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今回紹介いたしますのはこちら。

「月曜日の友達」第1巻 阿部共実先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


さて、15年の「死にたくなる~」以来、阿部先生20か月ぶりの単行本となる本作。
本作は秋田書店さん系列の雑誌をメインにしていた阿部先生していた先生が、しばらくの充電期間を経て新天地のである週刊ビッグコミックスピリッツで連載を始めた作品です。
今まで思春期の少年少女たちを主役にした、危うい日常の物語を描いてきた先生ですが、本作もその系統の物語となっています。
ですが本作は阿部先生初となる巻数表記のある長編作品となっておりまして、今までにない広がりを見せてくれるのです!



ある中学校でのこと。
他愛もない日常会話が飛び交う中とあるクラスでは、昨日のテレビの話題でで盛り上がっているグループがいました。
ですがそのグループの中で一人、水谷と言う女子はその話題についていくことができないようです。
一体何の番組の話なんだ、と尋ねる水谷ですが、皆が盛り上がっているのは月曜日の恋愛バラエティ番組。
水谷は恋愛番組にまるで興味がないようで、月曜日は世界動物特集を見ている、とダブルピースを決めるのです。
珍しい動物の他、観光地や地域の空撮、攻撃品の紹介も充実している、と身振り手振りを交えながら、こんな大きなガラス細工!素晴らしい!と小躍りしながらその番組の良さを触れ回るのです。
が、グループの面々は、水谷は小学生の時から変わらないね、恋愛番組はまだ早いか、と子供をあやすように声をかける友人。
特番が待ちきれない、両想い成立するかな。
そんな会話をしながら、朝の集会に向かう友達たちに……水谷は二つの意味でおいていかれてしまうのでした。

水谷の頭の中は不満で満たされています。
月曜日。
今日もまた学校が始まる。
中学校になって二週間が過ぎた、中学校が小学校齢が打ことは当たり前だ、しかし……
そんな不満の原因を反芻している水谷に、友人は、ごめんね、体躯使い、動物じゃなくて恋愛番組の話題で、とまたからかうように声をかけてきます。
別に私は動物だけが好きなんじゃない!
そう言って異を唱える水谷ですが、その時通りがかった男子の一人に肩がぶつかってしまいました。
思わずそちらを振り返ると……
そこには……じっと水谷を見つめる男子の瞳がありました。
何?
残念だけど、俺は珍しい動物でも工芸品でもないよ。
そう言って、立ち去ろうとするその男子ですが、水谷はその言葉からその男子が先ほどの会話を盗み聞き(?)していたことを指摘し、卑劣漢め!といきなり罵り始めました!!
すると男子はその罵りには答えず、この中学校、孔雀を飼育してるんだってさ、と言ってそのまま立ち去ろうとしました。
すると水谷の気持ちは一瞬でまぎれ、あの芸術的な羽を生で拝みたい!と興奮しだします。
そんな水谷の様子を見て男子は、美しいものが好きなんだねと言い残して今度こそ立ち去っていきます。
変な男!!と不満を漏らす水谷。
お前がそれを言うか、と友達は彼女を抑えて集会に連れていきます。
その変な男、実は水谷たちと同じクラスの男子です。
月野透。
クラスの男子をしても、とにかく変な奴だという彼。
いったい何者なのでしょうか……?

月野の「変なところ」は枚挙にいとまがありません。
いつも無表情。
授業中は外ばかり見つめている。
休み時間は変なものを作っている。
それだけでなく、こんなうわさも聞こえてくるそうで。
奇妙な大ウソをつく、奇天烈な自転車に乗っている、夜の街を徘徊している、そして嫌がる下級生を強引に連れまわしている。
最後の言葉を聞くまでは害はなさそうだと思っていた水谷ですが、最後の言葉は聞き捨てならない様子。
月野に憤りを覚える水谷ですが……

