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今回紹介いたしますのはこちら。

「五佰年BOX(いほとせボックス)」第1巻 宮尾行巳先生 

講談社さんのイブニングKCより刊行です。



宮尾先生は14年にイブニングの新人賞で奨励賞を受賞され、17年に本作にて連載デビューした新人の漫画家さんです。
宮尾先生、ご趣味は歴史探訪とのことで、本作はその探訪した歴史の知識を生かすような内容のお話となっております。
ですが時代漫画かと言うとそう言うわけでもなく……?



叶多は、蔵の掃除をしていました。
70年もの間誰も立ち入っていないというその蔵は、埃だらけ。
自称綺麗好きの、潔癖症の気がある叶多は不満を漏らしながらも掃除を続けます。
それもひとえに、幼馴染であり、そして思いを寄せている相手である真奈の頼みだからです。
ですが、そんな叶多の胸中は複雑です。
何故なら、その思いを寄せる真奈が婚約をしてしまったから。
それだけではなく、よりによってこの日はその婚約者とおうちの方の顔合わせの日なのです。
婚約者だという晴市は、ぼさぼさの髪形に無精ひげ、野暮ったい眼鏡と、聖カルカンの感じられないタイプの男でした。
真奈の相手と言うだけで色眼鏡で見てしまう叶多ですが、それを指し居ても好きなタイプの男性ではない、かもしれません。
そんな叶多の想いも知らず、晴市は叶多に握手を求めてくるのです。
真奈からいつも聞いてるよ、叶多くん。
なんでもそつなくこなす、キヨウな「弟」だってさ。
……真奈にとって、自分は弟のような存在にすぎなかったのでしょうか。
いよいよその顔合わせが始まるようで、立ち去っていこうとする真奈と叶多は目が合うのですが……その表情は、何とも言い難い、物憂げなもので……

一人蔵に残された叶多は、座り込み、大きく息をついてうなだれます。
出会ってから足掛け12年、ずっと見てるだけで。
結局、これからも見てるだけ……
そんなことを考えると憂鬱になり、積み上げられた荷物に頭をぶつけてしまう叶多。
すると、その衝撃で積み上げられていた荷物が崩れ出してしまいました。
幸いけがはなかったのですが、蔵の中はまためちゃくちゃに、埃だらけになってしまいました。
踏んだり蹴ったりの叶多は、やり場のない怒りに打ち震えるのですが……その時、蔵の中から人の話柄のようなものが聞こえるのに気が付きました。
その音を頼りに蔵の中を探ってみると、その音は床に隠すように埋められていた箱から聞こえてくるようです。
掘りだして、その箱を開いてみると……
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なんとその中には、昔の村の風景のミニチュアのようなものが入っていたのです。
しかもそれはただのミニチュアではなく、生きて、動いている……!?
驚くべきことはまだありました。
思わずそのミニチュアのような物に手を伸ばしてみると、力の加減を間違えて一軒の家が崩壊してしまいます。
と同時に、ずしんと大きな振動が感じられ、慌てて外に出てみると……
今まで1つだったはずの蔵が、2つに増えていて!?

その後、叶多は蔵掃除のお礼だから蔵のものをなんでもあげるよと言われ。、箱を自分の家に持ち帰りました。
どうやらこの箱、場所を移動するとその場所に応じた風景に代わるようで。
いつしかその箱の環境を眺めるのが趣味のようになり、野犬に襲われていた少年を助けたり、大岩をどけてあげたり、少女に手をかざして急な雨から避けてあげたりと、箱の中の人を助けていくのです。
そんな不思議な体験で気を紛らわせていた叶多ですが、そんな気分の壊れる事件が起きてしまいます。
真奈からの電話です。
蔵の片づけありがとうと言う真奈ですが、本当は結婚の件を今まで言い出せなかったことを気に病んでいたようで。
結婚のこと急に決まったから、姉弟みたいに育ったのにちゃんと話せなかった。
叶多にも祝福してもらいたいし、ちゃんと場を設けて彼のことを紹介したい。
叶多は家族も同じ、彼にはちゃんと説明するし、結婚したからって疎遠になりたくないし、ちゃんとけじめを使解きたい。
……その言葉を聞いて、叶多は今まで抑えていた気持ちが爆発してしまいます。
けじめ?なんの?そんなもんつける理由どこにもないよ。
家族?弟?
本当にそう思ってる?俺は思ってない、俺達は家族じゃない。
「姉ちゃん」のふりなんかすんな!
そう叫んで、電話を切ってしまうのです。
……真奈は、自分が真奈に思いを寄せていることを知っているはずです。
なんでそんな残酷なことをするんだ。
怒りに打ち震える叶多ですが……
気持ちが徐々に冷静になっていくにつれ、あの箱の中から今までと違う声が漏れてきていることに気が付きます。
箱を開けてみると、箱の中の村が侍か落ち武者か、そんな容貌の男たちに襲われていたのです!!
賊たちは容赦なく自分たちの邪魔になるものを切り捨てていきます。
そしてやがてその賊は、叶多が依然助けたことのある少年や少女まで手にかけようとして……!!
……気が付けば、
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叶多は手を伸ばしていました。
少女を切り殺そうとしていた賊を、平手で弾き飛ばすと……賊は打ちどころが悪かったのか、首を負ってその命を落としてしまったのです……
自分のしてしまったことに、恐怖する叶多。
助けようとしただけなんだ、仕方ないじゃないか、ああしないと女の子が。
俺は悪いことをしたんじゃない……!!

ですがもう、その箱を自分だけの秘密にしておくことに限界を感じたのでしょう。
叶多は箱を持って、真奈の父親であり、親しくしているおじさんに尋ねてみようとするのです。
ちょっと真奈も呼んで、と血相を変えておじさんに声をかけたものの、おじさんは……こんなことを言うのです。
真奈?だれそれ。
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ウチに娘はいないし、「真奈」なんて人間もいないぞ。



と言うわけで、奇妙な箱の導く奇妙な出来事に巻き込まれてしまう本作。
叶多の手にした「箱」の中の世界に手を伸ばすと、何かがきっかけとなって現実にも影響が出るようです。
蔵の数が増えたのも、気のせいなどではなく、あの箱の中で一軒の家が壊れたことによるものと考えてよさそう。
と言うことは……真奈の存在が忽然と消えてしまったのは、あの少女を助けたことか、賊を殺したことか、どちらかの影響によるものなのでしょう!
この後、叶多は真奈の存在を復活させるために箱のことを調べていくことにします。
この箱の中の世界は一体いつの時代で、どこなのか。
どうすれば真奈を元に戻せるのか。
そんな箱と向き合う日々の中で、もう一つ叶多を悩ます出来事が起きてしまうのです。
それは、真奈がいなくなったことによって生まれた、ある出来事の影響が、徐々に叶多にも及んできてしまっていること!!
叶多はその事実におびえ、恐怖し、そして……!!

一体この箱は何なのか、誰が何のために作ったのか?
そんな根本的な謎と、箱の世界に干渉する際のルールの模索、箱の中の世界でも紡がれるドラマ、真奈を取り返すための奮闘、世界に及ぼす影響……
様々な要素が絡み合い、この後どう展開していくのか全く読むことのできない物語が楽しめる本作。
徐々に明かされていくであろう謎と、世界を元に戻す手段が明かされる時が楽しみでなりませんね!!


今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!