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今回紹介いたしますのはこちら。

「孔雀王ライジング」第9巻 荻野真先生 

小学館さんのビッグコミックスより刊行です。


さて、生きたまま地獄へと落ち、彷徨う孔雀。
その旅の中で、かつて敵だった鬼・賢八や、死である捨覚そっくりの鬼、フドウと出会います。
彼らとともに孔雀は、自身の母であり、現世と地獄とを自由に行き来できる地蔵菩薩である冥道を探すのですが……?



大昔、仏教が開かれる前のこと。
釈迦には、兎に生まれた前世があったと言います。
ある日、兎だった釈迦は雪の中で倒れている行者を見つけました。
すぐ近くにはたき火がまた燃えていましたが、焼いて食べるようなものは何も持っていないようで、行者の顔にはありありと死相が見て取れたのです。
それに気がついた兎は、すかさず駆け寄って行者の顔に寄り添い、温めてあげました。
そのぬくもりで行者は意識を取り戻し、そっと兎を抱き寄せます。
ありがとよ兎くん、死ぬ前に君のようなやさしい者に会えて私は幸せ者だ。
行者にそう語りかけられると、兎は以前母親にかけられた言葉を思いだしました。
この世に生まれたからには精一杯生きなさい。
いつまでもどこまでも、精一杯生きてくれるのが母さんの一番の幸せよ。
……ここには、兎が食べる笹はあっても、行者が食べる木の実や芋はない。
これじゃ行者は精一杯生きられないよ。
そう考えた瞬間、兎の体は動いていました。
抱き寄せられていた行者の腕から飛び出し、向かった先は……燃え盛るたき火の中!!
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突然の行動に驚く行者ですが、もう助けることはできません。
自分の体が焼かれる痛みは想像を絶するものでしょう。
ですが、兎が考えていたのは全く別のことでした。
母さん許してね。
僕はどうしてもこのやさしい行者を助けてあげたい。
だから僕の精一杯の命をこの行者にあげるんだ。
行者は兎のやさしい心に振れ、感涙にむせび泣きました。
なんという慈悲ぶかき心じゃ、なんという愛の深さを知る心なんじゃ!
行者はその兎の命を糧として生き延び、自分のためでなく他人のために精一杯生きて死ぬという覚悟を学び……後に悟りを開いて、兎を月兎神として祀ったのだと言います。

孔雀は、捨覚と言う名前は、孔雀の父、慈覚がそんな心を知れと言う意味で与えたのだろうと捨覚に伝えます。
が、捨覚と同じ顔でも自分は不動だと言い張るその鬼は、くだらないと取り合いません。
インドにどんな立派な神がいようと、ここは兎もやさしい行者もいない地獄なんだと言う捨覚。
自分のような鬼は地獄を出てその他の六道界に転生することもできねえ、と毒づくばかり。
ですが孔雀は、だからこそ輪廻転生の宿命を断つ方法を教えたんだろう、と言います。
捨覚が孔雀とともに旅を続ける理由はまさにそれ!
孔雀が旅を続け、その母や父に会うことができれば、このい地獄から出る方法もわかるかもしれない。
そう考えて、旅に同行したわけです。

そんな旅の中で、一同は鬼たちが集まる奇妙な集会に出くわしました。
三乗という仏教修行で悟りを得れば来世で仏に生まれ変わると言うが、これは人間の修行法で鬼なんかにできるはずがない。
だがどうしても地獄の他の世界に行きたいのなら、「投身浄土救済教団」に入会し、バカでもわかる覚りのノウハウを覚えるのだ!!
そう言う教団の長らしい人物は、いつ入会するんだ、今しかないでしょ、と口をとがらせて鬼たちに入会を迫ります。
月兎神の逸話にかけた教えのようですが……ただの投身では身投げにすぎず、鬼の輪廻から逃れられるとは思えません。
ですが鬼たちは、とにかくこの鬼として生き続けるしかない運命から逃れるためにわらをもすがる思いで入会を希望するのです。
が、そこに異を唱える人物が現れます。
仏教では嘘も方便と言う言葉があるけど、てめえ等のは尻の気までむしり取る詐欺商法じゃねえか!!
そう威勢よく異を唱えたのは……
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虎柄ビキニの鬼娘!!
彼女は、投身の連中は鬼たちに自ら体を焼かせ、その肉を食って力を蓄え、せめてより強い鬼に生まれ変わろうとしているのだ、とそのたくらみを看破しました。
目論見を暴かれた投身の連中は怒り狂いますが、鬼娘の振り回す超大型鎖鎌に大苦戦。
手下はあっさり片づけることができたのですが、ボス格の今でしょ鬼はその体を異形の姿に変え、鬼娘を圧倒し始めるのです。
しかし今でしょ鬼の猛攻もそこまで。
黙ってはいられないと割って入った孔雀と捨覚が、あっさりと今でしょ鬼を片付けてしまったのでした。

この鬼娘は何者なのでしょうか?
彼女は、捨覚の名前を聞くと、目の色を変えて跪き始めます。
そして……おもむろにビキニを脱ぎながら、こんなことを言うではありませんか!!
母が申しておりました。
鬼に食われても鬼にしか転生できないが、伝説の鬼弟子である捨覚様に食われれば、来世は天にも昇れる月兎神に生まれ変われると。
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どうかこのあたしを食べてくださいませ、この日のために大切に守ってきた、汚れ泣き乙女の体です!



と言うわけで、地獄でまたまた思わぬ出会いを果たした孔雀と捨覚。
この出会いがこれから何をもたらすのか?
何の意味もないはずはないこの出会い、とりあえずこの鬼娘は旅の道連れになるようです。
そしてこの後、物語はさらに驚きの展開へ!!
今まで「孔雀王」本編の過去の話だと思われていた本作ですが、徐々にそうではない可能性も出てくるのです!!
気になる言葉を吐くある人物の登場により、物語は急展開!!
孔雀と、クマラ、いずれ戦う運命にあるかと思われていた二人ですが、その関係が大きく変わるかもしれない出来事が……!?
地獄編はまさしくクライマックス!!
裏表紙の早九字的にも次巻で完結、あるいはひと段落してもおかしくない本作から、ますます目が離せませんよ!!



今回はこんなところで!
さぁ、本屋さんに急ぎましょう!!