水谷の憂鬱は、寺尾の話題や月野だけではありません。
授業中に、幽霊だと騒ぎ立てるなど好き放題をする、柄の悪い少女、火木。
火木はある有名な先輩の妹で、その権力をかさに来ているか来ていないかは知りませんが、やはり柄の悪い仲間とつるんで、やたら月野に絡んで幼稚な悪戯に従事しているのです。
そんな火木のからかいに会っている月野を見かけ、水谷はあとさき考えずダッシュ。
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火木が押し付けた飲みかけのパックのジュースを蹴っ飛ばし、一人相手に集団で卑怯なことをしてるんじゃない!と大見得を切ったのです。
……一触即発、とはなりませんでした。
火木の仲間の柄悪男子も、水谷を変な奴だと称してまともに取り合わず、当の月野も今蹴飛ばしたパックが一直線にゴミ箱に吸い込まれたのを見たか、と謎の指摘をしてその変な空気を増長。
爆笑する柄悪男子たちに、水谷の友人が割り込んでお騒がせしました、と水谷を引きはがし、そのままうやむやになってしまったのです。

自分のしたことは間違いだったのか?
そんなモヤモヤは、夜になってさらに増していきます。
月曜の夜は、少し離れた学校にスポーツ推薦か何かで入り、下宿生活をしている姉が帰ってきます。
スポーツで名をはせ、人格者としても有名な姉を何かと比べられていた水谷。
姉がいなくなって解放されるかと思いきや、月曜日のたびにまた悩まされるのか?
なれない中学校の一週間が始まる月曜日はただでさえ憂鬱なのに、姉のせいで家にも居場所がない。
たまりかねた水谷は、家を飛び出して夜の街を駆けだしてしまうのです。
月曜日が嫌いだ。
またなれない中学校の日々が始まるから、友達と遊びも運動もできないから、姉が家に帰ってくるから、家にすら居場所がない曜日になったから。
私はどうすれないいんだ、この気持ちをどうすればいいんだ。
中学生になった途端気付いた、この街は窮屈すぎる、道も世界も生活も。
なにひとつ気にせず考えず、動きたい走りたい跳びたい叫びたい。
どこか、だれか……
助けを求めるようにしてたどり着いたのは、夜の学校でした。
柵を乗り越え、校庭に向かうと……
そこには
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机を無造作に並べ、その真っただ中でボールをばら撒く月野がいたのです。

そこで二人は初めてまともな言葉を交わしました。
その言葉の中の、「別に変でもいいじゃないか」という言葉に……水谷は大きな感動を感じます。
今日初めて話したのに、私も月野を変な奴と思ってたのに、月野だけが私を認めてくれた。
今私の胸を締め付ける感情の正体は、嬉しいって名前だ!
そんな水谷に、月野は突然こんなことを言いだしたのです。
あの蹴りを見ておれには君が必要だとわかった。
これからの月曜日、夜の学校であってくれないか。
皆にも親にも先生にも内緒、二人だけの世界。
約束だよ。
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そう言って小指を出してくる月野。
水谷は……
私は月曜日が嫌いだ、月野透と会う約束をしてしまったから。
そんなことを考えながら、自らも小指を伸ばすのでした。



と言うわけで、「変」と呼ばれる二人が、秘密のあいびきを行うことになる本作。
この後二人は、お互いのある目的のために毎週月曜日の夜に会うこととなります。
水谷は、たまりにたまったフラストレーションを晴らすため。
そして、月野はある力の訓練のため。
この逢引きが、二人の生活の中で欠かせないものになっていきます。
息苦しい生活の中で、このが津曜日の夜が二人に潤いを与えることとなるのですが……
やはり、学校生活ではお互いはぐれ者のような生活を続くのです。
そんな中で、徐々に見えてくる月野や水谷の背景。
謎の多い月野の背後に見え隠れする、彼の抱える不安。
作り物のような美しさを持つ月野ですが、それだけにはかなさもあって……
月野と水谷の生活は、このまま続くと言うことはないでしょう。
何かと月野に絡んでくる火木もこれから物語に絡んできそうですし、何よりも阿部先生作品には常に漂っている気がする「破滅の空気」のようなものが徐々に感じられてきて……!!

二人の楽しくも、薄氷のようにもろい日常。
薄いベールに隠された闇。
楽しくもむなしい毎日……
そんな日常を、是非とも体験してください!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!