う戦艦とぜらちんですが、くーやんはそんなんモテないよ、私なんて凛として時雨行けるもん!と大見得を切りました。
それを女一人で歌うのは十分チャレンジャーだろう、と言うツッコミが入るわけですが……

ちなみに、肝心のお相手は連星学苑というスポーツ校。
話がかみ合わなそうだ、とさらにテンションを捧げる戦艦ですが、選管はゲームをたしなむそうで、そっち方面の会話をすればいいんじゃないか、とぜらちん。
ですがサッカーで有名な連星なだけに、サッカーゲームの話しかしないんじゃないか、だったら話にならないと扱き下ろすのです。
くーやんはなぜか、剣道の話をしなよ、奇声カッコいいじゃん!と合コンとはそぐわなそうな話題を提案。
剣道経験者の戦艦もそれに乗っかり、シェアアア(小手)!!と奇声を上げて大笑いするのですが……これでモテるとは到底思えません。
戦艦の胴着姿はたしかにカッコいいはカッコいいのですが、それで合コンと言うのは、流石に……

そもそも、三人が「モテたいか」と言われれば、別にそんなことはありません。
校則で不純異性交遊が禁止されている、と言うのはまあどうでもいいんですが、そもそも不純と言うのはどこまでのラインなのでしょうか。
などと言っておりますと、ぜらちんは野暮なこと聞くよね?と謎の圧を出してきたり……
なにその顔ムカつくわ、などとやり取りしていたところ、クーヤンが思い出したようにとんでもないことを言いだしました。
あ、そう言えばわたし今ストーカーしてるんだけどさ。
さらっととんでもないことを言うくーやんにツッコミを入れたいところですが、とりあえず今はその続きを聞きましょう。
毎日帰りに向かいのホームで見かける男子が、毎日本を読んでいるんだけど、その本が「月刊園芸」なんだ、と笑うくーやん。
最初は一緒に笑っていた二人ですが、よく考えれば向かいのホームの人が読んでいる本のタイトルまで見えるものでしょうか……?
その件に関して問い詰めてみれば、なんとくーやん、双眼鏡まで持参で彼のことをチェックしていたのです!!
おまけにその双眼鏡、クーヤンのお父さんのコレクションの一つである旧帝国軍の物なんだとか。
旧帝国軍の双眼鏡で、向かいのホームで本を読む男子の動向を観察する女子……
そんな女子が合コンに行ったところで……

合コンと言えば、と話が変わり、ぜらちんが大人しい顔をしてとんでもないことを言いだしました。
合コンとかの性欲の愛憎渦巻く場に身を置いただけでさ、なんか、言っただけで孕みそうじゃん?
想像妊娠ぐらいはしちゃいそーだよね、と言いだすぜらちんに、こわいよ、にんしんこわい、にんしんって言う字面がこわいから人参って言って人参って!とまた謎の盛り上がりを見せる一同。
その盛り上がりの中でくーやんははたと我に帰りまして、妊娠も何も、自分は初対面の男子と何を離したらいいんだ、と青ざめた表情を浮かべました。
いつか彼氏ができたら、ひまわりの種のフィボナッチ数列確認したり、浜辺でヒトデ焼いてウニと食べ比べてみたり、ドングリを食べ比べてみたり、公園で独走を探したりして見たいな。
くーやんは自分でそう言っておいて……そんなの無理に決まってるからストーキングで我慢する、と乾いた笑いを上げるのでした……

その日も、ストーキング相手はホームで本を読んでいました。
くーやんはストーキングの日々でその能力が上がっているようで、裸眼で彼が今読んでいるのが「月刊園芸」でなく「趣味の園芸」であることを見破るほどの高まりを見せております。
戦艦とぜらちんは何も見えないからと向かいのホームに行こうと提案。
二人が見初められたらどうしよう、と嫌がるくーやんを引きずって向かいのホームに行きまして、そっと背後から様子をうかがうと……
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くーやんの鼓動はかつてないほど高まってしまいまして、おもわず人参、とつぶやいてしまうほどになってしまうのです!
ドキドキが抑えきれなくなりそうになったその時の事。
ストーキング相手に、声をかける男が現れました。
おー二重、お前この駅使ってんの、遠くね?
てか部活ねーの?
そんな他愛のない会話を交わす、ストーキング相手こと、二重とその友人。
歪んだ形とはいえ、恋い焦がれた相手の名前を知ることのできたくーやん。
ですがどうしたことでしょう、くーやんの気持ちはむしろすっと冷静になっていってしまうではありませんか。
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名前を知った途端、なんだか急に我に返るくーやん。
切り離された全く違う別の世界、みたいに思っていた……
我を見失って、我を忘れて、我に返って……そして、彼女は一つ気がついたのです。
そもそも合コンに来るような男子、ダメかも、と。

わたし、一生処女なのかな。
わたし「ら」、一生処女なのかな。
わざわざ言いなおしてそんなことをつぶやきテンションがおかしくなってくるくーやん。
戦艦もそれに乗っかって謎のテンションになっていくのですが、そこで……またもぜらちんが凄いことを言いだしました。
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あたし、小学校から付き合ってる彼氏いるよ?
突然告げられたその言葉に、ふたりはその人は立体?息をしてる?と尋ねますが……もちろん実在の存在。
二人とも気が合うと思うよ、というぜらちんですが……
二人は、他人の男とか話したくない、と苦虫を噛み潰したかのような表情になるのでした……



と言うわけで、ちょっとひねくれた三人娘の日常を描いていく本作。
この後も、この三人娘の他愛ない、ちょっと悪ふざけが混ざった会話を楽しむことができます。
モテない女子三人組によるエスプリの利いた会話が本作の見どころ……ではあるのですが、もちろんそれだけではありません。
合コンなんて行く気にならないし、ストーキングも熱が冷めた。
そんな感じで収まったかのように見えた「恋愛」関係のお話が、この後の中心となってくるのです!!
一方的にストーキングしていた、と思っていた二重が、くーやんのことをどう思っていたのか?
熱が冷めてしまったように見えるくーやんの同行はどうなるのか?
そんなお話で口火を切り、その後は戦艦やぜらちんの恋愛取り上げていくことになります!!
実在した(!)ぜらちんの恋人の、とんでもない趣味と、付き合うことになった経緯。
そして、戦艦が思いを寄せるある人物の、悪意無きむごい仕打ち……
本作は、ひねくれた女子たちに訪れる、ままならない恋愛の描写こそが本題!!
三人娘には、漫画だからと言う安易なハッピーエンドはまっていません。
それほど劇的な出来事もおこらず、かといって何も起きないわけではない。
幸せなエンディングとはいかなくても、悲劇が手ぐすねを引いているわけでもない。
日々の中で起きる出来事を経て、少しずつ大人になっていく……
そんなリアリティ溢れる青春の日々が、じんわり心に残るいっぺんになっているのです。



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!